2010年1月26日火曜日
設問:仮想世界ゲームの考察
今日から3年生の学年末考査である。楽しみにしていた答案が手元に届いた。秀作が多く、私が厳選して付箋をつけた答案だけで、半数の22枚もある。特に印象に残った答案をいくつか紹介したい。
『E地域は、優秀な政党主が、社会主義路線を貫いた。私有財産を提供し、地域で農園を5つ購入し、飢餓に備えるとともに、政党主が食糧チケットを先進地域から安く仕入れてきた。一般ピープルとしては、その片割れである労働チケットに名前を書き込むだけ。何事もなく、そのセクションが終わり、収入が入り、またチケットに名前を書く…その繰り返しだった。私も何かをしなければ、と他地域の喧騒を感じつつ、でもこれ以上何ができるのかと思い、思考を停止した。社会主義国の国民ってこんな感じだと思う。彼らが、冷戦崩壊で、資本主義の荒波に飲まれた時、どんなにか苦しんだだろう…と考えた。(趣意)』
『S地域は北朝鮮であったか?否、我々には情報が十分にあった。第3セクションで食糧チケットが余っているはずなのに、手に入らない状況があった。まさに他地域からの経済封鎖である。調べると北朝鮮は情報管理が行き届いているとか。飢餓になるかもしれない、そんな情報を得てもよけい何もできない。その意味で我がS地域はかの国より劣っていたと見るべきだろう。この仮想世界は全国民が倫理的で道徳的であるという前提があると私は思う。兵器を作ったり麻薬を売買して私腹を肥やすというルールはない。しかし、もしこれが現実であれば、私は悪に手をそめていたかもしれない。現実を思うとひどく切なく思えた。(趣意)』
『先進地域の一般市民だった自分。はじめ無役のプレーヤーは働き手としての数合わせとしか思っていなかった。無役の自分ができることは本当に少ない。私が実感できたのは、何もしない自分と、それを腹立たしく思う自分。だが無駄ではなかった。仮想世界ゲームは、地球市民になるための一歩を進むための手ほどきだった。世界に対する自分を、自分に見せるゲームだった。(抜粋)』
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