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2026年4月2日木曜日

戦争におけるコスト問題

https://warthunder.dmm.com/news/detail/9492
アメリカのイラン攻撃の様相が変化してきた。当初は、ステルスのB2爆撃機やトマホークミサイルなどをバンバン使っていたし、ミサイルやドローンの迎撃にもミサイルを使っていた。しかし、どう考えてもコスト面で圧倒的に不利である。300万円くらいのドローンを何億もする迎撃ミサイルで撃ち落としても馬鹿みたいだし、すでに制空権をほぼ得ているイラン本土への攻撃もわざわざステルス機を使う必要もない。しかもB2もF35もステルス性を保持するため運用コストが高く付くし、そんなに多くの爆弾を積めるわけでもない。

そこで、爆撃は冷戦時代の可変翼爆撃機B1-Bを使い、さらに地上攻撃やドローン対策で、A-10(画像参照)を使っているようだ。このB1-BもA-10も退役させる予定だったものだ。

B1-Bは、可変翼なので整備が大変である。そもそもは、核を搭載する爆撃機というコンセプトで造られたもの。(STARTの核軍縮条約で通常兵器のみに改造された。)今回、サウスダコタ州の空軍基地から往復32時間もかけて爆撃に向かったという情報もある。実は、私はサウスダコタの基地近くの航空博物館に行った時、超低空飛行をしているB1-Bを間近で見ている。高高度では翼の角度を狭め高速飛行が可能。敵地に入ってからは翼の角度を広げ低速で低空飛行する。ステルス性には欠けるが、積める爆弾は、かのB-52より多い。

A-10は、機首に、劣化ウランを弾芯とした30mm徹甲弾のバルカン砲を持っている。もちろんミサイルや爆弾もたくさん積めるが、今回は、コスト面からこのバルカン砲が見直されたようだ。戦車などミサイルや爆弾を使わなくともいとも簡単に破壊できる。ただ、すでにバルカン砲の使用は、時代遅れと見なされていた。

戦争には金がかかる。資本主義の総本家であるアメリカは、時代遅れの航空機を再利用して、コストを下げようとしているわけだ。さらに機で、ホルムズ海峡のドローン攻撃に備えるという話も出ているようだ。まさにプラグマティズムの極み…。

2026年4月1日水曜日

山本由伸投手のボブルヘッド

https://news.yahoo.co.jp/articles/eb5148184bf3440dd5acb74ba12b4e94f6870bf8/images/000
山本由伸投手のボブルヘッドデー。なんとマリオブラザーズの”ヨッシー”が背番号18をつけた姿のもので、大人気・大行列だったそうだ。任天堂とのコラボであるとのこと。始球式のキャッチャーも山本投手が務めた。大歓声。ドジャーズのビジネス戦略は冴え渡っている。

ところで、昨日は、ササミローキ投手が5回まで投げて、先発ローテンションに踏みとどまった。相手の先発がそれ以上に好投し、なかなか点が取れず今シーズン初の敗戦となったが、ササミローキ投手には負けはつかなかった。

今日は、大谷選手が先発。6回を無失点・1安打・6奪三振で勝利投手となった。やるなあ。明日は、対ガーディアンズ三連戦に勝ち越しを狙うドジャーズは、山本由伸投手が先発である。日本人投手が3戦連続で先発マウンドに立つわけだ。大いに期待したい。ベッツもテオヘルもマンシーもみんな調子を上げているし…。

2026年3月30日月曜日

砂防ダムと満開の山桜

先日、妻と散歩に出かけた際に、裏山の工事(何をやっているかも知らなかった)の様子を見に行ったら、砂防ダムが出来ていた。「砂防」と聞くと連想するのは、昔の自民党の田中派の拠点があった砂防会館。(笑)砂防というのは土石流などを食い止めるためのダムで、別に水を貯めるためのダムではない。しかしながら、最近は環境のこともあって、水を流すようになっているらしい。

この砂防ダムの近くに山桜が咲いていた。おそらくは、ほとんど人の目に触れない悲しい桜である。せっかくなので、改めて今日写真を撮ってきた。

逆光ではあったが、満開の桜の美しさは捉えたように思う。桜を愛でることは、本格的な春の到来を感じることでもある。近くで、ウグイスもたくさん鳴いていた。

2026年3月29日日曜日

ドジャーズ 開幕三連勝


ドジャーズが、第2戦・第3戦も横綱野球で勝利した。三試合とも2点を入れられて、それを全て逆転していく様は、下位にやりたいようにやらせてからブン投げる横綱相撲そのまま。

第2戦は、矢田先生に師事したベッツの3ランHR、第3戦は、誕生日でボブルベッドデーだったスミスの2ランが印象的だった。タッカーもディアスも期待どうりの活躍している。ただ、大谷選手が出塁率はともかく、打撃不調なのが心配。

2026年3月28日土曜日

エチオピアの地下足袋

https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-9397.html
YouTubeのショート動画で、エチオピアの雨季後の泥と格闘したJICAの専門家(田中利和 龍谷大学准教授)の活躍が描かれていた。最初は笑って見向きもしなかった現地の人々が、日本から持ってきた地下足袋を履いて、現在は喜んで牛耕をしている。地下足袋は、裸足や長靴に比べて泥でも踏ん張れるそうだ。この話が凄いのは、地下足袋を、現地の素材を使って、エチオタビというブランド名で地元民が現地生産し、雇用も生み出したことである。何から何まで中国製と中国人労働者でアフリカに迫ってくる中国と、少しだけ支えて持続可能性を追求する日本の国際協力の違いがここにある。お見事である。

https://www.youtube.com/shorts/RbtC8zsPTAU

同志社国際高校の事件 考2

https://sirabee.com/2026/03/17/20163529806/
沖縄辺野古の事件が、さらに深堀りされている。
教育関係者として、最も重要だと思うのが、過去の修学旅行の平和学習で、基地前で「座り込み」をさせられたというOBからの情報、ならびに学校からの書類”座り込みの注意事項”の存在が示されたことである。これは明らかに教育基本法14条第2項の「特定の政党を支持・反対するための政治教育、その他支持活動をしてはならない。」に違反している。また修学旅行のコース変更には、馬鹿馬鹿しいほど極めて高いハードルもあったようだし、普段から左翼的な指導に反発するれば単位認定も厳しくなったという証言がOBから出ている。同志社国際高校は、優秀な帰国子女が多い学校なのだが、民青やしばき隊の生産工場であったのか。

さらに、この辺野古の基地(元々辺野古には米軍キャンプが存在し、嘉手納基地から移転するための滑走路の延長工事)の反対派には、様々な労働組合(教職員組合や民放の労働組合も含まれる)から8億円とも言われるの多額の資金が集まっていることもわかった。転覆した船についても某左翼政党の機関誌に、寄付されたことが明確に載っている。しかしながら、辺野古の地元民の多数は基地の存在に反対ではないことも明らかになった。

一方、プロテスタントの各教会の多くが、左翼、リベラル派であり、反原発やLGBTへの支援をしており、その機関誌の1つ『キリスト新聞』には、犠牲になった船長(牧師)への追悼文が載せられているが、犠牲になった生徒のことは、全く言外であった。これは、実に不可解だし、これが宗教者による記事だというのが信じられない。https://www.youtube.com/watch?v=4PB8lEGEHxc

さて、危機管理に関しての指摘もある。海は命を奪うものである、という常識を、元空自の潜水士が何度も指摘していた。小さな船に大勢の生徒を乗せ、生徒が一気に移動した場合バランスを失うし、小船は横波に弱い。波浪注意報の中で出港すること自体考えられないと言われている。この出港に関して、責任を持って止めることが出来なかった事自体が、行政の怠慢(というか、反対組織と癒着していて動かなかった)であり、これは事故ではなく犯罪であると結論づけている。(前回記した私の北海道修学旅行での漁船体験では、かなり大きな船だったし、しかも広い漁港内を回遊したにすぎない。もし、波浪注意報が出ていたら、漁協が許可しなかったであろう。)
https://www.youtube.com/watch?v=0TIAjaeuILc

様々な事実が明らかになり、犠牲になった女子高生がますます不憫になるのだが、彼女の死を無駄にしないためにも、この事件の闇をさらに暴いていって欲しいものだ。オールドメディアの民放の労組は、報道しない自由を選ぶだろうが…。

2026年3月27日金曜日

開幕戦は横綱野球

https://www.youtube.com/watch?v=O3aVT1iiJvA
ドジャーズの開幕戦である。先発が山本由伸で、打順も、大谷・タッカー・ベッツ・フリーマン・スミス・マンシー・テオヘル・パヘス・ロハスという、どこからでもHRが飛び出しそうな凄い攻撃陣である。

4回表に山本が2ランを浴びて、2年連続開幕戦勝利投手の権利を失うのかと思われたが、その裏、マンシーがヒット、テオヘルが内野安打の後、パヘスの3ランで逆転。ロハスもヒット、スミスの内野安打で4点目。7回裏、大谷の死球後、タッカーが2塁打で返し、ベッツも続きタッカーが帰り、スミスが2ランHR。これで8対2。山本が6回まで投げて、後はトライネン、クライン、スコットの継投で無得点に抑えた試合だった。クラインは、あの伝説的なWSの延長戦で4回も投げ無失点だった影のMVPだが、トライネン、スコットという名前は昨年の投壊を思い出すのでヒヤヒヤした。(笑)

横綱相撲というか、まさに横綱野球。大谷選手は、第1打席でヒットを打ったが、NPBも含めて開幕戦のHRはないらしく、ジンクス通りだった。昨年は東京の第2戦で一発があったので期待が膨らむところ。

2026年3月26日木曜日

同志社国際高校の事件 考

https://znn.jp/2020/02/post-25632.html
沖縄・辺野古基地建設現場を視察する平和学習で、乗船していた女子生徒が水死した痛ましい事件について、かなり情報が出揃ったので私なりに考察しようと思う。同志社国際高校は、現・京田辺市(当時は田辺町)に住んでいた私にとって身近な存在である。同志社大学(京田辺キャンパス)と同志社女子大学に隣接した、レンガ風の校舎で、好印象な学校であったので、実に残念である。

まずは、「平和学習」について。辺野古基地の建設現場を、教員不在で抗議船に波浪注意報の中、生徒を乗船させるという行為は、過激すぎると言わざるを得ない。(過去の事例で、防空壕の中に閉じ込められ、泣き出したOGもいたという。)たしかに沖縄に米軍基地が集中しすぎており、それに対する批判があっても当然であると思うが、成田空港建設時の三里塚闘争で、反対派の”やぐら”(画像参照)にのぼる体験をさせるのに等しい、と私は思う。高校生の平和学習という範疇からは、大きく逸脱している。

