2016年2月19日金曜日

ローマ法王に叱られたトランプ氏

全米カトリック教徒の分布 http://gigazine.net/news/20070710_map_of_religion_usa/
毎日の夕刊に、ローマ法王がトランプ氏を批判したという記事が載っていた。キューバ・メキシコ歴訪の帰路、特別機中で記者団の質問に答えたものらしい。メキシコとの国境沿いに2500kmの壁を建設し、1100万人の不法移民を国外追放したいと、トランプ氏が表明。これに対し、記者から「米国のカトリック信徒はこのような人物に投票できるか。」という質問が出た。法王は、「投票するかしないか、どう助言するかという問いについては、私は関わらない。」としながらも、「どこにであれ、壁を作ることだけ考え、橋を作ろうとしない人物はキリスト教徒ではない。」「そのようなことを言ったのであれば、その男性はキリスト教徒ではない。」と繰り返したという。
これにトランプ氏は「宗教指導者が個人の信仰を疑問視するのはみっともない。」と法王を非難。

…少し調べてみたら、トランプ氏の宗教は長老派教会らしい。だから、ローマカトリックの法王にキリスト教徒ではないと言われても、たいした話ではない。だが、意外なことに、米国で、宗派として見た場合、最も多いのはカトリックである。(バブティストやメソジスト、長老派、会衆派、英国教会など多数のプロテスタントは総数では米国の主流であることは間違いない。ただ、ピスパニックの増加=カトリックの増加であるというのも事実である。)人口においてもプロテスタントの白人(WASP)優位の米国を志向するトランプ氏からすれば、ピスパニックの背後に法王の存在を見ているはずだ。と、冷静に分析できないこともない。共和党は、党是から見て、プロテスタントが多いはずだ。共和党の急進派の茶会は、トランプ氏を推しているわけではないが、ローマ法王に批判されたという事実は悪い影響は与えないだろうと思われる。ただし、カトリックの多い州では大きなマイナスになる可能性もある。(本日の画像参照)

…記事で意外に面白いなと思ったのは、「米国のカトリック信徒はこのような人物に投票できるか。」という記者の問いである。「投票できるか?」という問いかけは、(トランプ氏に投票することを)神が許すか?という問いである。だから、法王はこれに「私(神)は関わらない。」と明白な言質を与えなかったわけだ。とはいえ、トランプ氏をキリスト教徒ではない、と明言したわけで、もしカトリックだったら破門扱いであるといえる。昔だったらカノッサの屈辱モノなのである。

…ローマカトリックの信徒における法王の言質は絶対的である。カトリック信徒にとっては、聖霊そのものだからだ。よくよく考えてみると、トランプ氏は、聖霊、いや神まで敵に回したわけだ。だが、カルヴァンの流れを汲む長老派教会の徒である彼からすれば、どーってことはない。ケンカ相手としては大いに上等、くらいの話であるはずだ。

…さてさて、神の祝福は、トランプ氏に与えられるのだろうか。私は、長老派の予定調和説的な差別感を好まないので、与えられない方に「いいね!」かな。

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