2014年1月14日火曜日

奈良教大のアフリカ理数科教育

奈良教育大出身のM氏
先日、奈良教育大のG君から、久しぶりにメールが来た。「アフリカの教育事情」という講演会があったそうで、実際にアフリカで理数科教育を行っている2人の先輩が講師として登場されたらしい。お二人ともともイニシャルではM氏というらしい。そのうちの一人のM氏は、私がブルキナでお会いした方ではないか?という問い合わせだったのだ。…正解。

私が前任校での最後の教え子世代であるG君に奈良教育大学を勧めたのは、T先生という大御所がおられて、関西のESDの本拠地の1つになっていること。もう1つは、スマッセで活躍していたM氏が奈良教育大の出身だったからだ。

このM氏、私がお会いした時は、ケニアが本拠地の専門家だったのだが、フランス語圏の西アフリカにも行ってもらえないかということになって、来たという話だった。実際にブルキナの教育関係者(校長を統括するような立場の人々)を相手に、理数科教育の基礎をフランス語で教えておられた。どうもフランス語は初級程度らしく、「強心臓で笑わせながらやってます。」と言っておられた。私の方がはるかに教師暦は長いので、ちょっと上から目線で言わせてもらうと、教授力もなかなかの力量だと見た。どんな授業も、ある意味、エンターテーメント的要素が必要なのだ。うまい。遥かに年上で経験もありそうな現地の方々を笑わせながら、授業を進めている姿に感銘を受けた。

M氏は、今G君が世話になっているN先生の先輩にあたるらしい。こんな凄い方と出会えて嬉しいと、G君から返信があった。こちらも、同じくらい嬉しい。私の想いが、またひとつ現実化したなと思うのだ。G君は、この5月から6月、前任校に教育実習で来るらしい。是非会いに行って激励しようかなと思う。

2014年1月13日月曜日

NHK "Japan brand"

昨夜見たNHKスペシャルは、示唆に富んでいたと思う。「シリーズ・日本の成長力”ジャパンブランド”」というタイトルである。中国や韓国に(価格の安さで)追い込まれている日本のこれからのビジネスは、日経の元旦の社説が言う(1月3日付ブログ参照)、「日本力」であるという話だ。

…日本に来た外国人が驚くような、日本では当たり前のシステムがある。鉄道運行の正確さや自動販売機、販売サービスなど、我々が気づかない「日本力」である。妻が、長崎に行ったとき、空港から市内に向かうバスに外国人が乗っていたそうだ。高速道路のETCシステムに、いちいち驚いていたらしい。バスが低速で進み、バーにぶつかる!と思ったら上がっていくのが、不思議らしい。何度も「ウォー!」と言うので、妻は大笑いしていたのだとか。

…こういう繊細な技術とサービスが「日本力」である。たしかに、アメリカなどでは、タクシーは自動ドアではないし、NYのペン駅でもロスでも鉄道も出発するプラットフォームが直前までわからない。時間も不確かだ。日本より便利だなあと思ったことはあまり記憶にない。(フリーウェイは日本よりはるかに出入り口がわかりやすいけど、国土が広大故だと思う。)私が、アメリカで日本をはるかに凌駕していると思ったのは、ミュージカルやSTOMP、ブルーマンや博物館の展示などの「エンターテーメント」の完成度であった。もちろん、それぞれの国に良さはあるし、だからこそいつも海外に行きたいのだが、日本の持つ安心感はやはり飛びぬけていると感じる。

…私が最も感慨深く見たのが、ケニアのナイロビのスラムで、ある日本企業が電気や上下水道といったインフラを必要としない住宅(インフラフリーユニット)を建設しようとしている話だった。電気は中古のソーラーシステム、上水道は雨水タンクであるが、トイレが凄い。生ごみなどを肥料に変える機器を使っているのだった。快適なトイレは水洗だが、世界中で、水洗トイレに使えるほど水インフラが整っている場所はそう多くない。いずれ、世界的な水危機が訪れる。そこで、こういうトイレを開発したのだという。目の付け所が凄い。日本は先端技術に優れているが、先端でない技術でもどんどんうまく活用していく。日本は安心で快適な生活を送るために、常に考えてきた。ケニアの人々に喜んでもらえる技術を考え出したわけだ。ケニアのおばちゃんが大喜びしている姿に、私は大いに感じるものがあった。

番組のHP:http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/0112/
グリーントイレの情報:http://diamond.jp/articles/-/38397
TICADⅤでの展示画像:http://kenchiku-blog.blogspot.jp/2013/05/lixil.html

2014年1月12日日曜日

参加型学習で学ぶ「ヒロシマ」

先日、『地球市民共育塾ひろしま』から、教材集が届いた。昨年夏の広島での国際理解教育学会で、塾の方に私の発表を聞いていただき、アフリカSDゲームの資料を送付させていただいたことがきっかけだ。”参加型学習で学ぶ「廣島」「ヒロシマ」「Hiroshima」”と題された教材集で、県立広島大学と共同で製作されたとのこと。

