さて、今日のエントリーは、学院の図書館で初めて借りた文庫本の話。吉村昭の『海の祭礼』(文春文庫)である。吉村昭の歴史小説は、念密な調査のうえで書かれているし、実に読みやすい。たくさん並んでいた吉村昭の文庫本から選んだ理由は、後ろ表紙の内容に、ペリー来航の5年前に日本に憧れ、利尻島に上陸したアメリカ人の話とあったからである。彼の英語が、日本人通詞に伝えられ、その後の開国に大きく影響するという話のようだった。やはり幕末維新期の話は面白い。
最初は、利尻島の当時の話から始まる。アイヌの人々が、松前藩の和人の監督下で「海鼠」を取る様子が描かれる。「海鼠」などと漢字表記すると何かと思うが、ナマコのことである。江戸末期のアイヌの人々への支配的な状況は、読んでいて面白いものではない。この感性が物語の進展=主人公の生い立ちとともに重要だということに気づかされていく。さすが吉村昭である。



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