2010年7月20日火曜日
髪の毛ソーラーと”もどかしさ”
話は18日の朝に遡る。5時台であったと思う。偶然見ていたNHKで、ネパールの青年の話をやっていたのである。ミランという名のトリニティ・カレッジに学ぶ物理学の学生の話だった。彼は、髪の毛でソーラーパネルを作ると言う凄いことをやっていた。なんでもメラニン色素が電気を起こすそうである。
彼は、小さいころから道具を作るのが好きで、村の水場で水車を回し、電気を起こしたんだとか。当然優秀だったわけで、両親が「腎臓を売ってでも」と応援してくれ、今大学生になれたのだという。ちょうど仮想世界ゲームの直前にこんな番組を私は見たわけだ。後で調べるとアジアンスマイル「未来を灯(とも)せ!髪の毛ソーラー~ネパール カトマンズ~」http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2010-07-19&ch=11&eid=19226というBSの番組をほぼ時間つぶし的に朝に流していたのだった。
仮想世界ゲームのふりかえりの中で、私はこの番組について述べた。なんと生徒が1人とN女子大付属のM先生も見ていたのだった。私は、今回のゲームで、途上国の”気持ち”先進国との”埋めれない溝”みたいなものをちょっとでも実感して欲しかった。私は貧困をいつもアマルティア=センの潜在能力を発揮できない状況だと定義して授業を進めている。ミラン君は、両親の献身的な努力で今を掴んでいる。この力がなければ、このような素晴らしい発明もなかったに違いない。
私は、ふとケニアで視察したジョモ=ケニヤッタ大学の理工学部を思い出した。理系の学部にしてはあまりに装置類が少なく閑散としていた。そのケニアが理系教育においてはアフリカでもトップクラスであり、ブルキナファソなどとは比べるべくもない先進地域だと知った。この格差。南南の較差も大きいのである。
ネパールの様子も同様であった。ミラン君の能力が、ネパールの為に途上国のためになれば素晴らしいと思うし、生かしてくれるような「ガバナンス」を期待したいところである。…が、難しい。このような”もどかしさ”こそが”現実の貧困”なのである。今日ゲームに参加した生徒とちょっと話した。彼らはそういう”もどかしさ”にゲーム中、直面したという。それでこそ仮想世界ゲームは成功なのだと思う。
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NHKの番組を見ておらず、また、関心があったので、調べてみました。
返信削除この話は2009年7月にネパールのReprica [1]、同年9月に英国のDaily Mail [2]が記事にしました。
[1] http://www.myrepublica.com/portal/index.php?action=news_details&news_id=7186
[2] http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-1212005/Teenager-invents-23-solar-panel-solution-developing-worlds-energy-needs-human-hair.html
日本では同年10月に、ネット新聞[3] が取り上げました。
[3] http://news.livedoor.com/article/detail/4373277/
Daily Mailの記事には、読者から140のコメントが寄せられており、一部の読者は「いかさま」あるいは「科学的に間違い」と評価し、ネット上でレポート[4]を書いています。
[4] Apple社の技術者(Craig Hyatt)による評価
http://sites.google.com/site/edwardcraighyatt/hairsolarpanelnepal
Daily Mailの記事が出てから9ヶ月半経ちましたが、それ以降、世界は無視しているようです。ただし、NHK(放送日 2010/7/13&17&19)を除いて。
http://www.nhk.or.jp/asiansmile/onair/20100713.html
私には評価できる能力がないので論評できません。同僚の科学の先生にご質問なさって下さい。
同じ日本でも都市と地方では天と地の差があります。
返信削除もちろん開発途上国と比べて日本には潜在能力を活かせる機会が多い気がしますが、それは都市に限ってのことです。
潜在能力を発揮できるというのはもちろん、自分の生まれた土地で活躍できるというのは本当に幸福なことだと改めて感じました。
miyaさん、いつもながら丁寧なコメントありがとうございます。だいぶ前にBSで放送されたものらしく、私も事の真偽はわかりません。一度本校の理科の先生に聞いてみます。ありがとうございました。
返信削除哲平さん、コメントありがとうございます。潜在能力を生かせる社会というのは、ほんと稀なような気がしますね。私は生粋の大阪人なので田舎がありません。国内では北海道は6回ほど旅しましたが、哲平さんのいう地方との差については、若干解るような気がします。