この、長めのタイトルには、大きな意味がある。これまで、広島の平和教育といえば、すなわち原爆であり、その惨禍を後世に伝えていくことであった。きわめて重要な教育である。しかし、「過去形」の原爆教育への特化だけでなく、世界の現実(構造的暴力)に目を向ける「現在形」、さらに平和構築へ向けた「未来形」の実践も必要ではないか、そういう趣旨でこの教材集が作られたのだという。それで、タイトルの「廣島」は、被爆前の人々が生活する街(原爆で一瞬にして奪い去られた人々へ思いを巡らす平和学の原点として)を、「ヒロシマ」は1945年8月6日(この被爆体験の継承)を、「Hiroshima」は世界へのメッセージを発信するという意味合いが込められているのだという。

すばらしい教材集である。私が特に感銘を受けたのが、「外国で平和展を開こう」というワークショップである。実際に平和公園や資料館を調べるのが理想だが、バーチャル・ミュージアムでも実施可能なところが凄い。外国に伝えるという観点から、生徒が視野を広げ、何を訴えるべきかを考えるというのがすばらしいと思うのである。WEBで画像検索したら、まさにそのチャート図があった。こういう参加型の学びこそ、今求められているものだと私は思うのだ。

改めて、教材集を送付いただいた地球市民共育塾ひろしまの中須賀さんにお礼申し上げたい。

2014年1月11日土曜日

インフェルノ

ダン・ブラウンの「インフェルノ」を読み終えた。その内容を明かすことは悪趣味だと思うので書かないが、期待通りの面白さだった。ダン・ブラウンのラングドン教授シリーズは、なんと言ってもその薀蓄がすばらしい。新たな発見が知的好奇心を大きく刺激する。今回は、ダンテの「神曲」を中心に、フィレンツェから話が始まるのだが、ホント興味深かった。欧米文化の根底に流れる本流を旅した感じだ。ダンテの言葉や美術や建築に関してのことは内容に関わると思うので、書かないが、ひとつ大きな発見があった。備忘録的に期しておきたい。(下巻P223)

キリスト教もイスラム教も言語中心主義だ。つまりコトバをよりどころにしている。キリスト教の伝統では、ヨハネによる福音書において、コトバは肉体になった。1章14節に「コトバは肉体となりてわれらのうちに宿りたまえり。」とある。だから、コトバを人間の姿で描くことが許された。ところがイスラム教では、コトバは肉体とはならなかったから、コトバのままでいるしかない…だから、たいていの場合、イスラム教の聖なるものは名前だけが飾り文字で書き記されているというわけだ。

…なるほど。「はじめにコトバありき。」このコトバはロゴスなのだが、キリスト教ではそれが、肉体化しているというわけだ。その拠所がヨハネ福音書だということになる。

ところで、昨晩はエントリーできなかった。しなかったのではなく、できなかったのである。昨日は月1回の糖尿病の診察の日で、枚方市駅近くの専門医院に妻と行ったのだが、病状は良くなっているとのこと。気を良くして帰路についたのだが、車中で突如として悪寒を感じた。ぶるぶると震えがとまらなくなったのだ。さきほど医院で血糖値を計ったら62の低血糖状態だった。昼食から時間がたっているからでさほど気にしていなかったのだが、(後から判明したのだが)低血糖による低体温状態になってしまったようだ。自宅で計った体温計は32℃を示していた。震えがますますひどくなる。以前手術を受けた時に低体温になった経験のある妻の機転で、足湯につかり少し持ち直した。さらに普段さけている糖分をどっと取ったが、結局吐いてしまい、まさに「インフェルノ」。あわや救急車という状態だったのだ。結局、妻の用意した電気毛布と、湯たんぽ2個を抱いて安静にしていた。気がつくと朝で、なんとか回復したのだった。妻のパートナーシップに感謝。恐るべし。低血糖と低体温。あやうく「インフェルノ:地獄編」に陥るところだったのだ。

2014年1月9日木曜日

バーンガ 2014

3年生の現代社会演習では、2学期に一神教の講義を行い、ナイロビのモール襲撃事件をもとにパネル・ディベートを行った。異文化理解が大きなテーマだった。3学期は、これを受けて、本校で初めて「バーンガ」をやってみた。毎回思うのだが、この「バーンガ」、準備が地味に邪魔くさい。アクティビティの効果という点では、かなりインパクトが大きいので、久しぶりに実践することにしたのだった。

普通科でやったのだが、今日は欠席が多く、20名で実践した。全校的に、今日は欠席が多い。インフルエンザもボチボチ出ているし、感染性の胃腸炎の疑いのある者もいるらしい。(ちなみに、我2年5組は2日続けて全校唯一の皆勤である。ちょっと鼻が高い。)結局4人組×5Gでやってみた。うーん、5人組×4Gの方がよかったかなとも思う。とはいえ、予想通り、声は出せないが、大騒ぎになったのだった。(笑)

