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まずは、主権に関わって、民主主義という観点から 語ることにした。我々日本人がすでに空気のように感じている民主主義は、欧米人が戦って勝ち取ったものであり、自由・平等といった人権や、人の支配を覆して法の支配(法治主義)をほとんど暴力で得たということは確認しておいたほうが良いと思う。自由を享受する基盤にはそういった歴史があるわけだ。チャーチルの民主主義に関する箴言も伝えたい。民主主義は決して絶対的な正義ではなく、他の専制政治や独裁政治よりまだマシな政治制度であること。
さて、この民主主義を世界的に見ると、調査した組織により差はあるが、およそ世界人口の30%くらいの人々がこの政治体制化で暮らしている。当然HDIや腐敗認識指数が少ない上位国となる。
ここで、アフリカの国の中で、民主国家として高い評価を受けている国を紹介したい。セーシェルのガバナンスはいいことは、イコール民主国家であるのだが、あまりおもしろい話はない。ここでは、ボツワナとモーリシャスを選んでみた。
ボツワナは、イギリス植民地時代から、ツワナというエスニック・グループが多数派(79%:南アの方が居住者は多いらしい。)で、そのツワナ人の有力氏族の王位継承者であったセレツェ・カーマを抜きには語れない。彼は南アの寄宿舎の学校・大学で学んだ後、オックスフォード大学に留学する。そこでイギリス人女性と知り合い結婚する。隣国のアパルトヘイト国家・南アは激怒し、国内でも日本で言う皇室典範を無視したことで大問題になる。仲介者のイギリスは困り、ロンドンに呼び戻し、結局王位を捨てるのである。1956年に一市民として帰国し、1962年から自らの氏族中心の政党を組織し、独立運動を開始し、最初の議会選挙で全国政党化し圧勝。1966年の独立と共に初代大統領に就任。翌年、ダイヤモンドの世界的鉱脈が発見され、デビアス社と契約を結ぶが、このレントを、初等教育、医療、インフラなどに振り向け、汚職を許さず政府職員のアフリカ系化をあえて進めず、外国人官僚を使って良好なガバナンスを維持した。天然資源の罠やガバナンスの罠を見事にクリアしたのである。しかもボツワナは内陸国。現在は、デビアズ社と政府が合弁して、ダイヤモンドの研磨や流通にも関わり6次産業化も進んでいる。内陸国の罠については、輸出額の90%を占めるダイヤモンドは、航空貨物によるものであるので、最小限に抑えられている。
モーリシャスは、フランス支配からイギリス支配へと代わったインド洋の島嶼国。サトウキビ・プランテーション地域だったが、奴隷解放時にインド系の人々が移民してきた。現在の多数派(68%:他にアフリカ系と白人のクレオール27%、中華系3%、フランス系2%)となっている。モーリシャスの国民議会は70議席で、62議席分は定数3の選挙区で直接選挙が行われる。面白いのは、「最良の敗者」と呼ばれる残り8議席である。人口比に対し当選者の少なかった政党に配分され、各民族の発言権を確保、民族融和をもたらしている。モーリシャスは、香港などから安価な労働力として縫製の仕事を受けており、安定した経済と雇用状況を維持している。観光業でもかなり利益を挙げている。
…モーリシャスは、小学校高学年が中学の低学年の頃、ある月刊少年誌で特集が組まれていたこともあって深く印象に残った国である。子供ながら4つの肌の色が違う人々が協力して国を盛り上げていることに言いしれぬ感動があった。シンガポールからヨハネスブルグに夜間飛行した際にその灯火を見たが、もう行くこともないだろうなあ、とため息をつくのであった。
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