2025年2月11日火曜日

出エジプト記の「 Locust 」

https://www.meisterdrucke.jp/fine-art-prints/German-School/413989/
前野ウルド浩太郎氏の「バッタを倒すぜ アフリカで」(光文社新書)の最初の方に、旧約聖書の出エジプト記の話が出てくる。モーセがイスラエルの民を脱出させるにあたり、神の力をもって、エジプトのファラオに対する交渉のため十の禍を起こし、その度に解放の約束を破られたという話である。ナイル川の水を血に変えることからはじまるのだが、8番目にイナゴの災いが起こされる。この話に対し著者は、専門家の立場から、これは誤訳であると大いに文句をつけている。

原文には「Locust」とあり、大群で長距離移動するバッタの特別な名称である。学術的には、イナゴではなく、「サバクトビバッタ」や「トビバッタ」と訳すのが正しい。イナゴは単なるバッタで、「Grasshopper」である。イナゴは、混み合いに応じた行動・形態・生理的特徴を変化させる「相変異」を示さないとのこと。

著者は、このイナゴの災いについては、かなり憤慨しているようで、「サバクトビバッタ」を「イナゴ」と呼ぶことは、ゆるされざる暴挙、重罪、倫理違反であり、その人の教養や民度を疑うとまで言っている。このような人々を改心させることが著者の裏の使命であるとも。(笑)

…学者・研究者という人々の専門における矜持はよく理解できるところである。決して笑ってならない。

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