2024年6月30日日曜日

世界価値観調査考

阪大の教授である佐藤廉也氏の「大学の先生と学ぶはじめての地理総合」(KADOKAWA)に実に興味深い画像が載っている。アメリカの政治学者による世界価値観調査である。期末試験終了後は、この資料をもとに授業を進めようかと考えている。

この図の縦軸は、非宗教的・理性的価値を重視するか(+)、伝統的価値を重視する(ー)か。横軸は、自己表現・多様な価値を認めるか(+)、生き延びることが第一(ー)かになっている。原点は図の中心に置かれている。価値観の調査であるので、その善悪や正邪は全く無意味であると私は思う。これは生徒たちに重々伝えておきたい。

地理総合の授業であるので、地名に疎い生徒のためにも、まずは括られている地域を確認するところから始めようと思っている。ヨーロッパのプロテスタント圏とはどんな国を指すのか。同じくヨーロッパ圏のカトリック圏とは?米英カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの括りの特徴は?他に、東アジア、南アジア、東欧、バルト諸国(=バルト三国)、ラテンアメリカ諸国、アフリカ/イスラム諸国という括りになっている。

カトリックが多い国は、フランス・イタリア・スペイン・ポルトガル・アンドラ・モナコ・サンマリノのラテン圏と、非ラテン圏ではオーストリア・ベルギー・クロアチア・チェコ・ハンガリー・アイルランド・マルタ・リトアニア・ポーランド・スロベキア・スロバニア・ルクセンブルグ・リヒテンシュタインとなる。ドイツ(南部)・オランダ(カルヴァン派=ゴイセンも多い)・スイス・北アイルランドは半分カトリックである。ラテンアメリカもほぼカトリック。

プロテスタントのうち、ルター派が多いのは、ドイツ(北部)・デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・アイスランド。バルト三国のラトビア。(ちなみに残るエストニアは無宗教が半数以上)プロテスタントのうちカルヴァン派が多いのは、あまりに多くの分派に分かれているので、まあアメリカだといえる。もう一つの英国国教会は、イングランドやウェールズ、スコットランドと、旧植民地のカナダやオーストラリア、ニュージーランド。ただし、カルヴァン派の影響を受けて分派したものも多数ある。

南アジア(おそらくこの図では東南アジアも含めている)は、インドのヒンドゥー教、シーク教、ジャイナ教、仏教(チベット密教や上座仏教)圏と、イスラム圏(パキスタンやバングラディシュならびに中央アジア諸国)、東アジアは、表向き儒教圏であり大乗仏教圏である。

宗教分布は、なかなか捉えにくい。無宗教の人も増加しているし、国ごとにステレオタイプで語れないのだが、世界全体の価値観という視点で見るというのは意味があると私は思う。

こうしてみると、ヨーロッパのカトリック圏が原点付近に位置しているのが面白い。やはり、ヨーロッパのプロテスタント圏が非宗教的・理性的価値を重視し、多様な価値を認めるとなっている。反対に、アフリカ/イスラム圏は、伝統的価値を重視し、生き延びることが第一となっている。

この図を解説していくことになるが、何をどう教えていくかを考えて、じっくりと授業計画を立てよいと思っている。まずは、キリスト教内の比較になるかと思う。正教会のほうが、カトリックよりも原理原則的であるように感じるし、プロテスタントは教会ではなく、神との個人的直接的接触を好むので、自由度が高いように感じている。カトリックは、教会中心だが、柔軟であると感じている。このあたりに、この図を紐解く鍵があるのではないだろうか。

コーランの中のキリスト教Ⅴ

https://www.iqrasense.com/ja/
キリスト教神学の「聖書学」の見地から書かれている「コーランの中のキリスト教ーその足跡を追って」(J.グルにカ著/教文館)の書評、最後に重要な補足的な内容についてエントリーしておきたい。

まず、マリアの受胎告知云々について、(マリアの婚約者であり、この世におけるイエスの父的存在である)ヨセフのことは全く出てこない。反対に、「ヤコブ福音書」にも記述がない、エジプトへの逃避行時の「椰子による保護」が違う形で語られている。これは「偽マタイ福音書」(20章)にあるそうだ。

また預言者たちの末路は、旧約・新約ともに悲惨な事が多いのだが、クルアーンでは神によって苦境と迫害から救い出されるようになっている。慈悲深きアッラーの面目躍如である。

