2022年9月13日火曜日

新帝国主義とネスカフェ

ブルキナファソの土産物屋 https://www.azalai-japon.com/photobook/burkina/burkina.html
佐藤優の「知の読書術」を一読して、現在の世界が、新自由主義のグローバリゼーションによって経済格差の拡大と民族主義の台頭、新帝国主義的な構図になっていることを再確認した。この本自体は2014年のロシアのクリミア半島進出の頃書かれたのであるが、現在はなお一層悪化しているとしか言いようがない。

SDGsを同時に教えていて、また政治経済を教えていても暗澹たる気持ちになる。SDGsに関しては、国連総会で採択されたアジェンダである。それまでのMDGsが途上国主体であったのを先進国・中心国も含めた全世界に対象を拡大し、誰ひとり取り残さないという理想のもと推進されているが、裏では新帝国主義の隠れ蓑になってしまっている感がある。政治経済にしても金融政策を説いたところで、インフレに悩む各国が金利を上げたところで、FRBが金利を上げている上、通貨安は止められない。それがコストプッシュインフレとなって跳ね返ってくる。もはや金融政策も意味をなさないほどのグローバリゼーションの進化がある。

だから、何なのだと言われると困るのだが、社会科教師として生徒に嘘は教えられない。これだけサプライチェーンが拡大していると、国家の枠を超えた経済政策が必要なのだが、USドルに抑えつけられた「自由」貿易体制の中では、もがくしかない。まだ日本は基礎体力があるし技術力も有るのでいいが、途上国は新帝国主義によって、完全に構造的暴力のもとにある。IMFや世銀の自由貿易優先作は、いくらSDGsで工業化を謳ったとしても絵に描いた餅にすぎない。

こんなことを思い出した。昔、ブルキナファソで、消費された大きなコーヒー缶(ブルキナベはコーヒーをネスカフェという呼んでいた)を細工して、民芸的な土産物を作って白人観光客に売っていた。その裏で、彼らは「白人が売りつけたネスカフェのゴミを回収させているのさ。」とうそぶいていた。その時、私は、笑ったのだが、後で実際は笑えない話だと思ったのだ。彼らの思いは共有できるし、まさに真実をついていると思う。

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