2023年2月7日火曜日

資本主義のオルタナティヴ4

https://meigikanagata.com/frb/
グローバル資本主義の恐ろしげな青写真を、フランスのジャック・アタリ(ミッテラン大統領の補佐官で現在も政界で力を持っている)が説いている。参考文献は、今回も「世界最終戦争の正体」(馬渕睦夫)である。

『市場の力が世界を覆っている。マネーの威力が強まったことは、個人主義が勝利した究極の証であり、これは近代史における激変の核心部分である。すなわち、さらなる金銭欲の台頭、金銭の否定、金銭の支配が、歴史を揺り動かしてきたのである。行き着く先は、国家も含め、障害となるもの全てのものに対して、マネーで決着をつけることになる。』(21世紀の歴史)

ここでいう個人主義とは、利己主義、利潤追求を至上の価値とする生き方である。マネーを支配する者が世界を支配するということであり、個人主義の勝利とは、個人が通過を発給することが確立されたという意味で、具体的には各国の民間中央銀行の株主が世界を支配する体制が築かれたことである。

…現在、各国の中央銀行は、歴史的経過から、政府から独立(財政上政府が発行権を持つと財政的に失敗してきた故である。)している。アメリカのFRBの株主は、ロスチャイルド、モルガン、ロックフェラーといった有名どころを中心に、かのリーマン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックスも株主らしい。彼らは、なんと北朝鮮とイラン以外の中央銀行の株主であるそうだ。アフガニスタン、イラク、シリア、リビアも以前は同様であったとか。(紛争当事国と見事に合致するところが恐ろしい。)日本銀行は55%が日本政府出資だが、残り45%の名簿の中に彼らの名があるという。官報(第603号)にエドモンド・ロスチャイルドの住所変更(ルクセンブルグ在住)の告示記載がある。(画像参照)

アタリは、国家の歴史とは国家に金を貸す者の歴史である。『歴史上出現した様々な国家は、国家の債権者によって栄えさせられ、衰退させられてきた。』(趣意:国家債務危機)と説いている。国家が赤字国債を発行した場合、最初に引き受けるのは中央銀行である。また、『市場の共感によってこそ、国家のサバイバルは可能になる。』と言い切っている。中央銀行の株主という寡頭勢力が、市場(と、国家)を支配しているわけである。

…国債の発行などは、中央銀行の株主に国家は借金をしていることになる。彼らが去れば国家は滅亡することになりかねない。ちなみに、今アメリカでは、赤字国債のことで揉めている。予算審議権のある下院が共和党に取られ、梅田大統領は国債発行を求めて対立しているが、それ以上に大きな問題は、その米国債、中国や日本も含めて世界的に売られていて、米国債を出せば簡単に売れるという状況ではないらしい。これをFRBの株主たちがどう判断するのか。世界のエコノミストが注目しているとのこと。

資本主義のオルタナティヴ3

グローバル資本主義(グローバリズム)が、オルタナティヴである、という動きについて、さらにエントリーしておきたい。参考文献は、前回も引用した「世界最終戦争の正体」(馬渕睦夫)である。

反ロシア主義者でオバマの師であり外交顧問を努めたブレジンスキーは、「国家の評価は民主化の度合いだけでなく、グローバル化の度合いによってなされるべきである。グローバル化が公平な競争の機会を全てのプレーヤーに提供するという考え方は、現実かどうかに関係なく、新しいグローバル化という教義に歴史的な正当性を与える重要な根拠になった。」(『孤独な帝国アメリカ』より)と論じている。グローバル化は、実際には世界に不公平をもたらすものではあるが、歴史的な必然の流れであるので正当性を持つと断言しているわけだ。このグローバル神話を実現するために、アメリカはグローバル化が遅れている国に介入することが正当化される。まず民主化、次に民営化、最後にグローバル化を強要する三段階のレジーム・チェンジが、彼によってアメリカの一国行動主義(ユニラテラリズム)の思想的根拠になったのである。

2003年から起こった東欧(グルジア、ウクライナ、キルギス)のカラー革命は、選挙の不正がきっかけとなって政権交代が行われた。この不正の判断は、アメリカ国務省の民主化資金援助を受けているNGOと連携している各国のNGOが摘発した。

