2025年11月18日火曜日

キケは骨折をおしてのWSだった

https://www.youtube.com/watch?v=Vs66lHZkff0
キケ・ヘルナンデス選手が、実は左手を骨折しながらも、WSにフル出場していたことが判明した。WSでも大活躍していたし、優勝パレードでも、全くそんな素振りをみせていなかったので驚いた。

昨年の盗塁で怪我をしたが強行出場した大谷選手、今年の連続登板の山本投手もサムライだが、キケ選手もまた、プエルトリコのサムライである。ドジャーズが2連覇したのも、こういうチームの勝利第一の姿勢があってこそだったのだろう。

大谷選手が、多忙なスケジュールの中、日本のお菓子を持って見舞いに行ったとの報道も出た。2人の対話もまた、実にいい。私は、キケが大好き。来季もドジャーズに残って、重要なピースとして3連覇を目指して欲しいとい祈るのみ。

教材研究 オランダの国是

https://jp.123rf.com/photo_198726138_
オランダの国是は、王室のモットーである「Ik zal hanghaven」(我、守り続けん)である。何を守るのか?それは、スペインから独立した歴史と、海跋以下の土地を水利・治水技術による国土保全だといえる。非公式な国是には、「独立・自由・寛容性」が挙げられる。ここで謳われる自由と寛容性は、フランスのユグノー戦争で迫害を受けた人々を受け入れた歴史や商業国家として、合理的な精神性と対話力などが背景にあるようだ。

オランダは、世界的に最もリベラルな国家だと言われる。まずは、マリファナなどのソフトドラッグとハードドラッグ(LSDなど)を区別し、マリファナについては、コーヒーショップで非刑罰対象として許可していることが挙げられる。(マリファナの使用率は、EU諸国の平均くらいだと言われている。)また、2001年に世界初の同性婚を認めた国でもある。さらに、厳しい条件(患者の示達的かつ熟慮による要請/患者の苦痛が永続的で耐え難いこと/他の合理的解決策がないと患者と医師が確信していること/別の医師の意見を聞いて判断等)のもと、世界初の安楽死を合法化した国でもある。オランダでは、2013年の統計で9068件の安楽死の処置が行われたという。これには、国民の過半数が無宗教という宗教的背景がある。オランダと言えば、ゴイセン(カルヴァン派)の拠点で、前述のアフリカーナーと同じかと思いきや、本国では、すでに(日本同様に)他のプロテスタントと合併し、13%ほどになっていることが大きい。

…国是やその国の理想を語るうえで、オランダは外せないと判断した。私が、ケニア視察の帰路に見たオランダ・アムステルダムは、LGBTの象徴であるレインボーフラッグがあふれており、まるで、NYCを彷彿とさせたのだった。もちろん、いくら合法とはいえ、マリファナを吸うことなど思いもよらなかったのだが。ところで、教材としては、売春の合法化については触れないことにした。女子生徒が多いし、適当でないと判断したのである。とはいえ、アムスでは、お土産屋には、飾り窓のマグネットが溢れていたのだった。

2025年11月17日月曜日

教材研究 南アの虹の国

ケニアの農村で、キャッサバを見せる故ピーター・オルワ氏
…JICAのケニア視察旅行の帰国時の空港で、コーディネーターの故ピーター・オルワ氏が、最後の最後に「レインボーだよ、レインボー!」と叫んだ。 その時は、なぜ彼がそう叫んだのかわからなかったのだが、今思うと、南アのマンデラ大統領が主張した「虹の国」を、ケニアも含めてアフリカ全体の明るい未来への希望を込めていたのだと思う。今回の「国是」の中に南アを含めたのは、故ピーター・オルワ氏へのリスペクトからである。

南アの国章には、カム語で「多様な人々の団結」という文字が刻まれている。人種平等の達成と民主主義の実現、多様な民族が共存する「虹の国」としての国家を建設するという願いからである。国歌も、コサ語、ズールー語、ソト語、アフリカーンス語、英語の5ヶ国語で構成されれている。国歌の元になったのは、コサ語とズールー語の「アフリカに祝福を」とアフリカーンス語の「南アフリカの叫び声」である。

