2011年5月8日日曜日

無性に桜餅が食べたかった日

日曜の朝はH城鍼灸院に夫婦で行く事が多い。治療中に『お茶』の話が出て、そのせいか「桜餅」が無性に食べたくなった。今はタベモノに季節感がない。スーパーでもコンビニでも売っている。まあ風情がないと言えばないが、便利ではある。結局、Kスーパーに寄って妻に買ってもらった。(笑)

妻の言。「…病気やねんで。」たしかに私は甘いモノを少しでも食べると一気に手が痒くなるのである。とはいえ、桜餅はいい。昼食の後、小さめの桜餅を口にほおりこんだ。

昔々、JICAの高校生セミナーの事前学習で、何処になるか解らない研修員さんに、日本を紹介するというワークショップを真剣にやっていたことがある。まずは日本をイメージする語彙を、自然・産業・文化という3つの視点から生徒に挙げさせてみるのである。。自然に関する語彙としては、四季、富士山、温泉、田んぼ、梅雨、そして桜などの語彙が挙げられる。産業に関する語彙は、自動車、カメラ、丁寧、工夫、痒いところに手が届く、性能が良いなどが挙げられる。文化に関する語彙では、寺社、歌舞伎、万葉集、ひらがな、かたかな、アニメ、ワビ・サビなどが挙げられる。(実際にはもっともっと多く出る。)
それらを関係性で結びつけていく。(黒板に書いた語彙を線で結んでいくとよく解る。)そのうえで、日本の自然とはどう定義できるのか。日本の産業は?。そして日本の文化とは?と、文章でまとめていく。最後に、大きく日本とは何かという順にまとめていくのである。

そのまとまった「日本」をどう研修員さんに語ろうというわけだ。ある時は、漢字で表したいと「潤」という字を書道で紹介した。ある時は、モノで表したいと、街で配られる広告入りのティッシュペーパーを選んだこともある。なぜ?このティッシュペーパーは、非常に使いやすい。ワンタッチで開けられるし、抜き出しやすいし、工夫に工夫を重ねた日本の産業を表現しているという結論になった。しかも広告付きで資本主義国・日本をも象徴しているという結論だった。なるほど、と私も手を打ったものだ。

しかし、このワークの最高傑作は、「桜餅」だったと思う。日本の自然の象徴としての「桜」、これをスウィートとして純化しているのだという。桜の葉、餅米の桜色、この繊細で丁寧な仕事が産業を表している。さらに、川端康成のノーベル賞受賞講演のタイトル「美しい日本の私」にあるように、自然と文化の一体化という面も表現できるというのだ。「日本=桜餅」論であった。これらを英語化して、説明文を書くのは大変だった記憶があるが、近くの和菓子店で購入し、とにかくも研修員さんは喜んで食べてくれたのだった。

ともあれ、「桜餅」である。理屈はともあれ、美味しかったのだった。今のところ、まだ手は痒くない。

0 件のコメント:

コメントを投稿