教育関係者としては、付き添い教員が乗船しなかったというのが納得できない。北海道の修学旅行で漁船に乗せたことはあるが、当然同行した。教員が乗船するとなにかまずいことがあるのか、と疑うのは当然である。しかもこの抗議船は、法的に認められておらず、保険にも入っていない。これを承認した学校と旅行業者は、全くもって信じられない不誠実さである。

どうも、この抗議船と辺野古基地反対の組織には、某左翼政党がからんでいるようである。2隻のもう一方の船長は、その某左翼政党の地方議員であったことが後日判明した。その反対派組織の代表者は会見場で腕組みをしていて、世間の顰蹙をかった。

私は、この某左翼政党支持の教員に辟易したことが何度もある。選挙時に学校から保護者に電話をして投票依頼をしたり、社会科の教師の中には公然と思想教育のようなことをする者もいた。もちろん全ての某左翼政党支持の教員がそうであった訳ではないが、自らの正義を信じ込み、正義のために何をやってもゆるされるというスターリニズムを想起させられたことが多かった。

左翼に限らず、右翼にも、また宗教的な組織にも、独善的な一面がある。今回の事件でも、反基地闘争は正義であるというドグマがあからさまであった。組織の代表者の腕組みはそれを見事に体現している。しかし、死亡事故の会見に際して、腕組み(心理学的には自己防衛)をする幼児性は、極めて醜い。

思想というものは、突き詰めれば独善に陥りやすい。しかしながら、様々な思想が混在するのが社会の常である。互いの意見を尊重し合いながら物事を進めていく視野の広さを持つ必要がある。それこそが「平和教育」の根本だと思うのだが…。

改めて、大人たちの不誠実かつ独善的な所業によって、尊い生命を奪われた女子高校生に、心から哀悼の意を示したいと思います。合掌。

2026年3月25日水曜日

カーグ島に陸軍空挺部隊も

イランの最大の石油輸出基地であるカーグ島の占領をアメリカは志向していのが確実のようだ。すでに強襲揚陸艦トリポリに、沖縄の海兵隊が乗り込んで出発した模様。一方、陸軍の精鋭部隊である空挺部隊も、輸送機で周辺基地に集結しているようだ。合計5000の兵力であるらしい。

おそらくイランの革命防衛隊も黙って見ていないように思うので、今回の戦いで、これまでのアメリカの死傷者が極めて少ない状況が大きく変化する可能性が高い。

この威圧にイランが屈すれば良いのだが…。革命防衛隊の士気はどれほどなのだろう。すでにこれまで私腹を肥やしてきた上層部の多くは攻撃でやられている。最高指導者もいない中、ジハード(聖戦)の宣言もなされていない。シーア派の法源には、クルアーンやスンナ、イジュマーと共に「理性」(アクル)があるはずである。無駄に死傷者が増えないことを祈るばかりである。

今回もAI画像で、革命防衛隊の現場の逡巡というタイトルで作ってみた。

2026年3月23日月曜日

幕末史をメタに見る

鍵屋での市民講座を受けて、久しぶりに幕末史についてメタに考えたいと思う。その結論は、薩摩藩の動向が極めて重要だということである。

薩摩藩は、島津斉彬の時代、篤姫(斉彬の養女)を第13代将軍家定の正室にすえ、一橋慶喜に禅譲をさせようとしていた。一橋派(水戸藩出身故に優秀でも将軍にはなれない慶喜を、御三卿の一橋家の養子にして、次期将軍の座を狙う派閥:越前の松平春嶽と橋本左内・水戸の徳川斉昭・老中阿部正弘)の1人であった。しかし、斉彬は病死する。彼の尊王攘夷の思想(アジア主義と言った方がいいかも知れない)の影響は、その後の薩摩藩に浸透する。最大の後継者は西郷であると言ってよいが、同じ尊王攘夷と言っても長州とは一線を画す幕府内の改革派であった。しかし、南紀派の井伊直弼に権力闘争で破れ、安政の大獄で一気に暗転してしまう。

以降、薩摩は生麦事件をきっかけに薩英戦争を戦い、攘夷の限界を知ったのだが、蛤御門の変では、会津と幕府側で共に長州と戦った。

薩摩の転機となったのは、第一次長州征伐で、西郷の斡旋で無血の戦いに終わらせた。その後の長州もまた四国連合艦隊との戦いで攘夷の限界を知り、薩長同盟=倒幕へ向かうことになる。第二次長州征伐でも結局薩摩は動かず、14代将軍家茂の急逝で幕府側は兵を引く。

大政奉還という第15代将軍慶喜の策を薩摩は蹴り、軍事的な倒幕へ舵を切る。鳥羽伏見の戦いから、戊辰戦争へと進むわけである。薩摩藩の幕府内改革から、倒幕への方向転換が、全てを決めたと言えるだろう。

さて、先日学院の社会科のM先生と、幕末史で最も好きな人物を訪ねたのだが、大久保利通(当時は一蔵)の名が出た。たしかに、下士から久光に囲碁で取り入り、親友の西郷に並ぶ出世をした傑物であり、鳥羽伏見の戦いで岩倉具視と錦の御旗を捏造(本日のAI画像参照)し、水戸出身(藩是は家康の遺訓であり、同時に隆盛した水戸学は、朝廷への忠義を謳っている)の慶喜を朝敵扱いし、江戸帰還へと貶めた。私も最強の人物だと思っている。私は?と問われ、勝海舟と山岡鉄舟、さらに松平容保ら幕府側の逸材を挙げた。これはまあ、判官贔屓である。

幕末史の面白さは、膨大な数の魅力に溢れた人物像にあると思う。しかしメタに見た場合は、この薩摩の背信にこそあるといえる。

2026年3月22日日曜日

枚方宿鍵屋の市民歴史講座

枚方宿 鍵屋資料館
枚方は、京と大坂を結ぶ水路であり街道であったという歴史がある。今日は、その歴史的な枚方宿の「鍵屋」で「幕末政治と枚方」というテーマの市民歴史講座に参加してきた。

歴史学というものは、様々な文献で明らかになった事実を元に語られる。枚方を往来した幕末時代の人物は多いだろうが、文献に残っているとなると、数は多くない。本日の講師は、京都女子大・大谷大学講師の中村武生先生である。基本的に京から大坂へは淀川の流れに沿って水路、反対に大坂から京へは陸路で枚方宿を通過することが多いとのこと、である。

まず最初に講じられた人物は、15代将軍徳川慶喜である。枚方北部の陣屋の代官の日記により、真夜中に徳川慶喜が通ったことが記されている。鳥羽伏見の戦いで朝敵扱いされ、松平容保らと大坂へ逃げた時のことらしい。当然ながら、間道や抜け道を5・60人の武士が事前に探索し、篝火をたいての逃避行だったようで、住民たちがかなり驚いたと記録されている。

続いて、土佐の山内容堂の側近が残した日誌によると、文久3年1月に江戸を立ち、海路で大坂に入り、23日に枚方宿に宿泊していることが明らかである。当時の京では、安政の大獄で多くの公家やその家臣らも処分の対象となった。吉田松陰や橋本左内の方が有名だが、よくよく調べてみると多くの公家関係の名が認められる。すなわち、京からすれば、開国後の幕府が強権的に天皇・朝廷を蔑ろにした事件であった。ところが攘夷を唱える天皇への指示が急激に高まり、14代将軍徳川家茂を京に呼び寄せ協議することに成功した。それまで、将軍や大名が京を訪れることはほぼなかったのだが、この将軍の上京にあわせ、200万石以上の有力大名にも京にのぼることを命じた。これに応じたのが薩摩・長州・土佐であったわけだ。日記の原文を見ると、容堂は21日に大坂に着き、土佐藩邸に泊まっている。22日には薩摩の小松帯刀、大久保一蔵(後の利通)が御目道りしている。長州からの使者も来ている。

同年5月には、老中格の小笠原長行(ながみち)が、軍艦と1000の兵を率いて、徳川家茂の江戸帰還を促す行動も起きた。これは京を第二次の安政の大獄かとパニックにさせた。家茂側近の若年寄が枚方宿にやってきて押し留めようとしたが、小笠原は淀まで進んだ。この騒動は、結局老中水野忠精が、家茂の親書を持ってきて思いとどまらせた。この処罰のために家茂は江戸に戻ることを許された。結果的には、平和裏に家茂は江戸に戻れたわけである。枚方宿や淀はその歴史的舞台となったわけである。

その他、中山忠光や真木和泉、新選組と称される以前の壬生浪士だった芹沢鴨、近藤勇、土方歳三らの名も挙がっていた。先生は、時間制限がなかったら、もっと話したかっただろうと思う次第。

…この市民講座に向かうのに、枚方市駅から鍵屋資料館まで、京街道を妻と歩いた。東海道の延長線である。陣屋跡なども残されていて、かなりヒストリックな町並みであった。枚方に住んで長いのだが、こんな観光地っぽい雰囲気の場所もあったのかと驚いた。近隣の方にとっては当然ながら普段の道であるわけだが…。

カーグ島に海兵隊を送る可能性

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN183UK0Y6A310C2000000/
イランは、本当に”いらん”事を言ったと思う。人民元で石油取引をするタンカーのみを、ホルムズ海峡を通過させるという声明である。アメリカのイラン攻撃の目的がペトロダラーシステムの堅持であるならば、最も刺激的な声明であるといえる。

イランの石油関連施設は、カーグ島であるが、ここの石油関連施設をアメリカがあえて破壊しないのは、国際原油価格の暴騰を避けるためであることは明白だ。ホルムズ海峡封鎖で、石油価格が上がっているが、これ以上の上昇は、中間選挙を控えたトランプとしては、マイナス(コスト・プッシュ・インフレで全ての商品に及ぶ故)にしか働かない。イランの財政の心臓部であるカーグ島を叩けばイランの息の根をとめることができるが、諸刃の剣であるわけである。

そこで、カーグ島を占領してしまおうというプランが以前から動いていたようだ。制空権・制海権(機雷以外)を抑えてあるのでに、島の占領は比較的容易そうだ。イラン本土への地上勢力派遣は、地形(山脈や砂漠)の関係でNGだが、島だけなら約5000名の海兵隊で十分可能という計算が成り立っているようである。この可能性は極めて高い。戦争終結を早める作戦になるだろうと思われる。平和と経済面での安定を望むばかりである。

