ゲッペルス |
そこで語られた大きなウソは、実は『当たらずと言えど遠からず』なものだった。ナチスの最大の政策目標は、ベルサイユ条約の破棄と大ドイツの再建である。社会不安を背景に、これをユダヤ人迫害に結びつけ、敵視を増幅していく。第一次世界大戦のドイツの敗北は、塹壕戦での敗北にあらず。キール軍港などで起こったドイツ革命にある。このドイツ革命を主導した社会主義者たちにはユダヤ系の人が多かったのは事実。もちろんマルクスやトロツキーも有名なユダヤ系である。それを一気にユダヤ人の起こしたドイツ革命で負けたと言ってしまう。こういうスローガン的な単純化が効果的だと言う事をヒトラーは熟知していた。莫大な賠償金による超インフレや大恐慌の波及での経済的危機を、ドイツ金融界の陰謀とした。もちろんロスチャイルド以来、金融界にユダヤ資本が根を張っているのも事実。これまた見事にスローガン化してしまう。我々の経済危機はユダヤ人金融資本の陰謀。ここから、アーリア人の優位と大ドイツ建設の障害となるユダヤ人排除の論理に結び付けていく。共通の外敵に目を向けさせるのは、内政危機時の常套手段である。
このナチスのプロパガンダ戦略は今の日本にも十分当てはまると思っている。もし、ゲッペルスが今生きていれば、マスコミをいかにうまく使うかを考えるだろう。毎日のようにマスコミに登場し、刺戟的でスローガン的な発言をして、世論をあおる。反応を見ながら微調整し、次々と話題を提供する。マスコミに騒がれること自体がプロパガンダの成功である。あとは大衆心理。
こういう笑えない事実が今、進行していると私は感じているところである。
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