2023年9月5日火曜日

女王陛下の奴隷貿易

https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=AB_MqmUF3q0&ab_channel=%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BCch
「世界史を作った海賊」(竹田いさみ/ちくま新書)の書評、第5回。エリザベス1世は、国民に密輸を固く禁じていたが、自身は海賊と組んで、国民の目が届かない遥か彼方の大西洋上で、西アフリカとカリブ海を結び、奴隷の密輸を推し進めた。当時の奴隷貿易は、教皇の引いたトルデシリャス条約の関係で、アフリカを占有するポルトガルが独占していた。よって、奴隷の価格は高額で取引されており、スペインは砂糖キビ栽培のため、安価で大量の奴隷を欲していた。これに目をつけたのが、イングランドの海賊である。ポルトガルの奴隷運搬船を襲い、カリブ海のスペイン植民地に密売するわけだ。まだ無敵艦隊との海戦前の話である。当時、砂糖は万能薬として珍重されていた。

ちなみに、砂糖生産を推し進めたのは、ジェノヴァの商人や金融業者で、14世紀後半にはヴェネチアとの覇権争いに破れた後、生き残りをかけてポルトガルに賭けた。ちなみに、ポルトガルとスペインをまたにかけて活躍したコロンブスはジェノヴァの出身である。ポルトガルは、ジェノヴァの支援を受けながら地中海で栽培されていたものを、モロッコ沖や西アフリカ、さらにブラジルで砂糖栽培を行い、砂糖ビジネスを独占していたが、スペインが、そこに参入。カリブ海でも栽培を始めたのである。イングランドは、その隙間を狙ったわけだ。

やがて、有名な三角貿易(リバプールから銃、火薬、金属製品、織物を西アフリカ黒人王国に販売し、物々交換で黒人奴隷を獲得、これをカリブ海のスペイン植民地に販売、さrに物々交換で砂糖、糖蜜、タバコを得て本国で高額で販売する)をすることになる。後に、イングランドは、苦労の末、ジャマイカを植民地にする。ラスタ運動(8月29日付ブログ参照)の始点は、ジャマイカである。歴史の皮肉というべきであろうか。

ところで、今日の倫理の授業、進度の関係で2クラス違う内容だった。まずアマルティア=センを教えていたら、経済学部志望の生徒から大学では開発経済学を中心課題にするつもりです、という話を聞いた。嬉しい限りである。また、もう一つのクラスで、社会哲学のマッキンタイヤーの共通善の話から、日本に来る外国人労働者の話題になった。日本人の異文化理解とともに、日本の共通善を理解ししてもらうことの重要性を話したら、商学部志望の生徒から、ゆくゆくは外交人労働者の雇用に関わりたいそうで、実に参考になったとお礼を言われた。まさに教師冥利に尽きる話である。

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