2024年11月20日水曜日

「黙示録」を読みとくⅣ

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/gallery/012001319/
森秀樹著「黙示録を読み解く」書評、最終回。「黙示録」をめぐる評価について、記しておきたい。

オーソドックス(=正教会)の評価:397年のカルタゴ会議で、カトリックがヨハネ黙示録を正典化した。オーソドックスはこの会議には不参加で、ヨハネ黙示録には不信感を持っていた。使徒ヨハネ著者説を否定し、使徒的文書として認めなかった。692年のキニセスティン宗教会議で東西両教会で新約27書が初めて議決されたが、オーソドックスは9世紀まで黙示録を拒絶していた。現在もその余韻は残っており、読むものの祈祷の対象ではない。

ルターの評価:ルターは、黙示録を徹底して否定した。その理由として、使徒の書・預言の書ならば、明確な言葉で残されるべきで幻や象徴などは取り扱ってはいけない。また、キリストの教えは示されておらず、適合できないとしている。

カルヴァンの評価:本書にはカルヴァンの記述はないのだがが、WEBで調べてみた結果、カルヴァンは、新約聖書の詳しい注釈を残しているが、ヨハネ黙示録の注釈はついに書かなかったようである。https://www.tenryo.net/m3_book.php?p=14&q=014

…こうしてみると、アメリカの人口の四分の一を占める福音派の存在が謎めいてくる。この福音派はプロテスタントの様々な宗派の集合体で、改革派・長老派(=カルヴァン派)、バプティスト、メソジストなどにまたがっているようだが、ルター派が入っているのかは定かではない。どちらにせよ、カルヴァン本人は否定的であることは間違いないので、その辺はどうなっているのだろう。新たな疑問が湧いてきた。

2024年11月18日月曜日

「黙示録」を読みとくⅢ

https://www.karakusamon.com/2020k/mokusiroku.html
森秀樹著「黙示録を読み解く」書評第3回目。前回のブログで少しふれたように、旧約聖書の黙示文学である「ダニエル書」と「エゼキエル書」等からの引用が、このヨハネの黙示録全405節のうち、278節もある。ただ、黙示録の著者はそれを明かしていないし、変形したものも多いそうだ。

前回もふれたが、「人の子」とは、マタイならびにマルコ福音書で、イエスは自分のことをそう呼んでいる。黙示録では、救世主・メシアの称号として用いているのだが、黙示録で表されたイエスの姿は、福音書に描かれていない凄い姿である。まず髪の毛が白い。これは純正を表している。また炎のような目をしているが、真偽・罪を見抜く力を、炉で焼かれた真鍮のような足は、苦難を乗り越えある域に達したことを、大水の轟のような声は、荘厳さ・権威を、そして、口から飛び出た両刃の剣は神の言葉を表しているとのこと。…カトリックでは、マリア信仰が盛んで、死に際して取次を聖母に頼むのだが、なんとなく判る気がする。(笑)ちなみに、ミケランジェロの最後の審判では、聖母はイエスの気迫にたじろいでいる姿で描かれている。

子羊が7つの封印を解くシーンが6節から始まり、4人の騎士が現れる。これは「ゼカリヤ書」の応用で、白・赤・黒・青白い馬にまたがる騎士(ゼカリヤ書では赤が2頭と栗色と白1頭ずつ)で、弓を持った白馬の騎士は戦争の象徴、剣を持つ赤馬の騎士は内戦の象徴、秤を持つ黒馬の騎士は食料の欠乏、青白馬の騎士は疫病を象徴しており、不吉な災いを示すものだとされる。

10本の角と7つの頭を持つ竜が12節から登場する。10はローマ支配下の10人の王、7つの頭はローマの7つの丘あるいは7人の皇帝を指し、キリスト教徒を迫害するローマを意味する。黙示録では、この竜はラスボスとなる。この竜に軍団を率いて戦うのが、イスラエルの守護天使である大天使ミカエルである。

たびたび登場する主要なキャラである4つの生き物は、「エゼキエル書」に登場する人間、獅子、牛、鷹で、福音書紀者に当てはめられていることを、前回記した。獅子は旧約聖書で103回も登場する。力強さ、勇気、威厳などを象徴である。牛(若い雄牛)は、犠牲獣として神に捧げられてきたが、黙示文学では力の象徴。人間は、ヘブライ語ではこれを表す言葉が5種あり、アダムはその一つで通称だと言う。(アダムは普通名詞なのだ。)鷲は鳥類の雄。これらは、神の被造物を代表する最も強く威厳のある生き物として選ばれていると言えるそうだ。