…開発経済学を学んできた身としては、ブレジンスキーなんぞのグローバル資本主義には凄まじい矛盾を感じざるをえない。欧米は途上国の民族構成や文化を無視して、援助という鎖でしばりながら民主化を押し付けてきた。その結果デモクレイジーが起こり、一部の権力層による開発独裁が日常化して、結局途上国内でも格差が拡大している。たしかに、民主主義は、資本主義的な発達を促す装置であり、近代国家には必要だが、途上国が経済的に飛翔するためには、自由経済の枠内にいるとはしごを外されてしまう。世界史を振り返ると、最先進国だったイギリス以外、先進国は一度は保護貿易を一定期間行い産業革命=工業化に舵を切っている。ナポレオンの大陸封鎖令、ドイツのビスマルクの保護貿易政策、アメリカの米英戦争から南北戦争期などである。何のための民主化、何のための自由経済…。

…マレーシアは、そんな中でうまく立ち回ってきたように思う。独立戦争ナシ。多くの途上国が独立に精力を使いマイナスからのスタートだったが、マレーシアは残留した中華系やインド系の人々の能力を活かしながら、日本などの外資とスキルを得て、工業化に成功した。しかし、国産車保護のための保護貿易なども臨機応変に随時行っている。中進国として、ASEAN内でも経済的にいい位置につけている。しかし、グローバル資本主義が覆いかぶさってくるとどうなるかはわからない。

…アフリカの多くの国は、宗主国が国家経営の費用を削減する目的で独立を認めた「新しいカタチの植民地」である。自由経済を強要され発展する=工業化の余地がない。おそらく、このグローバル資本主義という神話の中で、さらなる格差が拡大するのは目に見えている。なんという悲しい不条理な神話であろうか。

2023年2月5日日曜日

愛媛・松前町の「干し柿もち」

先日、スパバレイ枚方南で、「干し柿もち」を発見した。愛媛の伊予郡松前町の会社が生産しているので、私達に属性があるし購入したのだった。個装だし、なかなか美味しい。

松前町は、松山市と伊予市の間にある。町内の皮膚科医院に何度か通った場所である。三崎からだと、そこそこ距離があるのだが、道は空いていて、海沿いで景色も無茶苦茶いい。もし愛媛に住むとなったら、伊予市か松前町あたり。

当然、血糖値が上がらないよう、気をつけて少しずつ食べているのだった。

2023年2月4日土曜日

資本主義のオルタナティヴ2

http://honkawa2.sakura.ne.jp/5410.html
以前、ある理系の人と話をしていて衝撃的という表現を使うほどに驚いたことがある。これからの地球の問題について、資源にせよ、環境にせよ、解決の糸口は、人口の削減ではないかという主張であった。社会科学系の(いや人部学系といったほうがいいかもしれない)人間である私などからすると、想像すらできない主張だった。人口増加は大前提であるからだ。医療の進歩や食糧増産による人口支持率の向上は、善であるという立場で常にモノを考えている。人口削減政策などあってはならないからだ。

今回、「資本主義のオルタナティヴ」という問題を考える場合、限られた地球の資源、AI化が進んで雇用が減少することなどを鑑みて、人口削減という政策目標が存在する可能性は否定できない。

近代国家・民主主義というのは、資本主義を発展させるための装置という一面がある。「答えのない世界に立ち向かう哲学講座」では、ミルの「他者危害制」(または自己決定原則)やロックの「身体自由論」「労働自由論」といった、民主主義化における経済の自由が語られている。他者に迷惑をかけなければ何をやっても自由だし、それによって得たものは自分のもの(=財産権)であるという民主主義の原則は、近代国家・資本主義の原則であるわけだ。ところで、2000年現在で世界の最も大きな経済主体をランキングすると、トップ100の中で、企業が51、国家(GDP)が49となり、多国籍企業が席巻してしまっているとか。国家がトップにあり、企業がその中におかれ、国民がいるというイメージは、すでに過去のものになっている。資本主義はグローバル化している。

…グローバル企業と、国際金融資本は、ある意味で、国家という装置を必要としていないように思われる。国家には、必ず国益が存在するが、グルーバル企業や国際金融資本にとっては、無用に思えている可能性が高い。2015年以降、グローバル資本主義的な利益が重視され、国家・国益を重視する政治家への失脚工作が行われているのではないか。昨日エントリーしたエルドアン、プーチン、そしてトランプ、安倍…。

