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https://note.com/sekaishi_genba_/n/n7244784ebd48 |
前回の書評では、ワットの蒸気機関の開発について触れたが、当時の製鉄業は、木炭が使われていた。しかしイギリスの森林資源は不足しており、スウェーデンに頼っていた。18世紀になって、ダービー父子が石炭の不純物を取り除きコークスを発明したので、鉄を自給できるようになったのである。この製鉄業の飛躍は、鉄道や蒸気船の生産に向かい、流通面での圧倒的優位性がイギリスの綿製品市場の独占に寄与した。
しかし、この技術は、プロイセンにキャッチ・アップ(=後発国が先発国の開発した新しい技術を導入し工業化を推進すつため、後発国の技術進歩は急速で、経済成長率も先発国を上回ること)されていく。プロイセンの技術者はイギリスの機械技術の盗用に最も熱心だったし、ユンカー(大地主層)も商工業経営の投資に熱心だった。フランスはナポレオンの大陸封鎖令でイギリス製品を締め出し、イギリスの技術の盗用で産業技術の向上に寄与した者に勲章が与えられたりもした。イギリスの綿工業は大打撃を受け、アメリカ市場に向かうことになる。
イギリスは産業革命で大儲けしたように思えるが、後発国によって否応なく価格競争に巻き込まれ、19世紀以降は長期のデフレ基調になるのである。だが、イギリスは世界の覇権を握っていく。…その内容は次回。
追記:今日も2クラスで新3年生の授業をした。昨日同様、実に気持ちの良い授業ができたのであった。明日は残り全てのクラスを回ることになる。楽しみである。
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