黙示録で、29回も引用されるのが、子羊。新約聖書では「屠られた子羊」すなわち磔刑のイエスを表している。贖罪の義を持っている。

黙示録では、様々な象徴が登場するので実にわかりにくい。1節の「7つの星」は前々回に記した、7つの教会の天使たち。「7つの金の燭台」は、7つの教会そのもの。4節の「7つの灯火」は、神の7つの霊。…7という数字は、天地創造から完成・完璧を意味する最重要な数。終末を告げる天使が次々と吹く「7つのラッパ」がその代表であろう。7はまた、過去・現在・未来+地水火風を合わせた完全数とも言われる。3✕4の12も完全数で、12ヶ月などの占星術だけでなく、イスラエル12部族やイエスの12使徒などにも関係する。

一方で、6は、7に1つ足りない不完全数である。有名な666は、獣の数字とされ、黙示録13章に登場する。「思慮のある者は、獣の数字を解くがよい。その数字とは人間をさすものである。そしてその数字は666である。」ゲマトリアという数秘術でギリシア語(あるいはヘブライ語)に隠された数値で読み解くと皇帝ネロを指しているとされている。

この他にもかなり多くの象徴があるのだが、今日は私が抜歯をした日でもあるので、ここまでとしたい。出血もおさまり、麻酔も切れたのだが、違和感が半端ない。(笑)…つづく。

バンザイ!兵庫賢民

https://www.mbs.jp/news/kansainews/20241118/GE00061816.shtml
兵庫県知事選挙で、様々な非難を浴びながら正義を貫いた前知事が当選した。SNSの世界では、かなり注目されていた選挙で、マスコミは全く報じない数々の県政の膿が露わになり、若者を中心に久しぶりの民主主義の良さが出た様に私は感じている。

このところ、民主主義に暗雲が立ち込めていて、はっきり言うことは避けるが、うんざりするような、内外の政治状況が続いていた。まさに、兵庫賢民、大阪愚民という表現がぴったりである。

ちなみに、アメリカでは、無所属(すなわち民主党を離れて)で立候補していたケネディ氏が厚生長官になるというニュースも流れて、Wに疑問を呈している人物が厚生長官とは、トランプ時期大統領もなかなかやるではないか、と思っている。

日本は、アメリカの51番目の州のようなもので、トップが変われば日本の政府もそれに従わざるを得ない。とはいえ、APECで居眠りをするような首相ではねえ…。大石内蔵助であることを祈りたいところだが…。

2024年11月17日日曜日

T大G高校ラグビー部 花園へ

https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2024/11/17/kiji/20241117s00044000177000c.html
T大G高校ラグビー部が、6大会連続の花園行きを決めたというニュースが飛び込んできた。私は、野球やサッカーも好きだが、ラグビーも大好き。H高校時代はラグビー部の顧問もしていた。大阪は、まさに高校ラグビー王国で、T大G高校は大阪第2地区での優勝である。

よくラグビーの試合は残酷だと言われている。野球やサッカー以上に勝者と敗者の差がつく。100対0なんて試合はザラにある。野球はコールドで終わるが、ラグビーにはそんな制度がない。厳しいスポーツである。

今週で最後になるが、T大G高校への地理特別講義に関わってたので、実に嬉しい。教えている生徒にはラグビー部はいないが、校内で何度かラグビー部の生徒から挨拶を受けた。花園という楽しみができたのだった。

2024年11月16日土曜日

「黙示録」を読みとくⅡ

https://blog.goo.ne.jp/hanakatami888/e/8fdb394264695f7540bb906574ba9d7f
「ヨハネの黙示録」は、旧約のダニエル書とエゼキエル書の強い影響化にあるようだ。森秀樹著「黙示録を読み解く」書評第2回は、この二書との関わりについて記していこうと思う。

ダニエル書とエゼキエル書は、イザヤ書と共に三大予言書と呼ばれ、黙示文学としても有名である。まずが、ダニエル書との関係性。黙示録に登場する幻視された怪物たちは、ダニエル書のものと共通点が多い。これらの幻視の怪物については、次の機会で触れたいと思う。さらに、「人の子」というキーワードがが両書に登場する。この「人の子」はメシアを意味している。

