2012年2月20日月曜日

日経の高校教育の記事を読んで

南北貿易ゲームに興じる
今朝、日経の「高校の課題を聞く」という続きもので、『勉強しない学力中位層』という国立大財務センター教授(中央教育審議会委員)の金子元久氏の署名記事を読んだ。金子氏は、高校教育の最大の問題点は、中位層が勉強しないことである、と指摘されていた。おりしも東大の9月入学が論議され、国際的な競争に打ち勝つために、必要な施策は何か、秋田の国際教養大学の学長が様々な提言をされていた。その後ろに、こういう記事が載っていたわけだ。…うーん。

昨年まで、私は秋田の国際教養大学に生徒を送るような学校にいたわけだが、今年は金子氏のいう「学力中位層」の学校にいる。正直、金子氏の指摘するように、本校生も「生徒や保護者のアンケート調査」によると、普段「自宅学習」をほとんどしないという生徒が多いらしい。今日も私の学年末試験があったのだが、たしかに勉強不足だなあと思ってしまう生徒もいる。

中位層の学校でどう育てていくべきなのか。金子先生は、「グローバル化が進み、本来中位層の高校生が就職していたような職能が、どんどん海外に移転している。中位層の子たちは、これからどうしていくのだろうか。」という危機感をもっておられるのだ。この話、私はよく理解できる。

いうなれば、上位層はいい。競争社会でもまれ、パラノに頑張ればいいわけだ。私の経験からも、阪大や神大に現役合格するような優秀な子は、どんな教師が指導しても自分の力で伸びていく。中位層の子は、そうはいかない。激励し、うまくもっていけば難関私大にも合格するし、ほおっておけば、どんどん学力が落ちていく。基礎ができていないのなら、基礎を固める必要もあるだろうし、向学心を植え付けるために様々な授業の工夫も必要だ。

今はまだ金子氏の意見に答えることはできない。ただ、理屈ではなく、現場の実践で答えるしかないと私は思っている。来年度1年担任になれたら、現代社会という2単位もので、倫理をやろうと思っている。全ての社会科の基礎として、異文化理解のための基礎知識が絶対必要だと私は思っている。中学校の社会の焼き直しではなく、高校の社会って面白いな、と学習意欲の低い生徒にも思わせたい。(今年の世界史Bは、それだけはほぼ成功したようだ。)これまでの前任校で使っていたプリントでは、正直きびしい。難しすぎる。もっともっと書きこみを増やし、手も、頭も、口も動かして参加できる授業にするために、先週からコツコツと準備しだした。これもなかなか楽しい作業だ。まだ見ぬ生徒の顔を想像しながら…。

2 件のコメント:

  1. どちらかといえば、中位というよりも低位の専門学校で教えている身としては、金子氏の指摘がさらに現実味を増します。それも彼らの選んだ道かと思うこともありますが、出会いがなかったのだと思うこともあります。

    ただ、そんな感情論ではなく、このままの状態では、この社会はとてつもない代償を払うことになるのではないかという危機感が、年々強くなっています。立場上、限られた期間かもしれませんが、私なりに自分のできることをやっていくしかないのだとあらためて思いました。

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  2. 非常勤講師さん、コメントありがとうございます。全くそうですよねえ。とてつもない代償を払う事になると思いますねえ。幸い、私の学校は、体力と礼儀を身につけていけるので、社会に役立つ人間づくりはしていると思います。「それ以上」を私は是非身につけさせたい。学力もリーダーシップも、そして地球市民の自覚ですね。そういう「志」こそが、今教員に求められているものだと思うのですが、社会は全く逆に向かっています。それがくやしい…のです。

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