2021年6月13日日曜日

ジンバブエ・ドルの今

ジンバブエ・ドルの話が昨日エントリーした内容に出てくる。このジンバブエ行は、2004年夏のことである。この後世界的なハイパーインフレになる。私が行った時は、まだそこまではいかなかったが、両替してもらったジンバブエドルを見て、驚いたことがある。表はともかく、裏面が周囲のデザインはあるものの、中央部は真っ白なものだった。いかにも慌てて増刷したことがわかる代物だった。まさにハイパーインフレの嚆矢だったと思う。ちょっと調べてみた。

その後のジンバブエ・ドルは、価値を下げ続けた。2008年世界最高額の1000憶ジンバブエ・ドル(Z$)札が発行された。(これはアマゾンで教材として購入した)コンピュータの処理でも度々トラブルが起こり、中央銀行はデノミを実施した。Z$1000憶がZ$10となり新通貨を発行した。しかしインフレが進み、あまり意味がなかった。このような異常なインフレの中で、外貨を使う事の方がビジネス上有効であり、主にUSドルが使われていた。政府もそれを法定通貨として認めることになる。これだけ信用を失ったZ$より外貨の方がはるかに安全かつ有用なので、ようやくハイパーインフレが終息した。ただし、政府の外貨準備は著しく減少する。

その後、法定通貨は9通貨に増えた。通貨バスケット制を導入し、ボンドコイン、ボンドノートといったUSドルと同等の価値を有する通貨を発行したが、これもあまり流通しなかった。さらにZ$を廃止、USドルと交換すると2015年発表回収に動いた。これに代わるRTGSドルを唯一の法定通貨としてを019年に導入。しかし、再度インフレになり、2020年に再びUSドルの使用が許可された。

…通貨というものは、それを発行する政府の信用が裏付けになっている。様々な試みをしたものの、結局のところ国民は政府を信用していないといえる。失敗国家の面目躍如であるわけだ。これから先のジンバブエ経済も見通しが立っていない。かの白人を農場から追い出したことが、ここまで国を破壊することになるとは…。

…ふと、マンデラ氏のレインボーという白人との融和策を想起してしてしまう。白人による南ローデシア以来の支配を認めるわけではないし、キバキが黒人政権を樹立して当初、将来白人の土地を購入していくとした政策は悪くないと思った。だが、それは突如暴力的な革命的抗争となってしまった。購入を進めながら、ジンバブエの教育を充実させ、農業技術の習得やマネジメントのノウハウを白人に学ぶことを地道に進めていれば、このような悲劇は生まれなかったはずだ。どこでどう間違ったのか…。

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