2023年9月28日木曜日

本土の中国人の格率

「値段から世界が見える」(柳沢有紀夫偏/朝日新書)に、中国の二重価格の話が出ている。経済格差の激しい中国でも二重価格であるようだ。今回のエントリーでは、本土の中国人(こう表記したのは、私の知るマレーシアの中国人とは、少し違うような気がするからである。)の格率についての内容を記しておこうと思う。

中国の富裕層(年収520万円以上/全人口の0.8%)の中で、18歳から44際が80%(日本:19%、アメリカ30%)もいる。不動産バブルでひと財産を築いた者もいるが、起業する者が多い。もちろん失敗も多いが、失敗したら撤退してまた次の会社を作るまで。なんとも凄いバイタリティーであるが、職人は育たない。1つのところでじっと耐えて修行するという習慣がない。会社でもレストランでも、なにか自分が覚えたと思ったら独立する。しかし実は中途半端な技術しか習得しておらず、専門知識は貧弱なまま。マンションは欠陥住宅になり、買ったものはすぐ壊れる。レストランはおいしくない。またサービスが悪いため長続きしない。これは賃金が安いからかもしれない。自分で経営すれば何十倍にもなる。今の(この本の発行は2012年)大学生の40%は卒業後起業したいと考えている。また、一つの会社への愛着はなく、給料が良ければすぐ転職する。これも職人やプロフェッショナルが育たない理由である。

仕事に対する格率は、日本とは180度違う気がする。マレーシアのPBTで、私は中華系の多いクラスの担任を2回したが、最初のF38は、拝金志向が比較的強かった。日本に留学して金儲けのスキルを身に着けたいと、信州大学や滋賀大学の経済学部を志望した生徒もいた。カネカネ金金という貪欲さをマレーシアの中国系生徒はもっているのだと思っていたが、次のF40は、そういう感覚がかなり薄かった。経済学部や経営学部への志望者はほとんどいなかった。おそらく、マレーシアの中国系は、中国本土とは、全体的に拝金主義の濃度差があるのだろう。ただし、在馬の日本企業の友人に聞くと、やはり給料が高いところへの転職は常らしい。

私などは、カネのために教師をしているわけではないという武士道的な美学があるので、この辺は理解し難いのだが、中国本土の政治リスク、不動産バブル崩壊の金融リスクなどから、日本企業の撤退が相次いでいると聞く。日本企業としては、相容れない部分があるような気がする。日本に来る外国人労働者には、じっくりとプロフェッショナルを目指してほしいものだ。それが日本の共通善なのだから。

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