2010年10月28日木曜日

中間選挙のアイオワへ

本日午後、アメリカ研修旅行に参加する英語科2年生が全員無事旅立った。どうやら今秋のアイオワは寒いらしい。最低気温は1℃だとか。と、いうわけで、今日の画像のU校のマスコットは、雪が降っているわけである。先ほどもNHKのクローズアップ現代でやっていたけれど、U校への研修旅行の時は、いつも中間選挙か大統領選挙の真っ最中である。私の担任の時も中間選挙であった。アイオワの家はだいたい芝生があって、そこに支持する議員名などが書かれた立て看板や幕が立て懸けてあったりする。ちょうどハロウィンとも重なって、おもしろい風景である。今年は、アメリカも経済不況で、ティーパーティーという共和党の運動が盛んらしい。アメリカの精神(個人の自由の尊重)に立ち返れと言う白人保守層の運動であるらしい。合衆国憲法を配り歩いて、その原理主義的な立場を鮮明にしているらしい。…なるほど。なるほど。
 日本にいると、アメリカ人は政治好きなんだな、くらいに思えるかもしれないが、この政治に関する重大な日米の文化的相違がある。初めてアメリカを訪れた時、その大きな衝撃的事実を知った。
 それは、日本ではサラリーマン(私も広い意味でそうだが)など勤め人は、税金を給料から天引きされているので、税金をどれくらい納めているのか、あまりよくわかっていないということである。この形だと、どうしても納税意識が低くなる。ところが、アメリカでは、全ての人が、自分自身で申告するのである。自分で1年分の領収書を集め、自分で申告書を書き、納税する。苦労する分、納税額への関心も高いし、当然その使途である政治への関心も高くなるのである。

 アメリカの公立学校は、そういう関心の高い税金(まさに血税である!)で運営されている。小学校などは、コミュニティの意見を当然反映せざるを得ないし、保護者(納税者)が学校運営に口をだすのは当然である。校長は、ある意味コミュニティのカネを預かって、いかに効率的に、しかも成果をあげる学校を運営するかを問われる経営者であるといっていい。当然良ければ給料は上がるが、無能なら解任である。一般教員も同様で、高校レベルなら、進学実績や特色ある授業などが個々に評価され、個別に契約を結ぶのである。ボストンの高校で、私は台湾出身でIT教育でゴールデン・アップル賞というのをもらったという優秀な先生に車で送ってもらったことがある。校長は、彼女のような優秀な教員をスカウトできて満足している、と言っていた。完全に経営者である。彼女の授業が受けたいと、優秀な生徒が集まるのであろう。

 この納税システム、邪魔くさがりの私にとっては、ノーサンキューだが、公立学校がこういう緊張感に立たされ、競争しあうというのは悪くない、と私は思っている。日本人は、アメリカを理解しているようで、こういう基本的な事実をあまり知らない。アメリカの政治理解の基礎、しいては文化風土の基礎ではないか、と私は思っている。異文化理解は、こういうところから教えたい。

2 件のコメント:

  1. 「アメリカ人は税金の使われ方に関心がある」と知ることが異文化理解ではない、という事が非常に良く分かりました。最も根本的なことから勉強しないといけない、というのは分かっていたつもりでしたが、この記事の具体的な例で強烈に心に焼きつきました。

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  2. lily君へ。コメントありがとう。意外にアメリカについて、我々は知らないことが多いと思う。心情的には、最も近い国だと思っていてもね。

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