今朝のエントリーで、ソマリアの石油や天然ガスの収益(レント)が、暫定政府に流れ込み、それがまた武器輸入の財源となることを危惧することを書いたのだが、MIYAさんの『アフリカのニュースと解説』(3月27日付記事)では、アフリカの小型武器問題を取り上げておられる。なかなかいい資料なのでこの際、是非とも紹介したいと思う。
http://let-us-know-africa.blogspot.jp/
ここで取り上げられる小型武器とは、通常兵器の中の1人で扱える小火器(AK-47:ロシア製のカラシニコフ突撃銃や、対空・対戦車ランチャーなど)や、数名で運搬・使用可能な軽火器(機関銃)、弾薬および爆発物(手榴弾や地雷など)をさしている。
アフリカに限定した場合、ストックホルム平和研究所の2011年度の資料では、武器の貿易については、以下のようである。
1.輸出上位国:ロシア、米国、フランス、スウェーデン、オランダ
2.輸入上位国:モロッコ、アルジェリア、エジプト、ウガンダ
3.ロシア→アルジェリア、フランス・米国→モロッコの貿易が顕著
4.南アとナイジェリアは武器輸出国でもある。
5.別の統計資料からは、中国とウクライナが武器市場でシェアを拡大していることが判明している。
6.統計には出てこない不法取引が行われている可能性が強い。
2010年軍事費統計では、アフリカのトップ10は、①アルジェリア②南ア③アンゴラ④モロッコ⑤ナイジェリア⑥ケニア⑦チュニジア⑧ナミビア⑨ボツワナ⑩カメルーンの順になる。
私の研究対象(というと大げさだが)は、サブ=サハラ・アフリカ地域なので、この地域に限定して私の推測コメントを記しておきたい。アルジェリアからサヘル諸国(マリやニジェールなど)へAK-47がかなり流れているようだ。AK-47は、乾燥した砂漠地帯で非常に重要な分解掃除が非常に簡単で、慣れれば少年兵でもこなすことが可能だ。しかも模造品が大量に作られていることが知られている。それらが、中国やウクライナ製である可能性が高い。また中国は火薬発明の母国らしく花火から手榴弾、地雷も安価に大量生産していると聞く。
また、統計に登場する国は、ある程度豊か(アンゴラ・ナミビア・ボツワナ・カメルーン)か地域でそれなりに覇を体現(南ア・ナイジェリア・ケニア)している国だ。実際に扮装を抱えている国では、統計など不可能なのだろうし、安い中古や模造品が流通しているに違いない。サブ=サハラ・アフリカの武器問題の焦点はココだ。
MIYAさんは、コメントの中で、先のTICADで日本が武器問題に積極的に関わるだろうことについて、またその関わり方についても書かれている。私は、MIYAさんの意見に大筋賛成である。武器輸出で手を汚していない日本だからこそ出来ることがあると思う。国際的な武器輸出停止や削減のイニシャティブを取っていくべき立場だろう。(かなり難しいと思うが…。)
またMIYAさんの言われる通り、カネで物事を動かすのではなく、人間を派遣していく気の長い取り組みが必要だと私も思う。それにはかなりのリスクを伴うので、警官や自衛官にしか出来ない話だ。ただ、今の政治家にそんな派遣の責任をとって、実行できる者はいるのだろうか。例の大臣に到底そんな責任感も胆力もあると思えないし、与党の元首相が勝手にイランに行くようなトンチンカンをする国ですぞ。日本自体が今、世界から不信の目で見られているはずだ、と私は思っているのである。
まずは、TICADで焦らず各国のニーズを聞いて、調査を重ね、長期的な戦略で臨むことしかできないのではにだろうか。短慮で無責任な政治家に踊らされて、ある日突然ハシゴをはずされたら、警官も自衛官もやってられないと私は思ってしまうのである。どこかの音楽家(交響楽団)も、何の落ち度もないのにある日突然クビになる時代である。
2012年4月8日日曜日
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こんにちは。
返信削除(1)紹介して頂いた私の記事のブログの表4武器輸出入(from→to)は、私のお気に入りの表です。全世界のマトリックスを作ると、新たな発見があると思います。
(2)次の記事は対人地雷ですが、1週間以内に載せます。別稿として、PKOをめぐる防衛省と外務省の関係についても書きたいのですが、自分の考えがまとまりません。
(3)イランを訪問中の元首相に関してですが、対米関係においてはますます彼(そして日本)の評価は下がるでしょう。しかし、イランは日本の元首相&「民主党の外交特別顧問」が遠方より来てくれたので、評価するはずです。平和の使者「鳩」は、政治家の最後の章で、名誉挽回を狙っているのでしょうか。
MIYAさん、さっそくコメントありがとうございあす。毎度のことながら、準備に準備を重ねて書かれた記事に感動しています。対人地雷の記事楽しみにしています。私は元首相には『名誉』という意識すらないと思っています。沖縄をあれほど混乱させた罪は大きすぎるし、議員を辞めるといいながら辞めないのも、全く美しくないと思います。国益(あまり好きな言葉ではありませんが…)からみても、ますます日本への不信を招くと思いますねえ。
返信削除ご存知かもしれませんが、「コートジボワール日誌」のエピローグがupされました。
返信削除http://blog.goo.ne.jp/zoge1/e/4bdcea8fa16bc0adc4c779a9567d1125
岡村大使はシカゴ総領事として赴任されたようです。
http://www.usshimbun.com/interview/interview-okamura.html
MIYAさん、貴重な情報あるがとうございました。
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