2026年3月21日土曜日

今回の日米首脳会談 考

今回の日米首脳会談は、十分な成果を挙げたのではないかと思っている。関西のおばちゃん風の首相は、トランプとうまくコミュニケーションをとっていたようだ。息子の誕生日の話などは、佐藤優の外務省時代の本を参考に考えるならば、外務省の事前準備が功を奏したと思われるし、安倍元首相時代の通訳を同行させたのも、トランプを喜ばせたようだし、ファーストネーム(ドナルド)を呼べる関係であるのも、ハグできる関係であるのも、うまくいっている証である。祖国のために死んだ軍人の墓地であるアーリントンに行ったのも良かったと思う。(アーリントンといえば、昔々、私も訪問したことがある。JFKの墓の前の永遠の火も視察させてもらった。ちなみにJFKはWWⅡで海軍士官だった。)

さて、劇薬のようなトランプとの友好的雰囲気を作りつつ、イランへの自衛隊派遣については、法的に無理があることをきちんと述べたようだ。一方で、中間選挙を控える故にお土産もちゃんと用意していて、外相と産業相を伴い、アメリカへの投資を行うことを約束した。いくつかあるのだが、アラスカの石油開発と備蓄といったエネルギー戦略、日本領海内のレアアースの共同開発など、軍事的な協力はできなくとも経済的な分野での協力など、全く無能だった前任者とは、まさに格の違いを見せつけた。

さて、テレビ朝日の記者が、イラン攻撃の際の同盟国への事前通告がなかったについて質問し、トランプは、「奇襲したのだ。奇襲については日本もよく知っているはず。」と、真珠湾攻撃のことを念頭にブラックジョークを飛ばした。アメリカのメディアでは、これが最も話題になっているようだが、私は首相の努力を台無しにするような、国益を考えない馬鹿な質問だと感じている。さすがは朝日。と同時に、この真珠湾については、アメリカに行くたびに訪れた数々の航空博物館に、フツーに常設展示されている”リメンバー・パールハーバー”コーナーの存在を改めて想起した。アメリカにおける真珠湾攻撃は、日本におけるヒロシマ・ナガサキのような感覚としてあると私は思う。だからといって、相手を責めるという感覚はかなり薄れているのだが…。ちなみに、F・ルーズベルトはこの奇襲を知っていたはずで、ハワイの基地だけが知らされていなかったというのが現代史の常識になっている。

さて、フェイクの可能性もあるが、イラン外相が日本の船だけはホルムズ海峡を通過許可するという話が出ている。このホルムズ海峡封鎖がいつ終わるのか、わからない中で少し考えてみた。現在アメリカとNATOの関係は極めて良くない。イランも、ロシアや中国には裏切られた感が強い。サウジやUAEなど同じムスリムの国にも攻撃して完全に敵に回してしまった。戦争を休戦もしくは停止に持っていくために、仲介役を考えた際に、日本という線がでてくるのではないか、と思うのである。過去には、イランと日本の関係は石油開発などで実に親密であった。アメリカの子分ではあるけれど、平和国家として、また技術大国として、あるいは文化的にも世界の尊敬を集めている。イスラエルにとっても、日本は杉原千畝氏を始めとする多くの反ユダヤ主義と戦った人々の国であり、イスラエル12部族の末裔と考えられているフシもある。アメリカ・イスラエルとイランの戦争終結の仲介者として適任であるように思うのだが…。

本日の画像もAIで作成。もっと日本的背景と座席の位置も変えたかったがこれ以上はムリとされてしまった。(笑)

2026年3月20日金曜日

海自の掃海技術が凄い

https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/mso/awaji/
日米首脳会談で話題となっているのは、ホルムズ海峡への海自の出動要請であるようだ。特に「掃海挺」(機雷を除去する作業船)が必要らしい。この話を聞いて、私がイメージしたのは非金属で出来た木造船であった。これはかなり古いイメージであり、機雷もトゲトゲした金属製の球体を思い浮かべたのだが、今の機雷は、音(船のエンジン音の周波数)や水圧(航行による水圧の変化)、磁場(金属の船体が生み出す磁場)を同時に捉え、どんな船か判断する能力を持っているに反応するらしい。海底で待ち続けるプログラム兵器であり、通過回数やを数える機能(例えば3隻目に作動する)もあるという。浅く狭いホルムズ海峡は機雷にとってうってつけの条件を持っているわけだ。

海自は(まだ自衛隊が生まれる前の)朝鮮戦争以来の掃海経験、さらに1991年の湾岸戦争後のペルシャ湾での掃海経験をもっている。この時は他の国が手を付けられなかった機雷を見事に処分している。

現在では、FRP(=繊維強化プラスチック/磁場を発生させない)で造られた世界最大級の「あわじ型」(画像参照)をもち、機雷関連の戦闘艦20隻と掃海ヘリを10機保有している。(世界最強のアメリカ海軍は8隻だから、倍以上である。)「あわじ型」は、水面近くの機雷は専用のレーダーで探知可能だし、深い海底でも無人潜水機で機雷を探知すると自走式処分爆薬という装置が機雷に近づき爆破できるという凄い艦である。ヘリは掃海装備を空中から引きながら広い海域を探知できるそうだ。地味ながら70年積み上げてきた技術のまさに集積と言える。

安倍政権時代、安全保障関連法を整備した際、このホルムズ海峡の機雷封鎖を代表的事例として挙げ、集団的自衛権を使って可能としてきた。それが現実になった今、たしかに難しいところである。国家存立危機にたるか否か?戦闘行為中の機雷除去は戦闘への参加とも見なされ、憲法との兼ね合いで、法的には今すぐ動くことは難しいというのも事実…。

https://www.youtube.com/watch?v=6f1XOL1LXiw

2026年3月18日水曜日

WBC 祭りのあと

https://embar.howetic.info/item-ip4ehel4g6.html
今回のWBCは大方の予想を裏切る展開であった。決勝戦は接戦の末にベネズエラがアメリカに3-2で勝った。

勝った方は問題ないが、負けたらいろいろと批判が出てくる。敗北の責任を追求し、戦犯を探し出す。「組織」というもののもつ宿命的な「祭りのあと」が吹き出す。侍ジャパンもその例に漏れず、様々な批判が飛び出している。その多くは井端監督に向かっているようだが、連覇というプレッシャーの中、誰も引き受けなかったのをU-12の監督をしていたがために、ドタバタ劇の中で就任したという経緯があるようだ。NPBでの監督経験もなく、スター選手をまとめるだけのカリスマ性もないままに苦しんだと思う。すくなくとも他者に責任を押し付けず、全責任は私にあると言った井端監督に対し、(専門的な野球評論家はそれが仕事ゆえに仕方ないとしても)心無い批判は慎むべきだと私は思う。それが美学というものだ。

仮説 イラン攻撃とドル

ニクソン大統領は、ベトナム戦争終結、ウォーターゲート事件での辞任など、かのジョン・レノンが住んでいたNYCのダコタアパート入居を拒まれたくらい歴代大統領の中でも人気も評価も低い。とはいえ、1971年のドルショック(ドルと金の交換停止)を敢行した際に、参謀のヘンリー・キッシンジャーがドルをただの紙切れにはしなかった。サウジ王家と石油取引にドルのみを使うことと引き換えに、アメリカ国債を購入する王家を軍事的に守るという秘密協定を1974年に結んだ。ペトロダラーシステム(石油をドルでしか買えない仕組み)である。このおかげで、世界各国はドルを得なければならくなり、ドルをいくらでも刷れるアメリカは、国家債務を好きなだけ増やせるようになった。これは、ニクソン政権の置き土産であるわけだ。(本日の画像はAIで作成)

もしこのシステムが崩れたら、ドルの需要が急落し、金利が上昇し、現在$35兆の債務を抱えるアメリカは崩壊する。

イラクのフセインが2003年に石油をユーロで売ると宣言した。3年後イラクにアメリカは侵攻した。2011年にはリビアのカダフィが、アフリカ統一通貨・金ディナールで石油取引を計画した。その年NATOが空爆した。

世界最大の石油輸入国である中国は、2018年に上海エネルギー取引所を開設、人民元で取引しようとした。ここでSWIFT(ドル建ての国際金融取引システム)を遮断されていたイランが登場する。人民元で取引したことは、50年間続いているドルによる石油取引独占に亀裂を生み、それはアメリカの覇権を脅かすことになった。さらにデジタル人民元を開発、SWIFT・ドルなしの国際決済システムを構築。ベネズエラも同様に人民元で石油を中国に輸出していた。(両国あわせて中国の全輸入量の17%)しかも2024年にサウジがこのドルを迂回するシステム(mBridge)に参加し、BRICSへの参加も検討していた。

しかし、イランの報復攻撃でサウジはアメリカ側に戻った。湾岸諸国も同様である。アメリカの戦争コストは6日間で、$113億。ペトロダラーシステムが崩壊した場合の損失は$35兆の国家債務全体が揺らぐ。そう考えれば、実に安い投資である。アメリカがイランを攻撃したのは、まさにドルを守るためであったという仮説、いや真実…。

https://www.youtube.com/watch?v=caEGJ7i3cdo

2026年3月17日火曜日

civil warの宗教戦争的側面

https://www.twinkl.jp/teaching-wiki/american-civil-war
「宗教からアメリカ社会を知るための48章」(上坂昇著/明石書店)の書評の続きである。civil war(南北戦争)は、自由貿易か保護貿易かの経済政策的対立が主原因だと思っていたが、奴隷制をめぐって宗教戦争の側面を持っているという。

南部の奴隷制擁護の聖句は、創世記(9-25)の「カナンは呪われよ。奴隷の奴隷となり、兄たちに仕えよ。」と、レビ記(25-44/45)の「あなたの男女の奴隷が、周辺の国から得た者である場合は、それを奴隷として買うことができる。…それを財産とすることもできる。」よって、クリスチャンでなく異なる人種ならば、奴隷として売買や所有が許されており、新約でもイエスは奴隷制度を非難していない、という論である。

それに対し、北部はマタイの福音書(22-37)「心を尽くし、…あなたの神である主を愛しなさい。…隣人を自分のように愛しなさい。」を聖句として反論した。要するに、黒人奴隷にも隣人愛を持つべきだと説いたのである。

civil warでは、南軍1300人、北軍2400人もの従軍チャプレンを動員した。両軍とも10万人が回心したとされ、戦中戦後で宗教意識が高まった。また南部のバブテスト教会の黒人クリスチャンは、白人教会を離脱するものも多かったという。

