![]() |
| https://www.youtube.com/watch?v=rPzSH5x61Fg |
第2章の、ユーロ圏を1つの身体と見て、フランスは、その心臓であり、国債はその全身を巡る血液、銀行は血液を運ぶ血管、スプレッド(債券の金利の利回りや信用)はその異変を知らせる体温計というたとえは、実に参考になる。私は政治・経済の授業では、インフレ・デフレを身体と血の量でよく説明するのだが…。
50年かけてフランスは財政赤字をじわじわと重ねてきた。その原点は80年前の約束(連帯:ソリダリテ)にある。19世紀末の政治思想で、レオン・ブルジョワは、「社会から恩恵を受けて行きている以上、互いに義務を負う、個人の自由を重んじつ共和国が、同時に支え合いの仕組みを持つ。」としたのである。WWⅡ直後、現在の社会福祉制度は、レジスタンス組織、官僚、労働大臣らの協力で成立したもので、年金は日本と同じ賦課方式。フランスでは、アキ・ソシオ(闘争や交渉によって勝ち取った権利は、社会契約の一部であり、簡単に手放すべきではない)という意識が強い。よって、縮小されることは非常に難しい。このチャンネルの制作者は、このソリダリテは、戦争の傷から生まれた国家の物語そのものなので、故にその権利の一部を削る議論は、共和国とはなにかという根源的な話になってくるとしている。
石油危機の1973年まではフランスも高度経済成長期で、財政は黒字だった。以後は財政改革の試みと街頭の抵抗(ストライキ等)が交互に起こり、政治状況の混迷もあって、うまく進んでいない。
今回の高校生の抗議は、未来への投資を求めたものだが、未来への投資と過去への約束(教育予算の1/4が退職した教員の年金にあてられている)が同じ財布の中で競い合っている構図が浮かび上がってくる。このチャンネルの制作者は、これを「獲得された権利の罠」の正体としている。1つ1つの権利はその次代に正当な理由を持って勝ち取られたものであるしかし、権利は積み上がる一方で、経済の成長は昔ほど速くない。その差を埋めてきたのが50年分の借金であった。前に進めても後ろには戻りにくい歯車のようなものであると。
第5章は、ユーロ圏から見ると、フランスが「大きすぎて救えない:ギリシャとの決定的な違い」というタイトルがつく。フランスの財政赤字は、€3兆5955。ギリシアの11倍もある。ギリシア危機の歳、EUがつくった加盟国向けの緊急融資の基金・ESMの、融資限度は€5000億(実際は、すでに約束済みの分があり€4330億)だし、ドイツに次いでESMを支えているフランスが支えてもらう側に回れるのか、と言うと大きな疑問である。ESMやIMFに頼ったりすれば、信用が解けてしまうだろう。このチャンネルの制作者は、「フランスの危うさは、借金の大きさそのものより、大きすぎて誰も肩代わりできないのに、自分では通貨を刷れないという組み合わせにある。」としている。
第6章のタイトルは、ソブリン・バンク・ワープ(ソブリンとは国家の意)破滅の連鎖のメカニズムで、国債と銀行と政府の悪循環の関連である。これは実にわかりやすく解説されていて有為である。国の信頼が揺らぐと、銀行が持つ自国の国債の価値が下がり、自己資本が削られる。銀行が弱れば、国家による救済が行われる。その救済の負担が予想されて、国の信用がさらに揺らぐ。(画像の左の輪)さらに実体経済の輪(右の輪)、体力を失った銀行は、企業や家系への貸し出しを絞る。すると景気が悪化し税収も減る。これによって財政が悪化し、国債の信用が揺らぐというわけである。
欧州中央銀行の話が続く。条約と規律と物価に正統性を与える立場の欧州中央銀行は、買い支える力はあっても、この3つ(条約・規律・物価)のどれかの鎖を引きちぎることになる。よって最後は政治に決済を求めるだろうと。
最後に、今回の危機は、前述のフランス国内の「連帯」と欧州の「連帯」のぶつかり合いでもあり、またこの2つの連帯はこれまで互いを支えてきた。(共通通貨のお陰でフランスは低い金利で借金を続けることが出来たし、フランスの社会保障は欧州のモデルとして語られてきた)だが、それぞれが互いの重荷になってしまったという逆説こそが、今回の危機の一番深い層にあると結ばれている。




0 件のコメント:
コメントを投稿