南アはアパルトヘイトという過去を持つことは周知の事実である。アフリカーンス語を話すアフリカーナーは、主としてオランダ系のカルヴァン派(+フランスからオランダに逃れたユグノー等)である。彼らがアパルトヘイトを主導した。ボーア戦争でイギリスの植民地となったが、WWⅡ以後政治の主導権を握ったのだった。カルヴァン派の予定説から見れば、現地の黒人は、全くの差別の対象となったのである。

ともあれ、今はアパルトヘイトは廃止された。だが、そんな簡単に解決するわけはない。南アは今もジニ係数(国内の経済格差を計る指標)では世界最悪の数値を叩き出している。

…故ピーター・オルワ氏の叫んだ「レインボー」は、未だ道半ばである。

2025年11月16日日曜日

教材研究 露のナショナリズム

ロシアには正式な国是はないが、伝統的な価値観と国家の主権を守るという強烈なナショナリズムがあると言える。もとは、モスクワ公国という小さな存在だったが、領土拡大で世界一の面積を誇る大国になった連邦国家で、89の構成主体(48の州、9の地方、3つの市、24の共和国、1自治州、4自治管区)に分かれている。(ウクライナとの紛争で係争中の6地域を含む。)

ロシアは、対ナポレオンとの祖国戦争、対ナチス・ドイツとの大祖国戦争で、多大な人的被害を出した国であり、この歴史からナショナリズムが強い国家となった。また、ユーラシア主義が国是とみられることもある。ロシアは、ヨーロッパでもアジアでもないという地政学的概念であり、モンゴル帝国の征服を受けた歴史やビザンチン帝国の正教会を受容した歴史、中央アジアのイスラム国をソ連時代に従えた歴史を持っている。現在のプーチンはこのユーラシア主義者だという主張もある。

ロシア革命による世界最初の社会主義国としての歴史は、プロレタリア独裁という体制をとり、スターリンの治世ではスターリニズムという個人崇拝と恐怖政治が行われた。この影響は大きく、ソ連崩壊後、市場経済に移行したものの、民主主義は確立せず、自由や権利、表現の自由などはかなり制限されている。今も独裁政治体制だと見るのが妥当だろう。

ロシア正教会は、ソ連時代は弾圧されたが、WWⅡの大祖国戦争時にスターリンによって復活され、他の国家以上に二人三脚で政府を支えている。核兵器を祝福したことでも知られる。

…ロシアは、ロシア帝国時代に領土拡張の結果、日露戦争後に経済的混乱をきたし、ロシア革命を呼んだ。ソ連は、これも領土拡張(というか親ソ政権の確保のためだが…)アフガン侵攻で同様に経済的混乱を呼び、ソ連が崩壊した。同様の歴史を繰り返すというYouTube(神野正史の世界史ワンポイント講座34回:URLが長いのでタイトル表示)を見たが、納得せざるを得ない。現在のウクライナ紛争も同じ過ちを繰り返しそうだ。

…実際、すでにロシアの軍事力は60%損失し、25万人の死者を出しているという情報もある。なにより、経済を支えてきた軍事産業が国際社会での評価を落としているようである。石油や天然ガスといった鉱産資源と並ぶ経済基盤が危ういようである。今回の授業では、こういった深部に触れる時間的余裕はないが、国民生活もかなり危機的な状況であるらしい。

2025年11月15日土曜日

世代を超えて教えたいこと

https://www.etsy.com/jp/listing/1823702526/arabama-heart-of-dixie-nanbpurto-3ag0666
地理総合の授業では、アメリカの国是や理想、11のアメリカといった地誌的な内容が一息ついたところである。期末考査まであと2週間。ここからは、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、南ア、オランダとテーマ講義が続いていく。ちょっと気になったことを、エントリーしたい。

ウェストバージニア州(州コードはWV)は、グレイト・アパラチアの起点となった州であるのだが、私は9.11の話をする。9.11については、生徒諸君はおよそ映像などで知っていて通じるのだが、オノ・ヨーコがNYCのNYタイムズ紙”IMAGINE PEACE”という広告を出したことを述べた際、生徒諸君はオノ・ヨーコが誰なのかを知らない。亡夫・ジョン・レノンの名も軽音楽部の生徒以外知らない。まさに世代的な認識の相違である。さて、WVで、女子高校生が平和を訴え、退学になった話をする。実際の攻撃を受けたNYCでオノ・ヨーコがこういう広告を出してもさして非難は出なかったのだが、WVでは、”平和を”と書かれたビラを撒いた女子高校生は退学処分になったのである。この事件は、民放のある報道番組で大きく取り扱われた。平和主義を国是とする日本らしい話のだが、私は、WVのいう地域性に対するマスコミの無知を感じた。アパラチア炭田が主産業で、斜陽化後は軍人になった人々が多いプワーホワイトの州、WV。彼女の行為は正義であったかも知れないが、地域性と真っ向から対立する行為だったのだ。