2026年3月16日月曜日

アメリカの「市民宗教」

https://nativecamp.net/blog/20221126-holidays
WBCのアメリカ対ドミニカ共和国は、アメリカが僅差で勝利した。これまでの勢いからドミニカ共和国有利と見ていたが、見事に予想を裏切るのが今回の大会の特徴であると思う。

さて、そのアメリカの「市民宗教」について、本日はエントリーしようと思う。「宗教からアメリカ社会を知るための48章」(上坂昇著/明石書店)の書評の続きである。「市民宗教」とは、このブログでも何度か登場したルソーの『社会契約論』から始まった概念で、国民の宗教的指向性といえる。イギリスなら英国国教会、ドイツなら北部はルター派、南部がカトリックといった具合である。

アメリカは連邦憲法の修正第1条で、信教の自由を謳うと共に、政教分離の原則も規定している。だが、公務員の就任宣誓、さらに紙幣や硬貨には、「我々は神を信じる」の明示があり、一見政教分離に反しているようなことが当たり前に行われている。この神は、キリスト教の神と言うより超越的な神、社会に秩序を与える機能的な神と受け止められている。

歴代の大統領で最も尊敬を集めているのは、初代のワシントンと16代のリンカーンであろうと思われるが、彼らは特定の教会に属さないが礼拝には出席し、演説でも聖書的背景が色濃く出ている。しかし、ワシントンは神という言葉を、リンカーンはイエスという表現を使わなかった。しかし両者とも神への感謝を強く国民に訴えたと言われている。

アメリカにはフランスの”ライシテ”のような徹底した政教分離は行われていないし、多くの宗派に分かれているキリスト教やユダヤ教、仏教、イスラム教、ヒンドゥー教等の国民を包括した微妙な「市民宗教」を形成しているわけである。その最も顕著な例は、メリー・クリスマスを、ハッピー・ホリデイと言い換える風潮であるといえるだろう。

2026年3月15日日曜日

侍ジャパン、準々決勝で散る

https://www.youtube.com/watch?v=5zGpHYR5uVA
ベネズエラは実に強いチームだった。初回、先頭打者HRを打たれて、その裏大谷選手がお返しの先頭打者HRを打ったのには、さすがだったし、鈴木誠也選手が盗塁で怪我をして、その代役となった森下選手の逆転3ランもおおいに湧いたのだが、その後はベネズエラ打線の凄さばかりが目立った試合となった。あーあ。初のベスト4を逃した大会になってしまったのだった。残念。

2026年3月14日土曜日

福音派の博物館

https://www.christiantoday.co.jp/articles/30343/20211214/patrick-marsh-designed-ark-encounter-creation-museum-dies.htm
福音派の人々は、聖書の無謬性を信じている。と、いうことは進化論の否定に繋がる。スコープス裁判(テネシー州では1925年に反進化論州法=バトラー法が定められ、公立学校で生物進化論を教えることを禁じたことに違反したとされる生物教師・スコーブスを有罪とした裁判)が有名だが、2018年の調査によると、非進化論の立場を取る人々は、白人福音派で38%、黒人プロテスタントで27%、白人主流教会派で16%、カトリックで13%、全成人では18%となっている。

これに進化の過程には神の導きがあるとする有神論的進化論支持者が、白人福音派で58%、黒人プロテスタントで66%、白人主流教会派で53%、カトリックで56%、全成人では48%もあり、科学大国アメリカにおける驚くべき数字である。(ちなみにヨーロッパ主要国の平均は、進化論支持が40%、非進化論が20%、有神論的進化論支持者が21%である。)

この数値は「宗教からアメリカ社会を知るための48章」(上坂昇著/明石書店)によるものである。本書には、こういう非進化論(=創造論)のスタンスで建てられた博物館がいくつか紹介されている。

ケンタッキー州には、方舟との遭遇館という、実物大(長さ155m・幅26m・高さ16m)の博物館があり、ノアとその家族が収容された動物と船内でどう過ごしたのかという展示やアトラクション、大洪水の最中にどんなことが起こったかなど、ノアの箱舟が事実であることを科学的に説明しようとしているそうだ。(画像参照)

またテキサス州には、ICR科学と地球の歴史発見センター、ワシントンD.C.には聖書博物館などもあり、子供に聖書の無謬性を伝える役割を果たしているそうだ。

ところで、アメリカの宗教心の強さ、特に黒人の教会での礼拝への姿勢には、何度も驚かされたことがある。初めてシカゴを訪れた時に、黒人の婦人がシカゴマラソンで通行止めになり、教会に行けないことに怒り、「神があなたをゆるさないわ」と警官に怒鳴ったのを見聞きした時は、その言葉自体に大いに驚いた。(このような言葉を、日本では絶対聞くことはないだろう。)またNYのハーレムツアーで、正装というか精一杯おしゃれをして集まっていた黒人女性や子供(彼はスーツに蝶ネクタイをさせられていた。)にも驚いた。彼らにとって教会に行くということの重みを感じずにはおれない。「ジーザス・イズ・カミング」をバプティストの牧師が何度も叫び続け、デキシーランドジャズ風のゴスペルに切り替わった途端、すごい光景を目にしたのだった。トランス状態の人々を始めて見させてもらった。

アイオワでは、ホームステイさせていただいていた姉妹校のミラー先生(ドイツ系)とともに、ルター派の教会の礼拝に参加した。白人ばかりで、厳かに礼拝は進んだ。おもしろいのは、先生の奥さんはアイリッシュでカトリックだったことだ。こういうことも、アメリカの宗教の実相であると思われる。

2026年3月13日金曜日

米国の会衆派と長老派

プロテスタントには、◯◯派といった名称が多い。本日は、その主たる派についてのエントリー。まずは、歴史的な問題で、英国国教会における分離派と改革派から。

英国国教会を創設したヘンリー8世の跡を継いだエドワード6世の時代、カルヴァン派の影響が強く、脱カトリック化が進んだ。これ以後、英国国教会は、カトリック的な勢力とカルヴァン派的な勢力が、まさに血みどろの歴史が繰り広げる。英国国教会に愛想を尽かしたのが分離派、国教内でカルヴァン的な教義の改革を進めようとしたのが、改革派である。

分離派は、メイフラワー号でアメリカに上陸したピルグリム・ファーザーズという伝説を作った。彼らは会衆派(直接民主制的な教会運営を旨とする。)が中心となっていた。後にピューリタン革命を成し遂げたクロムウェルなどは、分離派の中の独立派である。パブテストは、分離派から生まれ、成人洗礼を重視する。

一方改革派は、国教会では、ローチャーチ(カルヴァン派的国教会)を形成する。国教会は、国王を要点とする主教制をとるので、長老派(教会の運営を信徒の長老が運営する。)とは呼べない。ここから、後のメソジスト(几帳面を意味する)が生まれた。

会衆派が直接民主制の運営を取るのに対し、長老派は、長老による教会運営を行う。要するに教義は似ているが、教会の運営方法による分類である。スコットランドや北アイルランドなどのカルヴァン派、あるいは大陸のカルヴァン派が中心である。

今一度、3月4日付けの「全米宗教組織別の世帯収入分布」を見てみると、長老派の名前(長老派USA・アメリカ長老派教会)もメソジスト、バプティストの名前、それにルター派(アメリカ福音ルーテル教会・ルーテル派ミズーリ・シノッド)の名前も見られるが、アメリカの歴史上重要な意味合いを持つ会衆派の名前がない。3月3日のブログでもふれた「合同キリスト教会」の中心が会衆派なのである。(画像は、会衆派の回心をテーマにAIがつくった画像)

最後に、よく政治的な話で話題となる「福音派」だが、アメリカの人口の1/4を占める。プロテスタントの各宗派に存在し、改革長老派、バプテスト、メソジストなどが多く、保守的な南部を中心に広がっている。聖書の無謬性を信じる人々と要約できるだろう。

2026年3月12日木曜日

WBC決勝ラウンド 決定

https://www.tv-tokyo.co.jp/sports/articles/2026/03/041305.html
WBCの決勝ラウンドの組み合わせが決定した。日本時間の今麻、ベネズエラ対ドミニカが対戦して、ドミニカがベネズエラの追い上げを振り切って1位となり、日本の準々決勝の相手になった。アメリカはイタリアに敗けて、あやうく予選敗退になりそうだったのだが、メキシコがイタリアに負けたので2位で進出になった。

結局、日本は準々決勝でベネズエラ、準決勝でイタリアとプエルトリコの勝者と対戦することになったわけだ。決勝は下馬評では、アメリカかドミニカだろうと言われている。

短期決戦なので、投手力が大きく勝敗に左右する。野手に関してもアメリカはもちろん、ドミニカもベネズエラもMLBの選手だらけである。さてさて…。

2026年3月10日火曜日

WBC 豪州戦・チェコ戦

https://www.youtube.com/watch?v=MJ8xWIZPAt4
オーストラリア戦は、投手より一発が怖いと言われていたが、先発のマクドナルド投手は見事な好投。終わってから見たビデオでは、兄がインタヴューに答えていた。泣ける内容だった。オーストラリアでは、野球はマイナー・スポーツで、プロでない選手も多い。リーグでも300人くらいしか集まらないそうで、こんな大観衆の中でやれる喜びが痛いほどわかる。結局、吉田正尚選手のHRなどで日本は勝ったのだが、最終回に2本ソロを浴びた。最後まであきらめない姿勢、さらに天覧試合での陛下への礼儀も素晴らしい良いチームだった。(反対に、村上選手の態度に批判が集まり、岡本の最敬礼には好感が集まっていた。私としては巨人嫌いで村上贔屓だったのだが、これからはブルージェイズの岡本選手を応援しようと思う。)

翌日の決勝リーグ進出をかけた韓国戦で、オーストラリアは一歩及ばなかった。WBCの複雑なルールで、8回にあと1点守り切るか、9回で1点取れるかで決まるというゲームになった。マクドナルド選手の親戚の皆さんも、きっと悔し涙を流したと思う。私としては、オーストラリアに是非勝って決勝リーグに進出して欲しかったのだが‥。

本日の日本対チェコ戦は、大谷選手や鈴木選手は先発からはずれて始まった。前回大谷選手を三振にとったサトリア投手が凄い。結局無得点に抑えた。29歳なのに今日で引退とは、もったいない。ずっと0-0の投手戦だったが、8回に日本が9点もとって勝利した。(画像参照)前回の10点差負け以下が目標といっていたチェコだが、かなり接戦を演じてくれた。前回以降、チェコの野球は日本企業の支援などもあって徐々に盛り上がりを見せているそうだ。

