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ベトナムは、石油の輸出国であるが、やがて輸入国に転じるだろうといわれているが、石炭も豊富。よってエネルギー輸出国であると言える。日本のようにエネルギー資源がないから原発をという話にはならない。国威発揚のため、あるいは安全保障上の意味合い(使用後にプルトニウムを所有できる)が強そうだ。ところで、原子力発電の技術をもっているのは、アメリカ、ロシア、フランス、日本、中国、韓国である。ベトナムから見て、韓国の技術水準は低いので安全性を考えて除外される。中国は大嫌いだからありえない。フランスは旧宗主国で避けたい。アメリカは有力だが、アメリカの方が戦争に負けた社会主義国には売りたいと思わない。残るはロシアと日本になる。で、ロシアから2基、日本から2基購入する予定だったが、福島の事故が起こり、建設予定地の周辺住民を説得するのが難しくなった。意外なことだが、ベトナムも共産党の一党独裁だが、国会議員は直接選挙で選ばれる。その10%は共産党員ではない。中国の全人代のようにはならず活発な議論が起こる。原発をめぐって国論を二分するような状況を当局は望んでいないだろう。日本の原発輸出は厳しいというのが著者の意見だ。
ハノイーホーチミン間に日本の新幹線をという話がある。時速300㎞で走っても4時間である。これは、LCCに勝てない。日本では、経済発展と鉄道建設の相互関係があると思いがちだが、鉄道は点(駅)と点を結ぶ発展になる。オートバイが多いベトナムでは、道路の方が線の経済発展が見られ有意であった。よって、道路建設は加速するだろうが、鉄道建設は進まないのではないか、これからの日本の鉄道建設輸出も厳しいというのが著者の見立てである。
1人あたりのGDPが$3000を超えると自動車が急速に普及するといわれている。著者は、スマホがその原則を覆すと考えている。スマホを利用したグラブ(マレーシアでも盛んだったタクシーや白タクを呼ぶアプリ)がベトナムでも盛んで、自動車は所有するものではなく利用するものとなっている。モータリゼーションが訪れる前にスマホが普及したことは、ベトナムの自動車需要に大きな影響を与えている。1人あたりのGDPが$3000寸前のベトナムへの日本車輸出も、タイやマレーシアのようにはいかない、というわけだ。
…著者の視点は実に面白い。まさにベトナム考現学。マレーシアとはまた少し様子が異なるわけで、T先生のベトナム通信を読むときの参考にしたい。ちなみに先日は、前にエントリーした「先生の日」の話だった。
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