2010年3月3日水曜日

アフリカ開発経済学テキストⅢ


 3日連続で、テキストの話です。スミマセン。貧困の章の次に、4.「近代国家論」をもってきました。①サブサハラアフリカは資本主義の発展を経ていないこと②個人主義を基盤とした民主主義社会を確立していないこと③民族が多様で、しかも小さすぎるので国民国家足り得ていないことを、簡潔に論じます。
5.アフリカの経済・政治・文化を知るためのキーワードの(1)は前回同様の「アフリカを知るための隠れたキーワード」です。4の近代国家論を補完する形で論じます。①エスニック・グループと国境線②人口密度と土地の話③ポレポレとハクナマタタ(情の経済)④農村と都市⑤伝統的結婚システム-ロボラとマライカ-と続きます。
(2)は「アフリカの農業を分析する」と題しました。今回の改訂で最も力を入れた箇所です。①アフリカの農業はモノカルチャーのプランテーション農業?と題し、その幻想を破すことから始めます。サブサハラアフリカの国々の輸出総額に占める農産物の割合と、主な輸出作物の輸出総額に占める割合と農業生産に占める割合、輸出額を1つの表にまとめてみました。さらに、コーヒーの原産地で、輸出総額に占める農産物の割合が比較的高いエチオピアを例にとって、エクセルでグラフを作り整理してみました。エチオピアの輸出総額に占める農産物の割合は91%。輸出総額に占めるコーヒーの割合は、そのうち65%。さらに農業生産額でみると11%にすぎないことが一目瞭然になります。さらに、エチオピアの可耕地面積に占める割合は2.4%にすぎないことも教えます。これらの資料の考察から、次の項②サブサハラアフリカの農業は内向きの食糧生産が主の農業であることにつなげます。この項では、アフリカの主食/ソルガム・メイズ・ミレット・キャッサバなどの知識を確認したうえで1人あたりの食糧生産を表にしてみました。この表から、南アフリカ以外は食糧輸入国であることがわかります。また、アジアやヨーロッパなどと土地生産性の大陸別比較を行い、人口支持力の低さを論じます。前回も使ったWorld Mapperの穀物の輸出・輸入の地図を見比べます。いかにアフリカが穀物を輸入しているかがわかります。次の項③「緑の革命」とサブサハラアフリカのエコ農業では、アジアの開発経済学との対比をしながら、サブサハラアフリカの農業のまとめをしていきます。
(3)は鉱工業です。①鉱業は簡単にふれる程度に収めました。②工業については、雇用創造力が劣っている装置工業が主力であることを論じます。要するに、サブサハラアフリカの工業は、市場も小さいので、ビールやコーラといった雇用が少なく機械装置が主に生産するような工業しか発展していないことを示すのです。
(4)のアフリカの農業から工業を読み解くの項では、これらをチャートの図式にしました。安くて豊富な労働力を獲得できていない、言い方を変えれば、先進国やアジアの新興工業国のように、農業の生産性の向上から経済学史でいう「自由な賃金労働者」が表れず、生産性の低い農村から、情の経済で都市に出てくる人々は、その主力が装置工業ゆえに雇用されず、インフォーマルセクターに流れ、やがて村に帰っていくことを繰り返していることを説きます。これが、今のサブサハラアフリカの実態なのです。…今日はここまでにします。明日は、卒業式です。明日は、テキストの話を止めて、卒業式のことを書くことになると思います。

追記:今日、愚息が中国の雲南省に2週間の予定で旅立ちました。好きな旅を続けている愚息を見ると、やはり羨ましい限りです。アフリカには、留魂し、二度と行けないだろうと覚悟を決めた私ですが、嗚呼!もう一度赤い土を踏みたいと思ってしまうのでした。

2 件のコメント:

  1. 「バナナ売りの少女」を私の彼女が読んで、「以前の中国と同じ」と言ってました。彼女は福建省の人です。
    私はなにも言えませんでした。良くも悪くも私は日本人なのだと実感しました。
    雲南省はいいところらしいですね。景色が綺麗で旅人に暖かい人が多いみたいです。

    返信削除
  2. この詩を書いたI氏についてもいづれ、ブログで紹介したいと思います。中国のことについても書きたいですね。私自身は4回行きました。

    返信削除