頑張れチェコ。そして頑張れオーストラリア。両国の野球はまだまだこれからである。両国選手の野球愛を胸に秘め、今晩サムライJAPANは、4選全勝でフロリダに旅立つ。

2026年3月9日月曜日

サクラサク 本年第二弾

https://www.takeda.tv/hashimotoekimae/blog/post-274194/#html
1月21日付のブログで、エントリーした、外国語学部専攻語のアドバイスをさせてもらった学院の生徒から、合格したとの報と、専攻言語の希望順位表が送られてきた。やったなあ、サクラサク。学院は、英語教育に熱心な学校なので、3年生の先生方も、受験指導に関わった先生方もきっと大いに喜ばれていると思う。

アドバイス時に、将来についても聞いたのだが、かなり白紙のようだ。それもいい。M高校時代、私が関わった同じ外国語学部に進んだ教え子たちもいろいろで、スワヒリ語専攻に2人進んだが、男子の方はハングルにハマり、今は東京都の公務員になっている。女子の方は、アフリカにも行き、結局カメラマンになった。ビルマ語専攻に進んだ女子は大阪市役所にいる。うん。”人生いろいろ・島倉千代子”である。

2026年3月8日日曜日

WBC 台湾戦・韓国戦

https://www.nikkansports.com/baseball/samurai/wbc2026/news/202603050001817.html
東京ドームで、WBC予選が始まっている。前評判では、日本は優勝候補。台湾が強敵、韓国は弱体化と言われていたのだが、この2試合、フタを開けてみれば、台湾に7回コールド勝ち、韓国にはヒヤヒヤの逆転勝利という、まったく逆の結果になった。

大谷選手の活躍は、この2試合でOPS(チームへの貢献度)が3.0を超えている。台湾戦での満塁HR、韓国戦での同点ソロHRなど、打点も出塁率も凄い。二塁打を打ってもOPSの数値が下がるという怪物ぶりだ。これに前回WBCは怪我で出場できなかった鈴木誠也選手(カブス)、前回も大活躍の吉田正尚選手(レッドソックス)のMLB組がそれぞれ活躍している。韓国戦での(不振の近藤を挟んで)3人連続HRなどは、まさに痺れる展開であった。意外に、新メジャー組の岡本選手(ブルージェイズ)と村上選手(ホワイトソックス)は目立っていない。こういう短期決戦で不調な選手も必ずいて、代表格が第2回WBCのイチロー選手だったのだが、それもまたドラマの一部なのだろうと思う。(あの決勝打は今でも泣ける)

投手陣については、台湾戦での山本由伸投手は少し調子が悪かったものの無失点、オリックスの宮城投手も、第二先発で期待されているのがわかった。意外に苦しんだのが、韓国戦の先輩・菊池投手(エンゼルス)だ。韓国戦では、たった5球で3連打され、結局3得点を許した。後は締めたけれど…。大谷選手の同点弾は、まさに先輩の敗けを打ち消すHRで、カーショーの負けを消した時を想起させた。こういう義に厚い大谷選手、実に大好きである。

守備では、源田(ショート)・周東(センター)の両選手が韓国戦で光った。今日は、オーストラリアとの60年ぶりの天覧試合となる。陛下の前で見事に勝利して予選突破してほしいものである。

2026年3月7日土曜日

日本ESD学会近畿地方研究会

https://www.soai-dosokai.jp/
奈良教育大学に送った2番目の教え子が、今、S大学で准教授をしている。彼の尽力もあって、S大学で日本ESD学会近畿地方研究会が開催された。是非ともと言われ、一般(すなわち正会員ではない存在)として参加させてもらった。彼も立派になったもんだ。今回の事務局長として走り回っていた。嬉しいねえ。

午前中は、”フィッシュボウル・ディスカッション”という、全体の輪のなかに、もう一つ小さな輪(発言する場)をつくって「わたしたちはなぜESDに取り組むのか」というテーマで、若手の会を中心に議論が進んだ。ここで、気づいたのだが、参加者は圧倒的に奈良教出身者が多いことである。少し内輪的な会話も見られたが、内容は小中学校におけるESD実践の難しさや喜びなどが語られた。大学の退役・現役の先生方も小さな輪に入ってこられたりして、奈良教育大学のESD教育の師弟の絆・先輩後輩の親密さを強く感じた感銘を受けた次第。

昨日のサクラサクで奈良教育大学にお世話になる教え子にも、学校に勤めてからも続く、こういうESDの学びの輪の中に入っていって欲しいと心底思った。今春院に進む女子学生さんと話していたら、教え子と専攻も部活も同じで驚いた。

https://www.soai.ac.jp/information/news/2024/04/post-185.html
昼休みには、学内に教え子が作ったビオトープや田んぼも見学した。地域の子供達とともに学生が世話をするそうだ。

午後には、研究発表を聞きに行った。印象深かったのは、神戸常盤大学の深川幹さんの発表。「共有資源をめぐる意思決定のジレンマを体験するゲーム型教材の開発」である。これは同級生だった教え子との共同研究であるらしい。中学理科の教員志望者の教科指導法の授業実践である。コモンズの悲劇を基礎として、水・エネルギー・海洋(資源)・陸上(資源/鉱産資源や森林資源等)を4人がカードでそれぞれの資源を取得しながら、自己の利益を争うゲームである。初級ではアトランダムにカードを配布。それぞれの資源には当然ながら限界があり、資源が枯渇するとゲームセットになる。中級では、プレイヤーは、ドラフトで他のプレイヤーに見せながらカードを得ていく。上級はまだ実践していないらしいのだけれど、様々なプラスやマイナスのミッションが隠されているという前提で行われる。大学生故に、このゲームで様々な思考をしてくれるようだ。

これまでESDのシミュレーションゲームを創作して行きた私としては、およその感覚は掴めた。午前中のディスカッション時に離席で、内容について少し話し込んでいたこともあって、実に興味深い内容だった。使用したパワーポイントを送ってほしいと後でお願いしたくらいである。

ただ、社会科から見ると、様々な疑問が起こる。司会者の先生も社会科だったようで、資源となると需要と供給とか、経済的な問題として捉えてしまうので、あまりに簡素化し過ぎではないかという意見を発せられた。これは十分理解できるが、あくまで理科の教材であるから、目くじらを立てる必要もあるまいというのが私の意見。シミュレーションゲームには、必ず落とさなければならない論点が生まれる。どこから見ても完璧なシミュレーションゲームは存在しない。

私なら、これに札束を刷って使いながら進めると思う。資源が少なくなれば価格は上がるという発想は社会科の場合である。南北貿易ゲームでは、ファシリテーターとして、実際に需給関係で価格を上下させる。…なんか、また新しいシミュレーションゲームを作ろうかという意欲が少し湧いてきた。(笑)

2026年3月6日金曜日

奈良教 3度目のサクラサク

https://www.toshin.com/daigaku/nara-kyoiku
午前中に、奈良教育大学の合格発表があって、学院の生徒からサクラサクの報告があった。実に嬉しい。M高校時代に、私の英語科クラスから一浪の末に男子1人、ESD(持続可能な開発のための教育)の弟子で、国語科から男子1人、そして今回で、教え子3人目である。

私は教師になりたいという生徒には、まず奈良教育大学を推す。理由はやはり関西のESDの拠点校(ユネスコスクールの指導校)であるからである。小学校課程でも、専門教科を学ぶ中等過程でもESDの学びを大学時代にしておくことは重要だと思っているのである。

私が関わった頃のESDには、開発教育(途上国の問題を扱う)、人権教育、平和教育、環境教育、異文化理解といった5つの柱があったのだが、SDGsの登場で、それらが包括的に取り扱われるようになった。私の専門は、アフリカを中心とした途上国の問題に関わる開発教育であり、創作シュミレーションゲームをいくつか作り、日本国際理解教育学会で何度も発表してきた。おかげで、初版の学会の監修する事典にシュミレーションゲームの項の執筆を許された。ただ、マレーシアに行ってからは、同学会とは縁が切れてしまった。

奈良教育大学で、同学会が開かれ、研究発表したこともあるし、請われて個人的に発表させてもらったこともある。私とも縁の深い大学である。サクラがサイタ学院の生徒にも、充実した大学生活と将来への道を切り開いて欲しいと願っている。

2026年3月5日木曜日

イラン情勢と展望Ⅲ

https://www.youtube.com/watch?v=EaWMHqhMfAE
アメリカとイスラエルの空爆は、あれからも、ずっと続いている。制空権を奪われたイランは悲惨である。湾岸諸国の米軍基地と石油関連施設に攻撃しているが、キプロスにまで攻撃したことは、NATOの集団的防衛権を犯すことになり、英仏の介入が現実的になった。そのうちクルド人の動きに呼応してトルコも動くだろう。湾岸諸国も黙っていられない状況にある。ロシアと中国は完全にイランを見捨てているようだ。この件については以下のYouTubeがアニメ付きで実に詳しい。イランは破滅に向かって進んでいる。国民のためにも全世界のためにも一刻も早い平和を望みたい。

https://www.youtube.com/watch?v=EaWMHqhMfAE

2026年3月4日水曜日

全米宗教組織別の世帯収入分布

https://www.pewresearch.org/short-reads/2016/10/11/how-income-varies-among-u-s-religiousgroups/#:~:text=While%20there%20is%20a%20strong,with%20both%20religion%20and%20income.
「宗教からアメリカ社会を知るための48章」(上坂昇著/明石書店)の、アメリカのヒンドゥー教についての第7章には、興味深いグラフが載っている。(上記画像参照/少し拡大可能)これは、宗教組織別の世帯収入の分布図である。

右側の色の薄い方が低収入($3万未満・$5万未満・$10万未満・$10万以上)となっている。所得のトップは、ユダヤ教、2位はヒンドゥー教、3位はアメリカ聖公会(英国国教会)、4位は長老派USA、5位は無神論、6位は不可知論(神の存在や宇宙の真理を人間は認識不可能とする立場/無神論も否定。)、7位正教会、8位合同キリスト教、9位アメリカ福音ルーテル教会、10位合同メソジスト教会、11位アメリカ長老派教会、12位ユニテリアン・ユニバーサル教会、13位ルーテル派ミズーリ・シノッド、14位モルモン教、15位イスラム教、16位全アメリカ成人平均、17位カトリック、18位特定宗教なし、19位チャーチ・オブ・クライスト、20位南部バプティスト教会、21位セブンスデー・アドベンティスト、22位仏教、23位アッセンブリー・オブ・ゴッド、24位アメリカン・バプティスト教会、25位チャーチ・オブ・ゴッド・イン・クライスト、26位ナショナル・バプティスト・コンベンション、27位エホバの証人 (Pew Research Centerによる)

