三崎高校の創立記念日で、午後から生徒会が運営する記念式典と、スピーチコンテストが行われた。体育館は寒くて、センター試験を受験する生徒が風邪をひかないか気が気ではなかった。(笑)スピーチコンテストは実に素晴らしかった。なかでも三年生のスピーチには感涙してしまった。
三崎高校は、業界用語でいう全入の学校である。入学定員に志願者数が足りず、全員が合格する。ということは、学力差が激しくなる。塾で集中して勉強している国公立大学に十分行ける生徒もいれば、中学校時代不登校気味だった生徒もいる。三崎高校はこういう不登校気味だった生徒を再生する力がある。私も何人か知っているが、生徒会やせんたん部、あるいは部活で自信を取り戻し、リーダーとして活躍している生徒もいる。おそらくは、先生方の熱心な指導と小規模校故に「その他大勢」になる余裕がないからだと思っている。今回スピーチした3年生の生徒は、以前”大久”に一緒に視察に行ったことのある生徒で、コミュニケーション能力に難のありそうな生徒だった。塾生ではないが強く記憶に残っていた生徒だ。もしかしたら緘黙の生徒かもしれないと思っていた。
その生徒は中学時代に何らかの理由で自信を失い、コミュニケーションがうまく取れなくなり、1・2年生の時は休みがちで退学することを考えていたという。しかし先生方の家庭訪問、激励を受けて、なんとかやめずにこれたらしい。3年になって、就職試験のための指導で、大きな声を出す練習をしてから、だんだん自信ができたとのこと。バス通学でお年寄りに勇気を出して席を譲れるまでになったのが何より嬉しかった、三崎高校に来て本当によかった、という内容。タイトルは『大進歩』。本人にとってまさにタイトル通りの高校生活だったわけだ。私は、少しだけだけど知っているだけに、大感動のスピーチだった。同時に三崎高校という素晴らしい学び舎の存在に自分がいることを誇らしく思う。
その後、教師の研修会があって、不登校をライフワークにしている方のワークショップがあった。不登校とは直接的な関係はなかったが、集団内におけるコミュニケーションについて考えさせられるもので、大いに勉強になった。終わってすぐ、速足で塾に戻った。倫理の直前講座のためである。
昨日は、近代哲学のデカルトから実存主義のサルトルまで、4時間でやった。今日は社会契約論を含め、構造主義からプラグマティズムまで3時間強。プロとして、できるだけのことはやったつもりだ。結局、様々な逸話を挿入しながらコンパクトに教え込んだ。理解は十分だと思う。その後の整理と記憶は本人次第。『α波で行け』という受験の極意も伝えた。プロの本番。その戦いに勝った、と私は信じている。
2020年1月16日木曜日
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