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日本近代史の最初の大ポイントは廃藩置県と学制だと私は考えている。薩摩や長州、水戸や会津といった藩中心の所属意識を変革したのだが、この裏面史は、富国強兵のため、学制による国民皆兵への準備である。「ハト・マメ・マス」という小学校1年生の国語の教科書は、東北地方の方言矯正を目的として書かれている。単なる方言矯正ではなく、軍での伝達をスムーズにする意図がある。当時の世界は、戦争行為は政治の延長であり、「権利」と考えられていた。傭兵から国民皆兵への変革は当時の列強の常識となっており、日本もそれにのったわけで、このことを単純に批判すべきではないと私は考えている。
現在も国民皆兵=徴兵制を取る国は64カ国ある。男女とも徴兵というのは5カ国。イスラエル、エリトリア、北朝鮮、そしてノルウェーとスウェーデンである。この2カ国に加えHDI上位国のスイス、デンマーク、フィンランドも徴兵制を取っている。このあたりは各国の歴史的背景があるので、授業では簡単に触れておこうかと思う。BRICSでは、ブラジル、ロシア、中国の3カ国。ASEANでは、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、カンボジア、ミャンマー、ラオス。さらに韓国やトルコ、メキシコもである。
反対に軍隊を保有しない国もある。太平洋やカリブ海の島嶼国や、バチカン、リヒテンシュタインなどのミニ国家が多い。コスタリカの憲法に「恒久制度としての軍隊廃止」とあるのは有名だが、実際には隣国ニカラグア国軍の3倍の予算をもつ警察=公安部隊がある。NATO加盟国ながら常備軍がないのはアイスランド。(米軍も撤退したままである。)国民国家=国民皆兵という視点では、こういった問題にふれることになる。
次に多民族国家と国民国家というテーマで語るつもりである。多民族国家とは、一般にはマジョリティの民族以外の少数民族が5%を超える国家と言われている。この定義だと殆どの国が多民族国家だといえるだろう。特にアフリカ諸国は、列強による国境線に苛まれており、民族やエスニック・グループの帰属意識のほうが強いのは当然である。
ベルギーは、ルワンダとブルンジで、意図的な民族分断政策を取り、ツチとフツに分けた。独立後に大虐殺事件が起こる。国民国家化の真逆だといえる。またフランスは、シリア支配の施策で、同じアラブ人ながら、スンニー派を差し置いて、少数派のアラウィー派のアサド政権をつくった。これも国民国家化の分断例である。
トルコは憲法でトルコ民族国家(=単一民族国家)と謳っているが、国土の1/3にクルド人居住区があり、1500万人/トルコの人口の19%となっている。建国の父:ケマル・パシャを侮辱すると不敬罪に問われる。複雑なところだ。
最後に多民族国家のアメリカ・カナダ・オーストラリアの国民国家について触れておこうと思う。アメリカのグリーン・カード(永住権)や参政権のある市民権について少し解説した後、帰化時に誓うアメリカの「忠誠の誓い」を紹介しようと思う。さらに、カナダ、オーストラリア(学院ではオーストラリアに姉妹校があり短期留学も毎年行われている。)の同様の誓いも紹介したい。一番上がアメリカで和訳を付けた。アメリカでは星条旗の多さに驚かされるが、なかなか荘厳な宣誓である。ちなみに「under God/神の下の」の語は、冷戦下無神論の東陣営を意識してつく加えられたものだとか。学院の生徒は英語が得意な子も多いので、ここからは和訳なしにした。二番目がカナダの「忠誠の誓い」である。カナダの君主(=UKの国王)への忠誠であるところが特徴的である。三番めのオーストラリアは、「国民としての誓い」で、一般的な、オーストラリア社会への順応を意識させるものとなっており、三者三様であるのが面白い。
I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all.
I swear that I will be faithful and bear true allegiance to Her Majesty Queen Elizabeth the Second, Queen of Canada, Her Heirs and Successors, and that I will faithfully observe the laws of Canada and fulfil my duties as a Canadian citizen.
I pledge my loyalty to Australia and its people, whose democratic beliefs I share, whose rights and liberties I cherish, and whose laws I will uphold.
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