2020年5月1日金曜日

「哲学と宗教全史」を読む。

どこかのWEB記事で、出口治明氏(立命館アジア太平洋大学学長)の「哲学と宗教全史」の事が出ていて、書店で実際に手に取ってみて、おお、いいなということで購入した。(長くマレーシアにいたので、こういう本の買い方は実に久しぶりである。笑)

この本の書評を書くにはまだ早いのだけれど、高校の倫理の担当者には超お勧めである。理由は、意外な話がたくさん出てくるので、ネタ本として極めて有為なのだ。

たとえば、哲学から派生した自然科学が現在どこまで真理に迫っているか、という話。普通、このような話は哲学の本には出てこない。宇宙を構成する物質の組成につては数式の形で解明されていて、約5%が我々の知っている水素や酸素といった元素、約70%がダークエネルギー、約25%がダークマターだそうだ。
脳科学の分野では、人間の脳の働きも、無意識の部分が意思決定のほとんどを担っているらしいことが分かっている。「水を飲みたい」という意思決定は、無意識の部分でなされ、2方向に信号が伝達される。0.1秒くらいで「水が飲みたい」という意識が生まれ、0.3秒くらいで手が動く。この0.2秒ほどのタイムラグがあるために、人間は自分の意志で水を飲んだと錯覚しているとのこと。人間の脳の中にも無意識と言うダークエネルギーとダークマターがあるのだ。
要するに発達してきた自然科学は万能ではないというわけで、哲学や宗教の存在を否定できないということに結びつくのである。

今はまだアリストテレスの話が終わった時点だが、私のこの本の評価はかなり高い。この全く黄金色でないGWの間で精読しようと思っている。

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