2025年10月19日日曜日

教材研究 11のアメリカ2

試験の採点も一段落したので、教材研究の話である。11のアメリカについては、以前エントリー(本年7月11日:この時は12の国家となっている)した。今回は、学院の図書館で借りた「シリーズ 世界を知るための地誌学アメリカ」(二村太郎・矢々崎典隆編/朝倉書店:本年4月発行)を参考にプリントを作成した。

アメリカは、多民族移民国家であるので、州ごとの地誌も大事だが、こういうどんな移民が集まってできた州なのかという視点は新鮮である。11という数字は大まかなもので、迫害され疎外されたネイティブ・アメリカンの視点や、フロリダのキューバ移民、ハワイは入っていないのだが、いくつかの発見もあった。

グレート・アパラチアに分類される地域は、イングランドとスコットランドの国境の山岳地帯や北アイルランドからの移民がルーツで、白人の中では貧困層にあたること。WVの炭鉱などで働くプワー・ホワイトのイメージが強い。ディープサウスのルーツは、カリブ海の砂糖プランテーションであるとのこと。また太平洋沿岸のレフト・コースト地域は、海路でヤンキーダムから来た個人より社会の共通善を重視するカルヴァン派、陸路でミッドランドから来た宗教に寛容な人々が混ざり合っているというのが面白い。ちなみに、CAのサンフランシスコはレフト・コーストだが、ロスやサンディエゴは、エル・ノルテといったヒスパニック系が主流の地域に入っている。ちなみに、シエラネバダ山脈地域などは、ファー・ウエストに入る。

一応、主な州についても、この11のアメリカ区分にしたがって整理してみた。面積・人口・1人あたりのGDPの順位を調べて挿入しておいた。意外だったのは、1人あたりのGDPの順位である。VTが最下位だった。VTは、高齢者が多く、葬儀会社の対人口比率が最も高いという知識があったが、ここまで衰退しているとは…。

最後に多様性とともに均質性についても触れておいた。均質性の最大の原動力は、やはり英語である。共通語とか国語といった法的な制限はないのだが公教育でアメリカ的価値観の育成が図られている。農業においては、西進において家族農業と混合農業が基盤であったこと、ただし見事なまでのプラグマティックな適地適作が行われている。さらに交通・通信網の発達、地域間の文化的差異を縮小させた。興味深かったのは、19世紀末にシカゴを拠点とした通信販売システムが、分散して住んでいた中西部の農村地帯に、分厚いカタログを配布し、日常生活に必要な品や農機具や馬具、娯楽のための品まで揃えて供給していたことや、フランチャイズチェーン(マクドやKFC等)、チェーンストア(ウォールマーケットやコストコ等)の発達で同一企画の商品が全国どこでも供給されていることも大きい。

全国紙は、USA Todayやウォール・ストリート・ジャヤーナルくらいだったのだが、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポスト、ロサンジェルス・タイムスもデジタル化で全国に拡大しているようだ。

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