ディープサウスでは、”Heart of Dixie”=南部の心臓という愛称をもつアラバマ(州コードはAL)のカープレート(画像参照)を見せて始まる。もちろん、かの公民権運動の震源地としてのモントゴメリーのバスボイコット事件について語るのだが、M・L・キング牧師の”I have a dream”の演説は、今の高校生には直感的に伝わらない。昔は、中学の英語の教科書に必ずと言っていいくらい載っていて、暗唱できる生徒も多くいたのだが…。この公民権運動自体も教える機会が少なくなったように思う。アメリカの多民族社会を”人種のるつぼ”から”人種のサラダボウル”と言い換えているアメリカというかWASPにとっては、ネイティブアメリカンへの仕打ちと共に黒歴史ではある。日本の教育界が忖度したのかもしれないが…。

私は、善悪や美醜を超えて、知る限りのアメリカという国を、世代を超えて伝えたいと思うのである。昨日下校時に、ある生徒が「授業を聞いて、是非アメリカに行ってみたいと思いました。」と言ってくれたのが、何よりうれしい。

2025年11月14日金曜日

社会科学習とコロナ禍の影

https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/218009/051700045/
学院の社会科教員Y先生との会話の中で、社会科学習にとって重要な時期は、小学校の高学年と中学時代の基礎的な事項の学びではないか、という話になった。たしかに、私自身の経験からも、この時期に詰め込んだように思う。今だに地理の国名や首都名、日本の県名や県庁所在地、主な山脈や岬名等は、小学生時代にに完全に頭に入れたし、日本史や世界史、政治分野のおよその流れもこの時期にインプットされている。

中学時代は、社会科好きの友人がいて、朝日年鑑などを読み合って背伸びして難解な用語を頭に入れたりもしたものだ。

ところで、今の高校生の年代は、この重要な時期、コロナ禍の影響をモロに受けた年代であるのかもしれないとY先生は言われる。なるほど…。偏差値は決して低くないのだが、意外に一般常識的なことを知らないことが多い。高校の社会科は一気に学習内容が深くなるのだが、その基盤が形成されていないように感じるというわけだ。

コロナ禍の時期は、学習をサボろうと思えばサボれた時期だ。学ぶ意識が高ければ自学自習できただろうが、コロナ禍に流された可能性は高いと私も思う。

…この会話の後、私はM高校に視察に来た中国の社会科教師のことを思い出した。彼は、文化大革命時代(画像参照)に学生生活を送った故に、英語を学ぶ機会を失い、一切英語が話せなかったのだ。日本視察を命ぜられるほどの教師であるのに、簡単な会話でさえ不可能で、さすがの私もコミュニケーションを取れなかったのだ。まさに、世代的悲劇である。コロナ禍は小さな文革といったところだろうか。

2025年11月13日木曜日

佐藤優『哲学入門』を読む。

学院の図書館で、佐藤優氏の『哲学入門』(角川書店/2022年)を借りてきた。この書は、2019年冬に同志社大学神学部大学院神学研究科の学生たちと4泊5日の集中講義の記録である。そのテキストとなったのは、淡野安太郎の『哲学思想史』である。

周知の事実ながら、同志社大学神学部は佐藤優氏の母校である。タイトルは、『哲学入門』となっているのだが、プロテスタントの神学生への講義としての哲学入門なのである。よって、キリスト教神学就中プロテスタント神学と、西洋哲学の両方の知識が必要な書である。西洋哲学の方は、高校倫理の教師であるので、そんなに問題はないのだが、幸いにも、昨年春から学院にお世話になってから、図書館のキリスト教の書籍を乱読してきたので、ある程度、この特別な書を読めるようになっていること自体が嬉しい。

面白いので、朝夕の通勤時についつい読んでしまい、またまた莫大な付箋を付けまくっている。いずれ、少しずつ書評と言うは、興味深い話をエントリーしていこうと思っている。