ふりかえりで、解説すると、これが、異文化理解のためのアクティビティだと理解するのに時間はかからなかった。なるほど…と皆納得したのだった。

2014年1月8日水曜日

総合的学習 アメリカ学入門2

総合的学習はこれまで、州コードを調べさせたり、クイズ形式でやったり、「明白なる天命」「多様性の統一」など自由や民主主義、移民の歴史などを講義したりしてきた。今回は、ちょっと準備に時間を費やして、パワーポイントで、ニューヨークの紹介をしたのだった。

社会科教室なので暗幕がある。超小型プロジェクターを使っての授業となった。まあまあ盛り上がったのだった。ただ、真っ暗なので、反応がもうひとつわからない。そこが難点だなと思う。英語科のLL教室は、明るいまま、パソコンのモニターを見ながらなので、反応がよくわかるのでやりやすいのだ。

今回のニューヨークの紹介では、96丁目のB&Bのまで経験した話と、ミュージアムマイルで経験した話をメインとした。ワシントンDCまでUSホロコースト博物館を見に日帰り旅行した夜のことである。ヘビースモーカーの私はB&Bに入る前に、喫煙をしていたのだが、そこにB&Bの3Fの住人が帰宅してきたのだ。男女の白人の若者で、私を見るなり、「君がB&Bに宿泊している日本人か。」ということになった。「ニューヨークはどうだい?」という感じでフランクに語り合っていたのだが、1人の男性が、道をはさんだ前の家に、黒人が座っているのを発見したのだ。雪が舞う寒い夜だった。コートの襟を立てて座っている。ホームレスのようだった。彼は、さっと黒人の方に歩みよって、$1札を渡し、「Get out!」と言って追い出したのだ。女性がまるで映画のように両手を広げて「仕方ないのよ。」もう一人の男性が「この辺の治安が悪くなると地価が下がるのでね。」と言ったのだった。アメリカの実相なのである。絵に描いたような人種差別は決してなくなったわけではない。

もうひとつの5番街のミュージアムマイルでの話は、その対蹠にある話だ。メトロポリタン美術館を一気に見終えて、ベンチでこれまた喫煙していると、親子連れが南のほうから歩いてきた。白人のちょっと老と言った方がいい夫婦が、黒人の男の子を連れて歩いているのだ。しかもその子は障害を持っているようだった。だから、ゆっくりと歩みを進めてくる。老夫婦の顔は幸せに満ちていた。推測するに、彼らは養子として彼を迎えたのだと思う。アメリカで養子を申請する場合、男女も人種も指定できない。老夫婦は、彼を心から喜んで迎え入れたのだろう。ほんと幸せそのものの散歩姿だった。北へ向かい、金色の夕陽が彼らの背を照らしていた。私は感動して、彼らに合掌したのだった。

真剣に、生徒諸君に訴えた。アメリカに黒人への差別はあるのか、ないのか。本当のところ、私にはわからない。ただ、私が経験したことは事実だ。是非自分の目で見てきてほしい。総合的学習としてのアメリカ学入門で語りたいことはいっぱいあるのだが、この2つの話は、なんとしても語りたかったことである。

2014年1月7日火曜日

朝日 ジンバブエの野球とHIV

http://oasis-jp.org/action/baseball.html
日経に良いアフリカの記事があったのだが、朝日でもいい記事があった。しかも、あのジンバブエの話である。なおさらであるので、今日は続けてエントリーしたい。ジンバブエでは、JOCVが熱心に野球を指導してる。(他のアフリカ諸国でも大いに頑張っている。嬉しい話だ。)おかげで、競技人口も14000人にまで増え、364の高校でチームがあるそうだ。

この野球の練習後、HIV/エイズの講習会を、年数回コーチが行っているのだという。野球はルールが複雑なので、選手たちはじっくりと説明を聞く習慣が身についている。しかもグランドで、リラックスした雰囲気で議論ができる。さらに選手の半数が特に予防知識を身につけさせたい10代後半の女子選手なので、野球とHIV講習というのは一石三丁の効果をもつわけだ。

この講習会は、全学校で開催されている。というのも、野球協会との協定が結ばれているからだ。野球コーチ育成コースにはエイズ教育プログラムも盛り込まれている。講習会開催は野球教室や道具提供の条件でもあるそうだ。野球協会にとっても、15%という感染率のジンバブエで社会貢献するスポーツということで、競技の普及にも一役買っているらしい。

一方、HIV陽性の女性たちが、自尊心を取り戻そうとサッカーチームを結成、活動しているという。ハラレだけでも17のチームがあり、生き生きと活動していて、偏見から理解へと輪が広がっているという。

27%を超えていたジンバブエの感染率は下がったものの、まだまだ高い。エイズ関連予算の多くは治療費用に向けられるのは当然かもしれない。そこで、スポーツを生かした啓発活動への期待が高まっているというわけだ。ホント、ジンバブエの久しぶりのいい話題だった。