聞き慣れないプロテスタントの宗派もあるが、およそ学歴との関係性もありそうである。全米の大学卒業者はおよそ27%。ちなみにアメリカ移民となったヒンドゥー教徒は77%でトップ。大学院卒となれば48%と異常なほど学歴が高い。(ユダヤ教徒は59%と31%)インド本土の成人就学年数は5年なので、まさに超エリート集団だといえる。

…昔読んだアメリカの宗教の本で、バプティストで成功した人物が、次の世代ではメソジストになり、さらに聖公会にかわっていくという構図が示されていたのだが、まさに実証されているといえよう。

沢木『天空の旅人』断片1

https://tibet-inori.com/tibetan-buddhism-gotai-tochi/
沢木耕太郎の『天路の旅人』(新潮文庫)を、病院や免許更新や確定申告の待ち時間に読んできた。いっぺんに読むと4月からの通勤の時困るので、あえて緩歩しているわけである。

さて、昨日性的マイノリティと聖書について、仏教ではそういう罪という概念がないと結んだのだが、ちょうどそういう場面も『天路の旅人』にあったので、このノンフィクションの興味深い箇所をエントリーしようと思う。書評と言うより、断片である。(あまりネタバラシしたくない故である。)

まず、この『天路の旅人』という沢木のノンフィクションが生まれた背景(第1章)である。このノンフィクションの主人公・西川の『秘境西域八年の潜行』という紀行の存在があり、これは、違う出版社から2回発行されたが、いずれも完成品ではなかった。これを沢木が、生前のインタヴューと、生原稿の発見から完全版を書いていくのである。実は、この経緯が奇々怪々で面白い。…以下断片。

1933年、蒙古との友好をはかる善隣協会という財団法人が設立され、内蒙古の張家口に今西錦司や石田英一郎、梅棹忠夫といった戦後の民俗学・文化人類学を主導する才能が集まる梁山泊となった。主人公の西川は、中学卒業という学歴の壁から満鉄をやめ、この善隣協会が作った興亜義塾に入塾する。

…特に、梅棹忠夫は、昔、国立民俗学博物館での特別展を見て、その探究心と英知、カード整理や写生の緻密さに感激した思い出がある。

最初の旅で、西川が学んだことの1つ。進行方向に小便をしてはならないというモンゴルの掟。進もうとする地を汚すことになるからである。

巡礼ラマ僧になりすましていた西川が、元旦の法会に参加したが、経典が読めない。しかし口を動かせなくてはならず、仕方なく教育勅語(チンオモウニワガコウソコウソ…)とぶつぶつ唱えていた。

…大学での教育学レポートで、教育勅語について書いた経験があるので、私もはじめの方は暗唱できる。大正生まれの人は、教育勅語と代々の天皇の名前を全て暗証できることは、今は亡き母親から聞かされている。

西川が、初めて親しい者の風葬に出会った場面。遺体を運ぶ日と方角を占ってもらい、死体運搬人が戸板に乗せ、死体捨て場の谷間に運ぶ。2日後に見にゆくと白骨化していた。遺体の肉が食べ残されていると、今生で悪行をしていたことになるそうである。

バロン廟の主・ラマタン活仏が病に伏し、廟にいたラマ僧全員に叩頭(こうとう)が割り当てられ、合計10万回捧げられることになった。西川もまた、両手を合わせて額から胸まで下ろし、体を地面に投げ出すようにひれ伏し、また立ち上げるということを石畳で繰り返した。要するに「五体投地」(画像参照)である。しかし、活仏は亡くなった。火葬は空気を汚すとされるのだが、高貴な人は汚さないので火葬にされた。

駱駝を曳く駝夫(だふ)として出発した西川一行だが、初日に7頭の駱駝が行方不明になった。家に戻っていた。駱駝にはそういう習性があるので、とりわけ旅の初めは注意しなければならないことを学んだ。ちなみに蒙古人は自分の駱駝を見事に見分けられるそうである。

ラマ教では、テングリ砂漠を徒歩で超えると、膨大な大蔵経(経・律・論、全ての仏典)を読む以上の功徳があるとされている。西川はそれを達成した。

さて、最初に記した”性的マイノリティと聖書について、仏教では罪という概念がない”という話。バロン廟からジュン廟に向かった時に、西川は日本人女性と見間違うほどの美女に出会った。「なんとも美しい娘だったなあ。」と言うと、ラマ僧は吐き捨てるように「女は汚い。」「ロブサン(西川のこと)、おまえはバンダ(男色相手の若い少年)より、女のほうが好きなのか。」「(慌ててラマ僧として当たり前の答えとして)いや、俺だってバンダのほうが好きさ。」というやりとりが出てくる。

ちなみに、ラマ教(=チベット密教)には、4大派閥がある。ニンマ派とカギュ派は僧が妻帯することを認め、サキャ派は教主だけが妻帯することを認めているのに対し、最大のゲルグ派はいっさいの妻帯を認めていない。ゲルグ派に属するダライ・ラマやパンチェン・ラマが”生まれ変わり”によって代を繋いでいるのは、そういう理由によっている。

…仏教における不邪淫戒は、不倫や暴力的な性行為を戒めるものであり、平等観の強い仏教では、LGBTQに対する偏見は、一神教に比べて極めて少ないといえるのである。

2026年3月3日火曜日

性的マイノリティと聖書

https://www.youtube.com/watch?v=mNKgYlsurRc
「宗教からアメリカ社会を知るための48章」(上坂昇著/明石書店)は、反トランプ的=リベラルな立場から描かれていることを先に述べた。その好例として、性的マイノリティ(=LGBTQ)と宗教の話が33章に書かれている。本日はこの件についてのエントリー。

旧約聖書の創世記の19章のソドムの物語やレビ記の18・20章には「G」について、また新約聖書のローマの信徒への手紙1章には「L」について禁止の文言がある。著者はもちろん否定的な見解を示している。

同性愛を認めるアメリカの教会についても詳しい。世界初の同性愛者の聖職者による同性愛者のための教会は、メトロポリタン・コミュニティ教会(MCC:画像参照)。1968年、ロス・アンジェルスで創設され、世界22カ国に教会(信者数4万3千人:米国内2万人超)があるという。

主流派教会としては、1957年にカルバン派の会衆派教会と福音改革派教会が合同して説された合同キリスト教会(キリスト連合教会:UCC)が最も寛大で理解があるとされる。1972年に「G」、1982年に「L」の聖職者を任命、主流派教会で初めて同性婚を承認した。「T」の聖職者も27人いる。但し、一枚岩ではないようだ、また、アメリカ聖公会(=英国国教会)も同性愛者を神の子として認め平等であるとしている。2018年からLGBTQの結婚儀式を行っている。

一方、批判的なのは、南部バプティスト教会(SBC:1600万人)歴史的な黒人差別には謝罪しているが、LGBTQには断固反対。聖書の言葉を忠実に守って生活している故であるが、門前払いはせず、再教育のために受け入れるという立場。2017年にLGBTQに批判的な福音派の教会が保守的な神学的立場を「ナッシュビル声明」を出したが、SBCはその中心となった。

プロテスタントで2番目に大きな合同メソジスト教会も、同性愛はキリスト教の教義と相容れないと明記しているが、2019年に、この問題で分裂した。アメリカ・カトリック教会(7000万人)は、同性愛行為は罪深い、許されない行為であるが、行為をしていない同性愛者は罪がなく受け入れるとしている。本家のローマ・カトリック教会は、同性婚は創造主の計画に合わないので祝福できない、同性愛行為は罪と断じている。

これらを読んでみると文脈のそこかしこに著者のリベラルなスタンスが、かなり強調されている。私はブディストとして、別にLGBTQの人々の人権問題を云々する立場にない(つまり仏教では、同性愛は罪という概念がそもそもない故)ので、フツーに通読したのだが…。

宗教からアメリカ社会を見る

「宗教からアメリカ社会を知るための48章」(上坂昇著/明石書店)を、聖セラフィムの本とともに学院の図書館から借りてきていた。このところ、イランの問題とかがあって、なかなか読めなかったのだが、いよいよ読んでいこうと思っている。エリア・スタディーズの一冊であるので、項目にしたがって興味のある箇所から読んでいけるという利点もある。

まずは、著者のスタンスから。著者は完全な反トランプである。「(長年アメリカを研究してきたが、)トランプ再選時に縁を切ろうかと考えた。」と、あとがきに記している。私は、民主党の方が危ないと思っており、とはいってもトランプ政権の正義を信奉することもない。冷静に歴史の評価を待ちたい、というスタンスである。よって、読んでいて違和感を覚えるかも知れない。しかしながら興味深い項目が並んでいるので、粛々と、書評を記していくつもりである。

2026年3月2日月曜日

イラン情勢と展望Ⅱ

https://mainichi.jp/articles/20250622/k00/00m/030/066000c
イランは、これまでのイラク、シリアそしてリビアと同様に、大混乱するだろうと昨日記した。だが、その大混乱は、これまでと違って周辺国を巻き込むと思われる。それが本日付記したい内容である。

北部のアゼルバイジャン人には、当然アゼルバイジャン本国が独立を支持するだろう。西部のクルド人地区には、トルコやイラク・シリアのクルド人がそれぞれ独立を支援に回るだろうし、トルコ自体はそれを畏れて介入してくる可能性が強い。南部のホルムズ海峡近くはアラブ人が多く、石油利権も絡んで、サウジやUAEなどの介入も考えられる。一方東部では、パシュトゥーン人が多いのだが、先日からアフガニスタンとパキスタンが戦争状態に入ったようで、不穏な状況である。この影響がある可能性が高い。中央部の多数派のペルシャ人たちは、革命防衛隊と経済的困窮の一般市民の間で揺れ続けることになるだろう。

