佐藤優の「はじめての宗教論」、右巻を読んでだいぶ経つ。右巻が書店でなかなか見つからないので、しびれを切らしてアマゾンで購入した。コツコツと読んでいるのだが、今日の帰宅時になかなか面白い個所を見つけた。
バルト神学で有名なカール・バルトは、火宅の人だったという事実。キルシュバームという未亡人の看護婦をモノにして、「こいつがいないと俺の研究が出来ない。だから今日から家に住まわせる」と奥さんに言って、自分の寝室の隣に彼女の部屋を作って、夜中でも何か思いつくことがあったらすぐ筆記させるという生活を送っていたのだという。日本では、バルトは神格化する傾向が強いので、この話は封印されていて、ブッシュという人が書いた「カール・バルトの生涯」という本の中には「キルシュバームが来たことによりバルト家には大変な試練がもたらされた。」と二行くらい書かれているらしい。彼女は最後には精神病になってしまい、『教会教義学』は完結できなかった。最終巻には、奥さんのネリー・バルトに捧げるという献辞が書かれているらしい。(P96)…凄い話だなあ。佐藤優は、「相当ヘンじゃないと良い哲学や神学は出てこないのでしょうと」述べている。
と、いうわけで、カントの話も出てくる。カントは生涯独身であったが、その理由は女性のスポンサーが複数いたかららしい。結婚するとスポンサーの数が減るので、あちこちのスポンサーの家に行って面白い話ばかりしていたらしい。カントが生真面目というのは大うそで、彼の論考の中には、女性のストッキングは、黒の方が興奮するとか、そういう話も出てくる。なかなかハンサムでモテたらしいのだ。(P98)
象徴と本質は一致しない話の例として、鳩の話。鳩は平和の象徴だと言われているが、実際の鳩は、コンラート・ローレンツの『ソロモンの指標』によると、きわめて攻撃的で、鳩どうしの喧嘩というのは残虐極まりないとある。たとえば、鷹は自分たちのクチバシがいかに危険か知っている。だから同族どうしで喧嘩しても、致命傷をおわせるような攻撃はしない。それに対して鳩は突いて突いて、相手がボロボロになるまで攻撃し、殺した後もなお攻撃するそうだ。(P100)
…なかなか面白い話である。授業では使いにくいものもあるが…。佐藤優の本は、視点も面白いが、こういう意外な話が満載なのでついつい読みたくなるのである。
2012年2月10日金曜日
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