京都の秋 総合地球環境研究所 |
私が、聞けた発表は、広島大のOさんの英語での発表の途中からだった。いくら日本の方とはいえ、英語での発表のリスニングはきつい。おそらくザンビアで妊娠した女生徒への友人や教員の差別の問題を話しておられたようだ。続いては京大のXさん(中国か韓国の方のようだった)。マサイにおける教育事情についての、これも英語の発表だった。”Indigenous ecological knowledge”という語彙が何度か出てきた。これは、京大のアジア・アフリカ地域研究科で大きなキーワードとなっている「在来知」のことだと直感した(13年4月20日付ブログ参照)。要するに、マサイでは、学校での教育とマサイとしての知の両方を学ばせているようだ。その内容の詳細な報告であるようで、男子は何歳から、こういう在来知(たとえば乳の搾り方とか、家の作り方とか)を学んでいるかといった内容だった。なかなか面白かった。
次はいよいよ荒熊さんの発表だったのだが、先に午後の内容についても少し触れておきたい。大阪大学のKさんのマラウイにおける孤児の生活と就学支援。マラウイでは、孤児の定義は、父、母、または両方を失った子供だそうでである。日本でいう母子家庭・父子家庭も含まれるわけだ。彼らの支援についての詳細な発表だった。夏休み中に、学校の図書館で独学した農業技術でトマトを栽培して学費を稼いだ生徒の話は、同じマラウイの”風をつかまえた少年”(11年1月7日・13日・14日付ブログ参照)の話を髣髴とさせた。こういうアフリカに学ぶ話はいい。次に大阪大学のK先生の、マラウイの無資格教員の話も面白かった。ジャイアンからスネオ、しずかちゃんへというのが結論である。(笑)地域社会の中で、ある程度信頼できるガキ大将のような人材を無資格ながら教員として採用していたのだった。それが大きく変化しているという報告だった。さらに東京農大のI先生の南アの学校農園の話、大阪大学のS先生の南スーダンのオルタナティブ教育(日本で言う夜間中学のような学齢期外の教育)の話、京都女子大学のU先生のソマリア難民がケニアからアメリカへ移民するまでの第3国定住システムの話と続いた。
荒熊さんの発表は、ブルキナファソ・ワガドゥグでのストリートチルドレンの統計調査の報告だった。どうも雨季には数が減っているようだ、というのを確認する話。30名あまりのNGOスタッフで調査をしてみると、彼らのうち30%近くが農繁期の実家の村に戻っていることが判明したのだ。家庭事情でストリートチルドレンになっている、のではなくインフォーマルセクターの一種のようなカタチで存在する者もいるわけだ。後で、お聞きしたのだが、この調査のアンケートを作製したソマという人物とも私はお会いしたことがある。また協力したNGOには、緑のサヘルにおられた日本人・M氏も入っておられて、妙に懐かしい発表だった。このアンケート調査の様子が目に浮かぶようだ。
荒熊さんと久しぶりにお会いできた。このフォーラムの責任者で忙しそうだったが、私にも時間をさいていただいて申し訳なかったと思う次第。来年もまた参加できれば、と思う。
ご参加いただいてありがとうございます。もう少しゆっくりお話させていただけると良かったのですが…
返信削除でも、次回もご都合がつくようでしたらいらしてください。次回は広島が有力です。
荒熊さん、ご苦労様でした。市井の高校教師から見ても、なかなか面白い内容でした。お疲れの出ませんように。
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