…しかも、コロコロやW、ウクライナ紛争など、人口削減を人為的に行っている可能性さえ、否定できない。グローバル資本主義のオルタナティヴは、国家の消滅と人口削減にあるような気がしてならない。重ねて言いたいが、社会科学系&人文学系の私としては、ありえない、衝撃的オルタナティヴなのである。

…今回の画像(拡大可能)は、2022年12月現在の企業ランキングと題されたグラフ。これが資産総額なのかは不明。単純に他年度の名目GDPと較べていいものかわからないが、最上位・アップルは、8位のカナダと9位のイタリアの間に位置している。また50位のポルトガルは、企業で33位のバンク・オブ・アメリカの上に位置する。「答えのない世界に立ち向かう哲学講座」の2000年の統計の比較とは少し違うが、グローバル資本主義の説明としては問題ないと思うので、そのまま記載しておく。

2023年2月3日金曜日

スウェーデンのNATO加盟問題

https://kagonma-info.com/c0018/swedish_defense_minister_turkey_20230120/
フィンランドとともに申請していたスウェーデンのNATO加盟が暗礁に乗り上げている。トルコ政府が、クルド人組織の引き渡しが行われていないことや、トルコ大使館前でクルアーンが燃やされたり、エルドアン大統領の人形が逆さ吊りにされたりの抗議行動に激怒しているらしい。選挙を控えたエルドアンも、挙げた拳は容易に下ろせないだろう。フィンランドのみNATO加盟を認める可能性が高い。

これらの抗議行動は、全てクルド人移民の仕業であるとは思えない。少なくともクルアーンを燃やすことはないと思う。現状で、スウェーデン人の多くはNATO加盟を望んでいるはずで、以前エントリーしたように、スウェーデン国内で最大の懸念は(イスラム系移民による)治安問題だといわれている。クルド人を支援する人もいるだろうが、クルアーンを燃やしたという報道に、なにかおかしい、と私は感じる。トルコは政教分離していて、最も寛容なハナフィー法学派だが、ムスリムにとっては最大の侮辱である。スウェーデンのNATO加盟を良しとしない(報道写真に寄ると左派っぽい)勢力による工作活動かもしれないが、トルコにNATO加盟を批准させたくない、孤立させたいと考える勢力かもしれない。

NATOは、基本的には集団安全保障体制であって、”よらば大樹”的な意味合いが強い。トルコはその中にあって、地政学的にロシアが黒海から地中海に出てくるのを防ぐ最前線の位置にある。軍事力もNATO内でもかなり大きい。トルコがNATOを離脱するようなことになったら、NATOも大打撃を受けるはずだ。

トルコではなく、エルドアンを失脚させるための工作かもしれない。

トルコでG20首脳会議が開催された直後の2015年11月24日、トルコがシリア内戦で対IS空爆作戦に従事していたロシアの爆撃機を撃墜する事件があった。トルコの言い分は、ロシア軍機がトルコ上空を領空侵犯し、警告に従わなかった故であった。しかし、シリア領に食い込んだ幅が数キロの細長いトルコ領空であり、ロシア軍機の不注意の可能性が高い。常識的に見て、ロシアがトルコを挑発する動機はない。この事件の10日前に、プーチンとエルドアン会談があり緊密な関係を確認したばかりであり、言うまでもなくトルコはNATOのメンバー故、トルコへの攻撃のメリットはない。トルコにとっては、クルド人組織が所属するシリア民主軍こそが敵であり、その敵であるISをロシアが攻撃することはあまり良いとは思わないだろうが、ロシアとの全面戦争の危険を犯すメリットはない。

事件後、プーチンは強く避難し、トルコからの財の輸入禁止、ロシア人観光客の渡航禁止、トルコ経由のパイプライン施設計画の凍結と、十分に抑制された制裁を発表した。エルドアンのほうは、正当化しつつも動揺した様子で、NATOもロシアに軍事的圧力をかけることもしなかった。

