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森秀樹著「黙示録を読み解く」書評第3回目。前回のブログで少しふれたように、旧約聖書の黙示文学である「ダニエル書」と「エゼキエル書」等からの引用が、このヨハネの黙示録全405節のうち、278節もある。ただ、黙示録の著者はそれを明かしていないし、変形したものも多いそうだ。
前回もふれたが、「人の子」とは、マタイならびにマルコ福音書で、イエスは自分のことをそう呼んでいる。黙示録では、救世主・メシアの称号として用いているのだが、黙示録で表されたイエスの姿は、福音書に描かれていない凄い姿である。まず髪の毛が白い。これは純正を表している。また炎のような目をしているが、真偽・罪を見抜く力を、炉で焼かれた真鍮のような足は、苦難を乗り越えある域に達したことを、大水の轟のような声は、荘厳さ・権威を、そして、口から飛び出た両刃の剣は神の言葉を表しているとのこと。…カトリックでは、マリア信仰が盛んで、死に際して取次を聖母に頼むのだが、なんとなく判る気がする。(笑)ちなみに、ミケランジェロの最後の審判では、聖母はイエスの気迫にたじろいでいる姿で描かれている。
子羊が7つの封印を解くシーンが6節から始まり、4人の騎士が現れる。これは「ゼカリヤ書」の応用で、白・赤・黒・青白い馬にまたがる騎士(ゼカリヤ書では赤が2頭と栗色と白1頭ずつ)で、弓を持った白馬の騎士は戦争の象徴、剣を持つ赤馬の騎士は内戦の象徴、秤を持つ黒馬の騎士は食料の欠乏、青白馬の騎士は疫病を象徴しており、不吉な災いを示すものだとされる。
10本の角と7つの頭を持つ竜が12節から登場する。10はローマ支配下の10人の王、7つの頭はローマの7つの丘あるいは7人の皇帝を指し、キリスト教徒を迫害するローマを意味する。黙示録では、この竜はラスボスとなる。この竜に軍団を率いて戦うのが、イスラエルの守護天使である大天使ミカエルである。
たびたび登場する主要なキャラである4つの生き物は、「エゼキエル書」に登場する人間、獅子、牛、鷹で、福音書紀者に当てはめられていることを、前回記した。獅子は旧約聖書で103回も登場する。力強さ、勇気、威厳などを象徴である。牛(若い雄牛)は、犠牲獣として神に捧げられてきたが、黙示文学では力の象徴。人間は、ヘブライ語ではこれを表す言葉が5種あり、アダムはその一つで通称だと言う。(アダムは普通名詞なのだ。)鷲は鳥類の雄。これらは、神の被造物を代表する最も強く威厳のある生き物として選ばれていると言えるそうだ。
黙示録で、29回も引用されるのが、子羊。新約聖書では「屠られた子羊」すなわち磔刑のイエスを表している。贖罪の義を持っている。
黙示録では、様々な象徴が登場するので実にわかりにくい。1節の「7つの星」は前々回に記した、7つの教会の天使たち。「7つの金の燭台」は、7つの教会そのもの。4節の「7つの灯火」は、神の7つの霊。…7という数字は、天地創造から完成・完璧を意味する最重要な数。終末を告げる天使が次々と吹く「7つのラッパ」がその代表であろう。7はまた、過去・現在・未来+地水火風を合わせた完全数とも言われる。3✕4の12も完全数で、12ヶ月などの占星術だけでなく、イスラエル12部族やイエスの12使徒などにも関係する。
一方で、6は、7に1つ足りない不完全数である。有名な666は、獣の数字とされ、黙示録13章に登場する。「思慮のある者は、獣の数字を解くがよい。その数字とは人間をさすものである。そしてその数字は666である。」ゲマトリアという数秘術でギリシア語(あるいはヘブライ語)に隠された数値で読み解くと皇帝ネロを指しているとされている。
この他にもかなり多くの象徴があるのだが、今日は私が抜歯をした日でもあるので、ここまでとしたい。出血もおさまり、麻酔も切れたのだが、違和感が半端ない。(笑)…つづく。