2012年11月14日水曜日

ケニア警察 レイディングに死す

Tuareg
朝日新聞に、ケニアの警察官が盗賊に襲われ42人死亡したという記事が載っていた。牛の盗難捜査中に盗賊に襲われたという報道だが、ケニア北西部であるし、おそらくはレイディングでの話だろうと思われる。

本年6月16日付けの『京大公開講座』の報告ブログや、11年6月15日の『レイディングの衝撃』で紹介したが、ケニア北部の乾燥地帯では、遊牧民によるレイディングが常態化している。遊牧民同士の家畜の奪い合いなのであるが、時には今回のように自動小銃を使用し、死者が多数でることもある。彼らにとってはそれが善悪を越えた生業であり文化的伝統である。

私はこの事件が、ケニアのガバナンスの分水嶺になるのではないかということを強く感じている。ナイロビなどの都市部ではケニアはガバナンスの改善が進み、近代的な開発が進んでいる。一方で乾燥地帯である北部では、中世的な遊牧民の世界がそのまま存在しているという、大きな矛盾を抱えていた。ケニアを、開発経済学的に見た時、経済・政治というX軸・Y軸で表される空間から、この遊牧民の世界はこれまで除外されてきたように思う。今回の事件で、これらの地域が一気に開発の対象、すくなくとも治外法権ではなくなることになるのではないだろうか。

一方でイスラム過激派が掌握しているマリ北部に、AUが西アフリカ諸国経済共同体の軍事介入を承認したという報道もあった。遊牧民のトゥアレグ人をイスラム過激派が先導しているらしい。こちらも遊牧民からみだ。

この2つの事件、アフリカが遊牧民世界と、アフリカの開発を推進する勢力との対自そのものだと私は感じている次第。

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