クルアーンの第4・婦人章(=女性章)には、イエスが十字架刑で殺されたことになっていることを、157節『「私達は、アッラーの使徒、マルヤム(=マリア)の子マスイーフ(=メシア:救世主)、イーサー(=イエス)をを殺したぞ」という言葉のために(心を封じられた)。だが彼らが彼(イーサー)を殺したのでもなく、また彼を十字架にかけらのでもない。只彼らにそう見えたまでである。本当にこのことについて議論する者は、それに疑問を抱いている。彼らはそれについて(確かな)知識はなく、只憶測するだけである。だが、実際に彼を殺したのではなく、』158節『いや、アッラーは彼を、御側に召されたのである。アッラーは、偉力ならびなく英明であられる。』とある。(画像参照)

このように、イエスの刑死さえも、神によって召されたとされている。このことは、キリスト教神学の聖書学の立場からは、ここにもユダヤ人キリスト教徒の味方をしている、と論じられている。また、イエスの磔刑と復活が、クルーアーンでは救済的な意味を持たない。神の子としてのイエスを拒否し、イエスを1人の人間以上の存在であるというキリスト教信仰の否定である、と辛辣である。

またクルアーンはキリスト教を(三位一体説でイエスを神の子としていることに対して)多神教扱いしており、アラブの部族女神、アッラート、ウッザー、マナート(かつてカーバ神殿で神とともに祀られていた)と同様に見ていると批判している。(ちなみに、ジン=霊・妖怪の類は神が造られたとして存在は否定されない。マレーシアの教え子たちにジンの存在を教えてもたったのを思い出す。)

何度も記しておくが、クルアーンは、天使ガブリエルを介してヒラーの洞窟でムハンマドに与えられた神の啓示であるという立場をイスラム教はとっている。アッラーは、ヤハウェであり父なる神であるというスタンスであるから、旧約や新約の内容が含まれるのは当然である。ただ、それが単なる引用ではないところが、第三者のブディストである私にとっては、実に興味深いところである。

この本、実に勉強になった。一神教についてある程度の理解がないと難解に過ぎるとは思うけれど、キリスト教神学の聖書学と、クルアーンの記述の両者は、おそらく前述の『啓示』という一点で理解し合えることはないと思われる。

2024年6月29日土曜日

ケニアの増税反対デモ

https://www.jica.go.jp/Resource/activities/issues/agricul/
jipfa/africa_agri/ve9qi80000005ujs-att/20230125_02.pdf
ケニアで、増税二反対するデモが起こり、26人もの死者が出た模様。財政的に、対外債務がGDPの6割ほどに膨らんでいる。(このうちの3割を占める2国間債務残高は中国が71%強。前政権が、一帯一路の罠にハマって、ナイロビーモンバサ間の鉄道建設に関連するようだ。画像参照)この財政危機打開のための増税らしいが、コロナ禍の観光収入の激減や、ウクライナ戦争による穀物高騰などでインフレとなっており、反対デモが暴動へと発展したようである。

対外債務によるデフォルト危機は、ケニアだけの話ではないが、花卉栽培などがうまくいっていた矢先の世界的な経済の落込みが、脆弱なアフリカ経済を直撃している。

私の愛する国だけに、実に残念である。大統領がこのデモを受け、増税法案を撤回したのがせめてもの救いだろうか。

2024年6月27日木曜日

醜悪なフジ・日テレを弾劾せよ

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240627/k10014493541000.html
大谷選手の自宅を、様々な角度から勝手に取材し、本人や家族、そしてドジャーズが怒りをあらわにし、球団は以降の両社の取材を完全に拒否した、という報道が流れた。実際にはまだしつこく大谷選手の動向を伝えているようだが、取材拒否は当然のことである。アメリカの治安を考えると、本人や家族の生命の危険性さえある事例だ。近隣にとっても大迷惑である。人権に対する無理解、思慮のなさ、浅はかさに恐れ入る。

シーズン中なので不可能かもしれないが、もし、また引っ越しとなれば、球団は弁護士を使って莫大な損害賠償を請求すべきだろう。(アメリカのことだ、すでに準備に入っている可能性が高い。)大谷選手を応援する企業も両社のスポンサーやCM契約を破棄すべきである。

すでにTVは凋落というより、これだけ思慮がないというのは完全に終わっている。ワイドショーなどというくだらない番組のために、日本の至宝を傷つけることになったらと思うと、実に腹立たしい。あらゆる手段を使って、弾劾すべきである。