ここに、シーア派とスンニー派の宗派対立が絡んでくる。世界全体のイスラム人口で見るとシーア派は10%だが、中東に限ればは50%を占める。湾岸諸国は王国や首長国でイスラム共和国の革命思想を嫌っていた中東の盟主・サウジにとっては、イランが勢力を失うのは喜ばしいことであるが、イスラエルが次に中東のライバル化することに頭を悩ませているだろう。イスラエルの悲願は、メシアが(キリスト教原理主義者にとってはイエス・キリスト)が再臨するとされる第三神殿の建立である。現在ヨルダンが管理しているエルサレムの岩のドーム(イスラムにとって第三の聖地)に代わって第三神殿を建てると言い出したら、全イスラム教徒を敵に回すことになるだろう。その時、サウジの立場はこれまでで最大に窮することになる。

イランの指揮系統はおそらく大混乱しているだろう。湾岸諸国の米軍基地だけでなく市街地にも攻撃をしている。これはますます敵を増やすだけだ。

2026年3月1日日曜日

イラン情勢と展望

https://sys-guard.com/post-16381/
多くのネットの情報を鑑みるに、ハメネイ師が側近とともに、自らの事務所で空爆を受けて死亡したことは間違いなさそうだ。もっと地下深くに潜んでいるのかと思ったが、意外にあっけない最後を遂げた、と感じている。

問題は、実質的に軍事も経済も握っている革命防衛隊の動きと、経済封鎖に耐えられなくなっている多くの民衆の動きである。最高指導者が変わっていくことは十分考えられる。革命防衛隊内部で論議されるだろう。当然後継者は、さらに強硬な言を吐くしかない。ただ、ミサイルやドローンがどれくらい残っているのか。湾岸諸国の米軍基地やイスラエルのテレアビブに報復しているようだが…。

アメリカとしては、短期の攻撃で終わりたいと思っているだろう。イランは、ホルムズ海峡の封鎖をアナウンスしており、多くの艦船が航行停止しているようだが、ここだけは、力で排除する可能性は高い。革命防衛隊の様々な軍事・経済施設には容赦なく破壊する可能性も高い。あとは、国民次第というシナリオではないかと私は思う。

ただ、昨日、ブルキナファソの国民感情(反フランス感情や、もっとひろく反欧米のラスタ思想)のことを記したが、イランの人々にも反アメリカ感情は強いはずだ。CIAも、イランの民主化には否定的であるようだ。経済封鎖を解くためには、アメリカの傀儡政権を受け入れなければならないとすれば、まさに「囚人のジレンマ」(画像参照)に陥り、大混乱の末に国家分裂の危機が訪れるかもしれない。

2026年2月28日土曜日

イランの影で…サヘルの現状

https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_117.html#ad-image-0
ついにイスラエルと米軍のイラン攻撃が始まったようだ。3月に入ると砂嵐の季節がやって来るので、戦闘機等のジェット機の飛行に支障をきたす故、攻撃は2月中に始まるのではないかという予想がされていた。今はまだ速報段階であるので、イラン情勢のことは置いておいく。

本日は、日本ではあまり報道されないアフリカ・サヘル地方の現状について訴えるYouTubeがあったので、そちらのエントリー。https://www.youtube.com/watch?v=TvNQQg8sLUU

私がブルキナファソの北部サヘルの地に足を踏み入れたのは、かなり過去の話になってしまった。すでにブルキナファソの治安状況は、外務省の情報では、サヘル地方はレベル4・退避勧告になっている。首都ワガドゥグもレベル3・渡航中止勧告が出ている。あんなに平和で、治安など心配する必要がなかったのが嘘のようである。(画像参照)

YouTubeによると、ブルキナファソだけでなく、ニジェール・マリ・チャドといった旧フランス領の地域は、極度の貧困、天然資源の搾取(ニジェールはウランで有名。ブルキナファソも金の算出が増えている。)が要因となって、軍部によるクーデターで、反仏意識が向上し、フランス軍も撤退。そのあおりを受けてアルジャジーラやISIS系のイスラム武装組織が暗躍しているようだ。軍は、テロ組織を十分に抑えきれていないらしい。

ブルキナファソ事情を少しばかり知っている私は、当時の民主政府(といってもデモクレイジー的であった)は、やはりかなり腐敗しているように映った。もちろん、専門家としてJICAで日本に派遣された教育省のエリート官僚や、経済学を学んでいた学生さんなどは、真剣に国の将来を考えていたのだが、SONYという名の電化製品&ゲームの店に入ると、むちゃくちゃ高価な製品も並んでいた。(汚職で手に入れた金で得た)高級官僚などの家族向けの店とのこと。大統領が作ったという私的動物園の横を車で通過したこともある。一方で、日々の食を得るのに苦労している人々も、数多く見てきた。

一方で、青年たちは、反訪米的で”ラスタ”思想が強かった。ネスカフェ(現地ではコーヒーをみんなこう呼んでいた。)の空き缶を加工して土産物を作り、欧米人に売っていたのだが、「お前らの売りつけたもののゴミを持って帰れ。」というコンセプトだった。こういう国民感情があったのだ。一方、貧困家庭から口減らしで、首都に出てきた半分ホームレスの子供たちの多くは、コーラン学校の生徒だった。と、いっても仏教で言う乞食行(こつじきぎょう)のようなことをしてわずかな食を得ていた。極度の貧困の中、彼らがアルカイダやISISの組織に、飲み込まれても全く不思議ではない。ただ、ブルキナファソのイスラム教徒は穏健で、キリスト教徒徒と対立しているわけではなく、両者の混在した墓場を見て大いに驚いたこともある。わりとゆるいのである。

ちなみに、軍隊も警察もブルキナファソでは、教育を受けたエリートである。HDIでも世界最下層のブルキナファソでは、軍人になるのはそう簡単ではない。彼らが、国を憂う気持ちも理解できる。よって、軍事クーデターを批判する気は私にはないし、反欧米感情やラスタ思想にも理解できるところが大きい。これからも”アフリカ”留魂録としては注目していきたいところだ。

2026年2月27日金曜日

確定申告&国境なき医師団

今年も確定申告に行ってきた。私はスマホの操作が苦手なので予約も含めて、今回も妻にほとんど任せっきりであった。(笑)ところで、国境なき医師団にずっと毎月少額を寄付しているのだが、税務署の担当の方に、国境なき医師団のことを聞かれた。初めてこのNPOの存在に接したそうだ。

国境なき医師団は、フランスに本部がある国際的なNPO法人。紛争地域だろう何だろうと医師や看護師とスタッフを派遣し医療活動に携わることで有名。できる限りのことをするのだが、やばくなると逃げ足も早い。私のM高校時代の教え子が、この国境なき医師団にスタッフとして関わっっていたし、学院の卒業生で、いずれ国境なき医師団に関わりたいという希望を持っている生徒もいた。そんな組織である。

2026年2月26日木曜日

運転免許更新&拘禁刑

https://digital.komei-shimbun.jp/web-contents/newsword/imprisonment
5年ぶりに運転免許の更新に行ってきた。前回は、四国・八幡浜警察署での更新で、往路の国道197号線の坂道で、愛車のエンジン周りから湯気が吹き出して夫婦で大騒ぎになった思い出がある。八幡浜で応急修理して、地元・三崎で改めて修理してもらったのだった。免許証は即日くれたのだが、今回は、今の免許証の有効期限を長くしつつ、だいぶ先(3月中旬)まで待たねばならないことになった。免許を取って長いが、今回は、いろいろとデジタル化されていて時代を感じる。

私は「優良」免許証だったので、30分の講義を受講したが、その中で最も驚いたのだが、交通法規と直接関係ないのだが、「拘禁」という用語である。重大な過失を犯した場合、今までは、懲役・禁錮という刑なっていたが、調べてみると2025年6月の刑法改正で、この懲役(服役と作業)と禁錮(作業無し)が一本化されたのだという。禁錮でも作業をしたがる場合が多いところから改正されたらしい。これに社会復帰ための教育を加味したものである。(画像参照)政経の授業で、懲役と禁固の相違を話すことはあるが、これからは拘禁で教えなくてはならないわけだ。知らなかった。社会科教師としては、少し情けない話である。

2026年2月25日水曜日

ロシア解体新書

https://www.youtube.com/
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来年度の地理の授業に役立ちそうなYouTube第二弾。「ロシア解体新書」。

二学期の後半に、アメリカを中心軸に、いくつかの国の国是というか理想についてまとめたのだが、ロシアについても語った。ロシアは、ヨーロッパからは田舎と蔑まれた、歴史的地政学的に半分アジアの国である。しかもナポレオン(祖国戦争)とナチスドイツ(大祖国戦争)に、二度も蹂躙されているというトラウマがある。一時期、ロシア革命による世界初の社会主義国家・ソ連となり、一部のヨーロッパ人から尊敬を受けたが、ソ連崩壊後は、またトラウマに支配されることになる。(このマルクス・レーニン主義を教えるのが、倫理や政経ではまだしも、地理では時間をとるのが難しい。)

このYouTubeはその辺をうまくまとめてくれている。大学生向けとされているが、高校世界史を履修してれば問題はないと思う。おすすめは、ロシアが侵略をやめれない理由を解説した以下のURLのものである。

https://www.youtube.com/watch?v=Nvdl6CPRUrw

2026年2月24日火曜日

熱帯の経済が発達しない理由

https://www.youtube.com/watch?v=XQ-ITuArBLA
地理の教材でも使えそうなYouTubeを発見した。https://www.youtube.com/watch?v=XQ-ITuArBLA

経済が発展しているとは、国民1人あたりの付加価値が多いことを意味する。この付加価値を多く生み出すためには重化学工業が発達する必要がある。この重化学工業は、資本集約的産業という特徴がある。つまり、設備投資に膨大な金が必要である。これは「蓄財」への取り組みこそが重要であることを意味する。このYouTubeでは、蓄財を不道徳とするカトリックと、不道徳ではないとするプロテスタントの相違でヨーロッパの南北格差を説明している。さらに、蓄財の背景として、気候の相違からも語られる。Cs(地中海性気候)の南欧では、温暖故に食料を貯めるという行為は愚か(=腐らせる)な行為であり、北欧はその逆になる。高温多湿な熱帯(A)は、ヨーロッパの例から導かれる(食料の)備蓄の文化の無さが顕著であり、蓄財への意識も同様である。

