ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世 |
ところで、ドイツ皇帝はバリバリの専制君主であったが、日本の天皇はどうか。このあたりかなり政治的な思惑が錯綜する話題なので、慎重にならざるを得ないのだが、私は専制君主であるとは思っていない。昔から「玉」と称され、一種のブラックホール的な性格を持っているという山口昌男の天皇論に近い立場である。今の生徒諸君は、当然天皇について、ほとんど知らされていない。昭和天皇の生活などを紹介して、少しでも興味を引く。皇太子時代の渡英以来、朝食はパンだとか、パジャマを着ておられたとか、日本人初のゴルファーだとか。同時に、大みそかの四方拝など、日本中の神主の頂点に立っていることや、新嘗祭などに見られるように日本農民の頂点に立っていることなども語る。日本の天皇は、宗教的な存在、象徴的な存在でもあるのである。うーん、社会科教師として、政治色を抜くのは極めて難しいところである。
このドイツ皇帝と日本の天皇の性格の相違は、大きいと私は思う。その専制的でない天皇に、統帥権が設定されたのである。日清戦争や日露戦争では、統帥権はうまく国民皆兵制度とともに作用したようだ。(もちろん、あくまでガバナンスとして私は論じている。)しかし、この統帥権が「玉」のモノであるがゆえに、軍に利用されていくのである。
…今日は所用が控えているので、さらに”つづく”ということにしたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