エゼキエル書と黙示録の関係性では、たびたび登場する4つの生き物が重要で、この人間、獅子、雄牛、鷲は、中世では、人間=マタイ、獅子=マルコ、雄牛=ルカ、鷲=ヨハネの福音書記者の象徴と捉えている。エゼキエル書にある『マゴグのゴグに対する聖戦』は、今やかなり話題(ロシアがイランとともにイスラエルを攻撃し、最終戦争を起こすという話で、創世記・ノアの箱舟の子孫の名称と居住した地域から割り出している。)になっているが、黙示録でも同じ様に描かれている。

さて、現在のイスラエルの戦争はどうなっていくのか。佐藤優は、イスラエルとイランは、軍事施設しか攻撃しないというゲームを確立しており、この後は、北野映画・アウトレイジよろしく、イランは下部組織を切り捨てて手打ちをするだろうと述べている。実に興味深く読ませてもらった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2035718e31761a0762a81d485cffd01acb912b92

一方で、少し古い話題になるが、2000年ぶりに、五頭の完璧な赤い雌牛がテキサスで生まれ、イスラエルに到着している。この牛は第三神殿建設に欠かせないものであるらしい。モーセ五書の4番目である民数記(19章の2節以後)にその記述があり、穢れを祓うために必須のアイテムであるらしい。これが準備されたということは、イスラエルが、第三神殿を建てようとする動きに大きく関わる。(多くの記事やYouTubeがUPされており、容易に検索可能。)

何処に建てるかなどというのは愚問であろう。アブラハムがイサクを神の命によって生贄にしようとした岩のところで、現在は岩のドームが建っている、ムハンマドがここから昇天し、1日の礼拝の数を神に決めてもらったというイスラム教・第三の聖地である。イスラエルは、ヨルダン領に位置するこのドームを破壊する気だ。そうなれば、手打ちもクソもあったものではない。比較的イスラエルと友好的である諸国をも敵に回すことになるだろう。

ただ、イスラム諸国が譲歩する可能性が少しだけあるのは、メッカ・メディナに次ぐ第三の聖地であることだ。イスラムの終末観では、メッカにメシアが登場し、裁きを行う。ユダヤ教・キリスト教では、エルサレムが終末の舞台である。ユダヤ教ないしキリスト教の福音派は、第三神殿の建設を譲らないだろうが、イスラムには譲れる可能性は、少し残っているのではないか、などと私は思うのだが。これが幻視でないことを祈りたい。

2024年11月15日金曜日

追善回向と追悼ミサ

https://www.osaka-shinai.ac.jp/blog/gakuin/detail/54
学院では、本日追悼ミサが行われた。カトリックでは、11月は死者の月とされており、朝の祈りの時の讃美歌も追悼の曲を歌う。先生方も今日は、黒を基調にした服装であった。6限目のLHRの時間に講堂で行われたのだが、私は今回は出席しなかった。歯が痛むのと、すでに朝5時過ぎから、ブディストとして追善回向をしていたからである。上記画像は、学院のHPから。およそどういうミサなのかは把握できた次第。6月のミサもそうだったが、厳粛そのものであったろうと思う。

2024年11月13日水曜日

「黙示録」を読みとく

学院の図書館で、森秀樹著「黙示録を読み解く」を借りてきた。懐かしのイラスト付き講談社現代新書である。著者は神学者ではないが、古文書や翻訳をしている人であるらしい。と、いうわけで、少し内容に不安が残ったのだが、どうしてどうして、なかなか面白い。

聖書学から旧約聖書を解説している加藤隆氏も、様々な旧約の黙示的な文書は、当時のユダヤ人を取り巻く危機の影響を受けているという記述が多い。新約聖書の最後を飾る超有名なヨハネ黙示録も同様である。ローマの支配とユダヤ戦争で大離散時代を迎え、ユダヤ人とキリスト教徒への迫害が続く。戦争の四半世紀後に黙示録が表されている。皇帝ドミティアヌスの、小アジアのキリスト教徒(大半は非ユダヤ人であったが、皇帝を神と崇拝することを是としなかった故に、またメシアを待望していた故にユダヤ的と見られていた。)への迫害に対し、小アジアの7つの教会は無抵抗主義であり、存亡の危機にたたされていた。

よって、ヨハネ黙示録は、7つの教会の手紙から始まるのである。試験作成が大詰めになってきたので、次回はいつになるかはわからないが…つづく。