ハッカー集団で匿名を意味するアノニマス(Anonymous)が、イスラム国に対して新たな攻撃を開始すると発表したという報道番組を見た。先日のフランスの事件の後、すでに宣戦布告したらしいが、日本ではあまり報道されなかったように思う。
具体的には、勧誘に使われているポータルサイトに打撃を与え、メンバーの身元を公開(イスラム国に関連のあるフェイスブックのプロフィールリスト、ツイッターのアカウント)を公開したという。
このアノマニスは、ハッカー集団であり非合法な行動もとる。アラブの春の際やメキシコの麻薬組織、北朝鮮への攻撃、日本政府機関や日本音楽著作権協会へも攻撃したこともある。特定のリーダーがいるわけではなく、無数の人々が離合集散しているようである。
…今回のアノニマスの「われわれはあらゆる国、人権、宗教、民族から集まっている。われわれはイスラム教徒であり、キリスト教徒であり、ユダヤ教徒である。ハッカーであり、フィッシング詐欺師であり、諜報員であり、スパイであり、あるいはただの隣人でもある。」という動画のコメントからは、表現の自由を重要視する欧米人がこれを発信しているように思われる。仏教徒やヒンドゥー教徒という語彙がないからだ。
…ともあれ、アノニマスという国境を越えたあいまいな集団が、イスラム国に宣戦布告したことに少々ショックを受けた。
それは、反イスラム国で組織された軍事・非軍事的攻撃能力をもつ近代国民国家群が形成した「有志連合」というという既存の潮流とは、全くスタンスが違うからだ。国家とは全く別のハイパー攻撃能力を持つ市民レベル(そう言ってしまっていいのか微妙だが…。)の集団が戦いだしたからだ。
このアノニマスの宣戦布告を拍手をもって迎えるべきなのかどうか、今の私には判断できないのだ。当然ながら私はイスラム国に与する者ではない。ただ今でも、本当の隠れた敵は、「構造的暴力」だと思っているからである。アノニマスは構造的暴力のひとつなのか、あるいはそれに敵対するものなのか判断がつかないのだ。
2015年2月15日日曜日
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