今回の地理総合で、サブ=サハラ・アフリカの開発経済学を講じてきた。ASEANの中進国との対比も含めて、結論的にはHDI(人間開発指数:各国の豊かさの国際的指標)を上げるためには、インフォーマルセクター(非公式な経済活動:税収を伴わない)から、サプライチェーンに組み込まれるようにすることが重要ということになった。ここで、授業で話した私のアフリカでの経験をいくつか記述しておきたい。
ケニアのインフォーマルセクター:ケニアでは当時、国内税収の基盤は、マタツー(乗合バス)の待合場での課税が主だと聞いた。国道沿いには多くの野菜や果実を売る人々がいた。最も面白かったのは、私たちが宿泊していたホテルの手前の交差点で、スーツ姿で花束を信号で止まった車に売っている長身のイケメン男性だった。近くの花屋で売り物にならない花(ゴミである)を拾って無理やり花束に見せている。何度も遭遇したがなかなか売れない。ナイロビを立つ日についに売れたので、移動のバス内で歓声が起こったのを覚えている。ケニアのインフォーマルセクターについては、『ムチョラジ!』(画像参照)という本が詳しい。
ジンバブエのインフォーマルセクター:ジンバブエでは、首都ハラルで、紙巻きたばこを1本売りしている少年に会った。また南アとジンバブエを担ぎ屋するショナ族のおばさんの荷物移動や国境での対応に協力した。ジンバブエ到着後、休日だったので両替ができない状況下、彼女のおかげで、かなり有利なヤミ両替をしてもらえた。両替商も当然インフォーマルである。
ブルキナファソのインフォーマルセクター:マルシェ(市場)で、地図などを注文したら買ってきてくれるという男たちをNGOのIさんに紹介された。わずかな駄賃で生きる人々である。また女性の下着を手にしている、タンザニアでいうマチンガの男性もマルシェで見た。夕食時に来てくれるゆで卵を持った少女にも会った。毎回カラをむいてくれる。「学校に言ってるの?」という質問をしたかったがついに出来なかった。(この話は生徒に響いたようである。)近年ブルキナファソでは、店構えのちゃんとしたところでは税収をIT化しているようである。
各国とも、私が旅してからだいぶ経つ。インフォーマルセクターも様子が変わっているかもしれない。いや、変わっていることを期待したい。