と、このような中で本人はホームランを量産している。ベッツ選手の怪我で、1番DHとなったと思ったら、二試合続けての先頭打者HRなど、水島漫画のような話である。おそらく家族のことが気がかりだろうが、なんというマインドの強さ。スーパースターを超えたウルトラスターである。

2024年6月26日水曜日

期末考査間近

https://www.morikado2.jp/ad/osakashinai-20220613.html
学院では、今週の土曜日から期末考査が始まる。授業時間数のクラス差があって、試験範囲を少し減らして、早くから試験作成に取りかかった。明日はいよいよ印刷だ。文科省の思考を重視する傾向が、学院の評価にも大きく関わっており、今回は、思考重視の問題を大幅に増やした。それが、未だに生徒の学力を把握しきれていないので、得点とどうと結びつくかが不安ではある。指定校や自己推薦入試に挑戦する総合コースや看護コースの生徒にとっては、3年の1学期の成績は人生に影響すると言っても過言ではない。がんばれー。

さてさて、学院はカトリックの学校なので、神に許しを請いつつ、人を許すというスタンスが常に強調されている。だから、教職員も生徒も、ホントやさしい学校である。そのやさしさにブディストの私もかなり救われている。ただ、昨年までの質実剛健の学園と比べると、正直”ぬるい”と感じることもある。特に国公立大学の共通テスト・一般入試に挑戦する特進コースは、受験生そのものである。やさいいことはもちろん良いことだが、自分を許していては入試で負けてしまう。

学園で、受験を突破した生徒たちの顔は、やはり精悍であった。強い意思が受験には求められる。最近、特進クラスでは、文系も理系も、教室に行くと多くの生徒が受験勉強をしていることが多くなった。精悍とまではいかないが、いい顔になってきている。いいぞ。激励に次ぐ激励をしつつ、少しばかり厳しいこともストレートに言い放つスタンスで、これからも接していこうと思う。

2024年6月25日火曜日

日本がぶっこわれた理由

「ねずみ」というYouTuberがいる。良し悪しはともかく、「日本がぶっこわれた理由」というコンテンツは、実に興味深い。特に3分後くらいに紹介される(世界有数の資産運用会社)ブラックロックのCEOの発言内容は、実にえげつない。

https://www.youtube.com/watch?v=9o-spC6J5ME&t=289s

マクロ経済については、私は高校生レベルの政経を教えることが可能といったレベルなので、絶対的な正解を語れる資質はないと思っているが、ねずみ氏の言わんとすることは十分理解できる。

できれば、ブログを見ていただいてる方々にも情報共有できたらと思う次第。

2024年6月24日月曜日

東京クレイジー

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/637cd64da89f5d43ec04cb20d5575ffb26d86f9f
東京都知事選はかなりクレイジーな様相を呈している。まずは、選挙ポスターの掲示板。48人分を選管が用意したが、結局56人が立候補し、掲示板に貼れない候補者はクリアファイルを渡されたとか。しかも、NHKから国民を守る党の立花氏は約24人を擁立、その候補者の掲示板に1箇所につき25000円を寄付すると、寄付者が個別に作成したポスターを24枚貼れるという活動をしている。そもそもポスター掲示板はいらないと考えているようで、活動というより、”悪だくみ”と言ったほうが適切かもしれない。公職選挙法の穴とはいえ…。https://www.tokyo-np.co.jp/article/335126

候補者もひどい。現知事はカイロ大学卒業という学歴詐称問題で騒がれているし、対抗馬とされている立憲民主党を最近離党した候補は、二重国籍問題で騒がれている。どう見てもごまかしているとしか見えないし、ご丁寧にも息子に絶縁されている。政権時の科学技術の開発問題で「2番じゃだめなんですか」という査定発言以来、この議員は小学生以下の知識しかないのかと思った。しかも早速選挙違反行為を代々木の連中がしでかした。2人共まさにタヌキである。このタヌキ対決と言われているが、その中で、広島からやってきた市長は誠実な人柄で際立っている。1500人のボランティアが説明会に押し寄せた。ただ、過去に私の大嫌いなI党のHを尊敬していると言ったらしく、そこが大きく引っかかる。

大阪府民の私からすれば、東京都知事選挙は全く関係がないが、東京在住の2人の政治家志望の教え子にとっては重大事である。おそらく注視していることだろう。なんとなく、世も末といった雰囲気が漂う選挙なのだが…。