http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i30734 |
以前から、イエメンの情勢が気になっていた。サウジにとっては、隣国にシーア派の政権(フーシ派と呼ばれている)ができることなどありえない故に、かなりヒステリックに空爆を行っていたからだ。おまけにアラブの春の影響を受けて、アルカイダ系の組織の支配地域もできている。これには宿敵であるアメリカが敏感に反応し攻撃を加えている。一方で、元大統領(一時的に大統領を委譲した故に「元大統領」派と称するのが正しいようだ。)政権も統治能力を欠いている。イエメンもまたシリア同様の三つどもえの内戦になっているわけだ。
ポール・コリアーの開発経済学では、経済の疲弊が内戦の起こる確率を拡大する(紛争の罠)と説いている。イエメンもその典型であると私は見ている。宗教的な対立が戦乱を巻き起こすというのは、わかりやすい論理だが、経済格差や不平等な政策の方が、対立軸を作っていく。これは、先日読んだ「イスラムの怒り」の結論の1つでもある。
スンニー派にとって、シーア派というのは、同じイスラム教だが廟をつくって聖人崇拝を行ったりするので、なにかと違和感があるのは事実のようだ。サウジはスンニー派の中でも最も保守的なワッハーブ派であるし、メッカの守護者であるが故に、そう簡単にイエメンのフーシ派と共存などできないということは理解できないことはない。しかし、圧倒的な国富を持つサウジと貧困にあえぐイエメンの経済格差こそが、問題の核心であるような気がする。
そのイエメンでコレラが世界最悪規模で発生、ユニセフの報告では、24日現在で感染者は20万人を越え、1日5000人規模で増え続けているという。すでに1300人以上が死亡し、その25%は子供だという。内戦とサウジによる空爆で、清潔な飲料水の供給や医療設備が崩壊したのと、食糧不足による栄養失調(人口2800万人中700万人が餓死寸前であるといわれている。)が感染に拍車をかけたといえるだろう。
これに対し、サウジ政府は74億円のコレラ対策費をユニセフに寄付したという報道がなされた。うーん。この額が多いのか少ないのか、またこれが善意なのか呵責なのか、はたまた国際社会へのポーズなのか、私には全くわからないが、殴っておいて、やりすぎたかなあと、金持ちが治療費を出しているという変な構図であることは確かだ。
いずれにせよ、イエメンでコレラ渦と戦う方々に、私などは、心からエールを送ることしかできないのである。
https://www.cnn.co.jp/world/35103273.html
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