2014年10月7日火曜日

「武器としての社会類型論」Ⅰ

息子に「この本なかなか面白いで。」と渡されたのが、「武器としての社会類型論-世界を五つのタイプで見る-」加藤隆著/講談社現代新書2164(12年7月発行)である。なんとなく社会学の本かと思ったら、著者の加藤隆氏(現千葉大学教授)は、東大でフランス文学を修めた後、フランスで神学を学んだ方だった。「ルカ文書」について論文を書いた際のことである。この「ルカ文書」、ローマの支配の二重構造をキリスト教が採用する話らしいのだが、この点はフランス人の教授たちにすんなりと受け入れられた。が、しかしこの二重構造は「西洋的で特殊なこと」である、と主張してもわかってもらえない。彼らにとって、文明に西洋的である以外の可能性があるなどということは思いもよらないのだった。そこで、加藤氏は(西洋人にに西洋の文明が相対的なものであることを証明するために)諸文明の類型化に取り組むことになったのだった。いやあ、なかなか面白そうな始まりではないか。私は、こういう話が大好きである。

まだ70ページほどしか読んでいないのだが、通勤時には必ずこの新書を開くことになった。まずは、西洋的な社会類型の話である。「上個人下共同体」と名づけられた類型の話の中で、ギリシア語の話が出てくる。社会の上部に位置する自由な個人は、「町の事」について検討する。町とはギリシアであるから、当然ポリスである。「ポリスのこと」をギリシア語では「ポリティコス」となる。英語に直せばポリティックスで「政治」となり、これが語源なわけだ。一方、下部のオイコス(家の意味で、奴隷たちの労働・生産の場である。)では、掟・法則にしたがって富を効率よく生じさせることが求められた。掟・法則はギリシア語ではノモス。オイコスのノモス(家の掟)は「オイコノミア」となり、英語のエコノミーで「経済」なのだという。

今朝のモーニングでは、朝日新聞しかなかったので、早々と読み終わり、この新書を読んでいた。ここの段になって、思わず赤線を引きそうになって止めたのだった。これは息子の本である。(笑)

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