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今回、サルトルを教えるにあたって、ムスリムにとっての自由について考えていた。彼らとやり取りをする中で、無神論的なサルトルをどう理解してもらうかが重要だった。イスラム教の六信の中の自らの天命について、日本留学をめざす若いマレーシアのエリートたちは、自らが努力し、自らの天命は自らが作るのだというムスリム的サルトルの理解に至ったような気がする。実存は本質に先立つということも、人間は自由の刑に処せられているということも、そういうムスリム的な理解ができたと思う。
思えば、授業で何度、サルトルを説いてきたことだろう。おそらくこれが最後になるのだと思うと、思い入れがあるだけに感無量である。
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