今朝の毎日新聞の社説は、安部政権のODA大綱改定のための有識者懇談会の報告書について書かれたものだった。日本企業の途上国進出を後押しする国益重視の姿勢と非軍事的目的なら他国の軍隊へも援助を認めるといった方針が打ち出されているそうだ。
現在の日本のODAは、5502億円。ピーク時から半減したものの世界4位・対GNI比18位である。予算を増額するために時代にあわせて大綱を見直すことは必要かもしれないが…と社説は述べた後、するどい批判が繰り広げられている。
報告書には「質の高い成長とそれを通じた貧困削減」「途上国の経済発展と日本自身の力強い成長を同時に実現する」「国際益と国益は不可分」というコトバがならんでいるとのこと。
社説では、これを途上国の貧困削減より成長重視、日本企業の進出を支援し、途上国の成長を取り込むことで日本の国益重視と見る。
途上国の成長は重要だが、成長だけでは、貧困解消になるとはいえない。かえって経済格差が拡大につながる可能性もある。ODAの第一義的な目的はあくまで、開発支援と貧困・格差の解消である。国際益に貢献した結果、広い意味で国益に繋がることは望ましいが、初めから国益を重視する考え方は危うい、と。
…私も全く同感である。こんな報告書をだした「有識者」とはどんな人物なのか知りたくて外務省のHPにアクセスしてみた。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/yushikisya/member.html
…この表のトップに載っている渡辺利夫氏について、ウィキや著作のカスタマレビューを読んでみると、およそどういう人物かがわかった。予想通りだった。(画像参照)
さらに、民生目的や災害救助、海上警備のための非軍事目的ならば認めるよう、報告書は検討を求めている。中国を意識した安全保障上の国益と結びついているものも多いと社説は指摘する。非軍事目的であっても、他国から見れば軍事支援とも見られることもある。拙速に解禁すべきではないとも。
…安部首相は「美しい国」「普通の国家」を目指しているという。ODAを国益優先にすることは、まったく美しくない。「お人よしの平和国家・日本」の方がはるかに美しいと私は思う。「普通」でないから、世界中で好かれてきたのだ。ODAまで、「国益」という名の実体の不明瞭な概念に塗りつぶされるべきではない。ODAくらいは、日本のめざす理想を追い求めるもの、日本国民の善意の象徴であるべきだ。
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