2020年1月30日木曜日

地域経済学 DE 地産地消 考

地域経済学をこのところ独習している。昨年伊方町図書館で借りた「地域経済学入門」(初版は2002年8月発行)の第3版(2018年3月発行)がやっと手に入ったので読んでいるわけだ。私が学ぼうとしている地域経済学は、地域レベルのマクロデータ(人口や県民所得など)を取り扱うので、マクロ経済学の理論を用い、応用マクロ経済学的な性格が強い。この本は、大学の経済学部などのテキストに使われている故に、やたら数学の式が出てくる。(笑)当然ながら、その辺は飛ばして読んでいるのだが、今日は、ちょっと「地産地消」(その土地で算出されたものをその土地で消費すること)について考えてみたいと思う。

エシカル消費の視点やSDGsの環境問題との兼ね合いから見ると、フードマイレージ(食料輸送の距離と仕様交通機関によって、CO2排出の量が増減するので、短距離の方が環境に優しいという考え方)の面からも、地産地消は良いわけだが、地域経済学的に見ると、収入面ではあまり効率的ではないという結論になってしまうのである。これは、国際経済での常識であるリカードの自由貿易の理論(比較優位のある生産物に特化した方が生産量が上がり収益が増える)からも容易に推測できる。これらは高校の政治経済の教科書内容なので、経済学が専門でない私でも理解可能だ。
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うちの奥さんは、野菜などは大洲や八幡浜の地産地消の市場で購入することを旨としている。輸送費が最小限に抑えられているので安価で消費者にとってはありがたい。大阪などの都市部にこれらが運ばれると輸送費がプラスされコストが上がるし、商業施設のマージンも入ってくるはずだ。この「地産地消」は良いのか?悪いのか?これには生産規模による比較優位が関係してくる。地産地消の市場に運ばれる野菜などは、生産規模の小さい農家で、比較優位のないものを生産している生産者だと私は推測する。それならば、この生産者と消費者の取引はウィン=ウィンである。しかし、所得を増やすことを念頭に置けば、比較優位のあるものを大きな生産規模で生産することの方がはるかに効率的であることは間違いない。

四国の西予地域にあって、比較優位がある農業生産物はまちがいなく柑橘類であろう。農家の経営規模は必ずしも大きくはないだろうが、農協の助けを借りてトータルの生産規模では優位に立っているようだ。実際、八幡浜市などで季節労働者を集め、農家に振り分けて労働の効率性を高めていることも知った。比較優位のない農産物は地産地消の方がいいということかもしれない。

これらは地域経済学的に合点しているようにも思える。地産地消は、結局のところ良くも悪くもあるわけだ。こういう「社会科学の見方、あらゆる社会的事象は、タテヨコ、上下から見るべきである、すると正解はいくつかあるのだ。」ということを私は授業で何度も伝えた。その好例であるかもしれない。

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