その後、2016年6月になるまでに6件の大規模なテロ事件が発生、多数のトルコ人が死亡した。クルド人組織が犯行声明を出したものの他、ISによるもののようであるが、エルドアンへの圧力という見方が強い。また4月には、アゼルバイジャンのナゴルノカラバフ自治州でアルメニアとの衝突が起こる。これはトルコに近いアゼルバイジャンとロシアに近いアルメニアの代理戦争的なもので、ロシアとトルコの仲を裂こうとした戦略だと見られている。さらに6月、ドイツの連邦議会がWW1時のトルコで生じたアルメニア人殺戮事件はジェノサイドである(150万人/200万人が殺された。)と決議した。…わざわざ、この時期に。まるで、トルコ=エルドアンを追い詰めるような展開だ。

2016年7月15日。ロシア軍爆撃機撃墜事件後のエルドアンのロシアへの対応に不満を持つ勢力がクーデター未遂事件が起こるのだが、前月にエルドアンは、プーチンに書簡を送り謝罪していた。つまり、エルドアンの指示による撃墜ではなかったわけで、この書簡が明らかになった直後、イスタンブール空港で40人以上が死亡する自爆テロが起こる。そして前述のクーデーター未遂事件。エルドアンは果敢に鎮圧したが、なんとロシア軍機を撃墜したパイロットが反乱軍にいたのである。8月9日、エルドアンはサンクトペテルブルグでプーチンと会談。ロシア側は制裁を全て解除し、両国は正常化した。(参考文献「世界最終戦争の正体」:馬渕睦夫/宝島社)

…もし、クーデターが成功していたら、トルコはNATOに集団安全保障をたてにロシアとの戦争を企てていたかもしれない。今回のスウェーデンの問題もまた、このようなトルコとロシアの関係性の中で起こっているのかもしれない。

2023年2月2日木曜日

JR尼崎駅のコロッケうどん

学園の帰路は、尼崎駅で、宝塚線から東西線・学研都市線に乗り換えることが多い。昼食を取りそこねたりした時は、駅構内のうどん屋(立ち食いではなく、イスに座れる)に寄ることが多い。券売機でICOKAを使えるのもうれしい。いつも、コロッケうどん+無料の天かすを注文する。妻に言わせると、信じられないチョイスらしいのだが、なかなかイケる。(笑)今日も、首都圏の超難関国立大の世界史指導をしていて、うどん屋に寄ったのだった。

機嫌よく、快速に載って四條畷で普通に乗り換えたまでは良かったのだが、なんと車内に送風(夏季の冷房の1ランク下くらい。)になっていた。寒い。JR西日本は馬鹿なのか、と思う。

2023年2月1日水曜日

資本主義のオルタナティヴ1

『答えのない世界に立ち向かう哲学講座』の最後のテーマは、資本主義の未来である。グローバル資本主義の時代になって、ますます格差が拡大しており、様々な資本主義の危機、あるいは終焉を説く書は多いが、明確なオルタナティヴ(=代替の)を示していない。先にエントリーした同じ著者の『現代哲学者10人』でも、原罪最も発言が多いスロベニアのスラヴォイ・ジジェクについて書かれていて、彼の主張する「ポストモダン時代の共産主義」について書かれているが、とてもオルタナティヴとはいえないらしい。

資本主義のオルタナティヴと言えば、当然マルクス主義を想起するわけだが、マルクスの唯物史観による予言は見事にはずれてしまったし、今更社会主義・共産主義が資本主義の後にくるとは多くの人々は思っていない。本書では、専門家を招いて、近代国家論や社会主義の失墜などが講義される。

本書では、資本主義の大前提となる「希少性(全員が裕福になれない、あぶれる者をどうするか?という問題)」についての設問が設定されている。国家や資源、環境などを考える時の「救命艇状況」という典型的なモデルだそうだ。

タイタニック号のような豪華客船が沈没し、1500名が海に投げ出されている。近くを航行していた船が救助に向かう10隻の船には定員ギリギリで500名しか救助できない。①全員を救助できないとしてもできるだけ多くの人を救う。定員オーバーでもとにかく載せ、縁につかまらせても救助を試みる。②子供や女性、あるいは老人など手助けの必要な人から順にきっちりと定員まで乗せる。③早いものがちで乗せて、43名くらいになったところで早めに打ち切りその場を離れる。

この希少性をどうやって解決するか、どういうカタチで問題として取り組んで行けるかが、資本主義のオルタナティヴで一番大きなポイントとなるという。…なるほど。