マリのPKO部隊 http://mainichi.jp/select/news/20151023k0000m030100000c.html |
ところで、昨日の毎日・朝刊には、アフリカのPKO事情を紹介する比較的大きな記事が2つ載っていた。毎日新聞の反安保法案キャンペーンの一環だと思われるが、極めて重要な示唆が含まれていると思う。
まずは2面のマリでのPKO。トンブクトゥ(隊商の基地として有名な都市だ。)で任務に就いているのはブルキナの兵士である。13年以降、50人以上の兵士が、パトロール中に待ち伏せ攻撃などで死亡している。数台の装甲車でパトロール中は無線のやり取りで、常に状況報告がなされ、炎天下兵士の肌は、緊張で汗ばむそうだ。平和維持と住民保護が任務だというPKOの理念はテロリストには届かない。テロリストが望むのは、平和や法の秩序ではなく混沌状況だと司令官。PKOに敵はいないと建前を述べたあと、(現実には)敵が誰かわからない、とも。住民からも、政府軍が攻撃を受けても中立の立場をとるPKOに対して反感が高まっている。北部のガオでは、反国連を掲げる住民のデモとPKO要因が衝突、住民3人が死んだという。
もうひとつは8・9面の「試練の国連(上)」という特集記事で岐路にたつPLO戦略につて、南スーダンの状況が報じられている。ここには日本の自衛隊も参加している。13年12月政府と反政府勢力の戦闘が始まり、避難民が国連関係、自衛隊の宿営地にもなだれ込み、「比較的穏やか」という現地情勢は一変した。道路補修などの活動地域に向かうどころか、難民キャンプのようになった宿営地の運営、管理に労力をさかれてしまった。他のPKO部隊も本来の仕事である治安維持のパトロールが十分にできていないのだという。今年8月両派は停戦合意したが、PKO部隊は、情報収集用の無人機と戦闘ヘリを導入することになったそうだ。市民とPKO要員を守るために抑止能力が必要だという。
PKO史上最大の汚点は、1994年のルワンダ大虐殺。PKOは中立的立場に終始、約100日間で80万人が殺害されたのである。これを教訓に住民保護を重視。だが、マリや中央アフリカなどではPKO要員に犠牲になる例が続発、7年連続で死者100人を突破した。
PKOは、これからリビアやイエメン、シリアへも派遣がありうると推測される。テロ対策は安保常任理事国の利害が一致する数少ない分野である。彼らの思惑で派遣が決定される。それが現実だという。
…国連=善、PKO=正義の味方だというスタンダードは、厳しい現実の中で、大いに揺れている。私は、積極的平和主義という、美麗美句がどうも信用できないのである。
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