2010年1月27日水曜日
神の見える手
昨日の学年末考査の続編である。仮想世界ゲームの考察の中で、第3セクションでの私の『神の見える手』(1月14日のブログ:仮想世界ゲームⅡ参照)について疑問を提起したものがあった。なぜS地域を救ったのか?実は、他の3地域は協調しようともしないS地域にかなり頭にきていて、あえて経済封鎖を行い、餓死者を出してでも解らせようとしていたのだというのである。…なるほど。餓死者を出してでもというのはひっかかるが、そういう戦略自体は理解できる。解答用紙の最後に、「是非時間があれば謎解きをして欲しいです。」とあったので、今日、当人を読んで試験終了後に話をした。私の謎解きは3つ。
その1:このゲームを失敗させるわけにはいかなかったこと。私にとって、今回の仮想世界ゲーム初めての試みであり、餓死者を出したというのは失敗したに等しいこと。南北貿易ゲームで先進国が途上国に負けたりするのとは、わけが違う。すなわちゲーム全体のバランスから見て是である。
その2:このゲームの元になったアメリカの仮想世界ゲームには、軍事的なルールも存在していたが、広瀬先生が日本の教育風土になじまないということで改訂されたこと。すなわち、教育的見地から是である。
その3:ルールでは、餓死者は、進行係の手伝いをすることになっている。もし餓死者が5人も出て、進行係を構成することになれば、地理Bの4人はどう思うだろうか。自分たちはゲームに失敗した者と同等の罰ゲーム的な仕事をさせられていると思うかもしれない。すなわち陰の苦労を厭わず勤めてくれている地理Bのメンバーの矜持にかかわること。陰の苦労をしている者を守るという人情の機微という観点から是である。
全ての見解について良く判ってくれた。特に、最後の地理Bメンバーたちの気持ちについては、十二分に納得してくれた。私は、知識を伝えること以上に、こういう時間をとることが好きである。改めて、こういう機会を与えてもらえた「全てのこと」に感謝したいと思う。
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