農業の生産性の問題も大きい。生産性の高い国ではと蓄財が可能だが、低いと不可能である。熱帯の地質は、微生物の働きが活発すぎて、落ち葉や遺骸が分解され尽くしてしまい、土壌に還らないという特徴がある。Af(熱帯雨林気候)やAm(熱帯モンスーン気候)では、多大な降水量が養分を洗い流してしまう。樹木が多いことと土壌が豊かであることは関係しない。熱帯の樹木は根から酸を放出して、土や岩を溶かし痩せた土地から養分を得ることができる能力がある。これにより、土壌が酸性化し、作物にとっては成長が鈍る。伝統的な焼畑農業で生まれる灰や炭はアルカリ性で中和させる事が可能だが、どうしても生産性は低くなる。よって農業従事者の蓄財は厳しくなるのである。ところが、日本では渋沢栄一が、農業従事者に蓄財を勧め、銀行に預金を集めて、資本を形成したという過去があり、このことが日本の経済的成功の重要な一因だと説いている。…なるほど。

最初に、「教材に使えそうな」と書いたのだけれど、途中、もろにカトリックの悪口が語られていて、カトリックの学院で、直接このYouTubeを見せることは諦めた次第。(笑)

2026年2月23日月曜日

トランプ関税 違法判決の件

現在世界を揺るがしているトランプ関税に、連邦最高裁判所が違法判決(6/9)を下したとの報が流れた。これだけの情報を聞くと、グローバル経済に異を唱えてきたトランプ政権に鉄槌がくだされた様に聞こえるし、各国にすごい影響を与えるように聞こえるが、詳細を知ると、すぐに影響が出るとは思えない話だった。

北米の情報で最も信頼できるYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=cUOzraMhOJ8)によると、トランプ関税の根拠になっていたIPEEA(国際経済権限法)に、関税の具体的な規定がない、だから違法、という話である。政府は、その他の法律を使うカタチで継続を行うようである。下級裁判所で敗訴していたころから、すでに対策をしていたようだ。このあたり、法の支配が徹底しているアメリカの三権分立体制とともに、優秀な行政官僚の存在を意識せざるをえない。(今回もAIでイラスト画像を作ってみた。)

ちなみに、朝日新聞のYouTubeを見てみたが、かなり批判的な表現をしていた。この辺は、オールドメディアの限界のようだ。

2026年2月22日日曜日

米国のイラン攻撃 秒読みか

イランとアメリカがジュネーブで、核やミサイルの交渉を行っているが、どうも雲行きが怪しい。これ以上のイラン側の防御のための時間稼ぎに、イスラエルもアメリカも忸怩たる思いだろう。しかし、アメリカは決して地上戦には持ち込まないと思われる。イランの十二イマーム派は、過激なようで意外に理性を重んじる。アメリカを長期戦に引き込む戦略を練っている可能性が高そうだ。それを回避するために膨大な戦力を、2つの空母打撃群だけでなく中東の各国の米軍基地に配備している。脅しというにはあまりに多い軍事力の結集である。

ところで、このイラン攻撃は、引き金でしかないとする見方がある。アメリカが本当に狙っているのは、中国であるという。中国はイランから大量の石油を、密輸(マレーシア産と偽って)しているようだ。イランの石油生産が崩壊すれば、他のどの国よりも影響を受ける。輸入量が減り、石油価格が高騰し、電力供給やガゾリン供給(=輸送コスト)に支障をきたす。製造業への影響は計り知れない。しかもコスト・プッシュ・インフレが起こり、今でさえ不安定な治安が悪化することは目に見えている。極めてきつい揺さぶりである。ロシアも中東の足場を失うことになるのだが、アメリカの冷戦2.0の矛先は、あくまで中国であるようだ。(今回もAIで画像を作成してみた。)

2026年2月21日土曜日

市民歴史講座に参加してきた

久しぶりに、枚方市の市民講座に夫婦で参加してきた。今回は、京都橘大学の飯塚一幸教授(日本近代史)が、詳細なレジメを元に、枚方市の都市化と軍需工場について講演していただいた。妻がこういう内容に興味があったので参加したわけだが、枚方市が、京阪電車と軍需工場によって都市化が進んだことがよくわかったのだった。

面白かったのは、現在の関西医科大学や大阪歯科大学の前身は、枚方に早く誘致された(京阪電車の収入増のため)ものの、旧制中学はなく、大阪市の新設中学の候補地に枚方(町)が手を上げ、誘致したのが、現在の府立いちりつ高校(旧大阪市立高校)であるそうだ。当然ながら、私はいちりつ高校との関わりは深いのだが、1校だけ大阪市外にある不思議な存在だった謎が今になってわかった。また、戦時中には、京阪沿線にある、現在お世話になっている学院も女子学徒動員に駆り出されていたこともわかった。

会場は高齢者でほぼほぼ満員御礼状態だった。かく言う私たちも高齢者なのだが…(笑)

2026年2月20日金曜日

ロシア正教会と聖セラフィム3

https://monasterium.ru/monastyri/svjatiny/istochnik-prepodobnogo-serafima-v-poselke-
「ロシア正教会と聖セラフィムーその霊性の源泉を求めて」(及川信/サンパウロ)の書評。次に、聖セラフィムの言行録や記録から、聖霊(正教会では聖神)による神との合一についてエントリーしたい。聖セラフィムは著作を残していない。沈黙の苦行を終えた後の約8年間に多くの人と会ったうえでの言行録、また弟子・モトフィロフとの対話、さらに列聖の記録などから、これまでの教義的な神との合一ではなく、具体例を抜粋しようと思う。

師父(聖セラフィム)は、「主イイスス・ハリトリス(=イエス・キリスト)、神の子よ、われ罪人を憐れみ給え」という祈りを、道を歩いている時も、座っている時も、働いている時も聖堂にある時も、心の内で唱えるばきりではなく、口に唱えても生活しなさいと教えた。絶えず神の名を呼ぶならば、心の内が安らかになり、同時に体も心も清くなり、そして神・聖霊があなたの内に宿るでしょう、と。(言行録より)

聖霊降臨の時、神の深い配慮から人間に伝えてくださる永遠の生命の言葉の全てをはっきり聴くために、私たちは完全な沈黙の中にひそまなくてはなりません。(モトフィロフとの対話より)

(聖霊が私たちと共にいるのかいないのかを、どのようにして知るのか?という問に対して)聖書の奇妙な出来事、たとえば「アダムは園の中で主の歩まれるのを見た。」という箇所(創世記3-10)や、モーセの口を通して聖霊が語っていること、使徒パウロが「私たちはアカイアへ行き、聖霊は共に行かなかった。そこで私たちがマケドニアへ戻ると、聖霊は共におられた。」(使徒言行録16-6~10)など、聖霊の顕れが理解不能という人がいる。だが、初期のキリスト教徒が現在の我々より純粋に信じてたことが重要で、ヨブ記に、神を冒涜していると友人がヨブを非難した際、「私の鼻に神の息を感じる時、どうすることができるのか。」(=聖霊が私と共にある時、神を冒瀆できようか。)と述べている。(モトフィロフとの対話より)

列聖の際の調査によると、聖セラフィムの祈祷によって奇跡(=神恩)が起こった事例(細かな証拠があると認められたもの)は94件あった。それ以外にも数百通の書面がサーロフ修道院に残された。特に有名なのは、馬を盗まれた農民が、その居場所を聞きに来た際、明確な場所を示し見つかったという話である。また、師父の死後も聖セラフィムの泉(画像参照)での奇跡談(目が見えるようになったり、口がきけるようになった、歩けるようになった等)も数多い。(列聖の記録より)

最後に、聖セラフィムは、白い修道服を常用していた。これはめずらしいことで、受難と十字架の死を意識して、修道士は黒や濃茶などの常用するのが普通。公祈祷時や洗礼時に白を着用するのだが、日常生活がすばらしい喜びに満ちていた故と言われている。これは常に聖霊と共にあったことの証明といえるかもしれない。

…聖セラフィムの信仰実践を知り、純粋な深い祈りの365日24時間の持続の中で、聖霊が宿っていたことが理解できる。特にイイススの祈りは、仏教における題目やマントラ、イスラムのスーフィズムのズィクル(「アッラー・アクバル」:神は偉大なり・「ラー・イラッハー・イッラ・ッラー」:アラーの他に神はなし・神の99の美名などを繰り返し唱える)などとの共通点も多い。ブディストとして、同様の感覚を多少理解できるところである。

2026年2月19日木曜日

ロシア正教会と聖セラフィム2

https://frgregory.hatenablog.com/entry/2021/01/15/205632
「ロシア正教会と聖セラフィムーその霊性の源泉を求めて」(及川信/サンパウロ)の書評。聖セラフィムの生涯を辿っていきたい。

1759年、クルスク(ロシアのクルスク州州都/ウクライナから見れば東北の国境地帯)に、レンガ製造工場や建築業を営んでいた父(敬虔・誠実な人だったが、彼が三歳の時に死別)と父の家業を引き継いだ母(貧しい娘や身寄りのない娘を養女にすような気丈な人)の次男として生まれた。兄は商売を営み、彼を商売人にしようとしたが、向いていなかったようで宗教書を読みふけっていた。19歳になった1778年12月3日に、院長が両親と親しいサーロフ修道院に入門した。ちなみに翌日12月4日は、生神母マリアがエルサレム神殿付属の女子神学校に入った記念日である進堂祭であった。

修道院の雑務に励みながら、サーロフの森で厳しい修練の生活を送っているのを見学していた。1780年、激痛を伴う水腫を発病。医者の診察を拒み、「聖なる父、霊と体の真の医師、我らの主イエス・キリストとその母マリアにすべて委ねているので十分なのです。」と言った。10歳のときにも重病で生死を彷徨ったが、夢に生神母マリアが現れ、癒やされる軌跡を体験していたからで、この時も生神母マリアがペテロとヨハネを伴って現れ、祝福して彼の右腰に手を当て、穴が開いて水が流れた。この傷跡は生涯残ったという。その後、3年間療養することになる。奇跡のあった小屋跡には、聖堂と三階建ての病院が建てられている。

1786年セラフィムの修道名で修道士の誓いをたて、故郷の母と別れを告げる。27歳である。この頃から神秘的な奇跡を体験することが多くなり近くの森に小屋を建て修練を積む時間が多くなる。1793年に司祭となり、翌1794年に修道院を離れ、6kmほど離れた森での隠遁生活に入る。生神母マリアの聖像が飾られ、椅子代わりの木片1つが床に置かれ、ベッドはなし。ストーブにはほとんど火を入れず、四季を通じて白い麻の修道服1枚。いつも背負っている袋には大切な福音書。彼は、この地を聖山アトス(ギリシアの正教会の聖地)と呼び、小屋の周囲にイスラエルの地名をつけた。ナザレで生神母マリアのために祈り、ゴルゴダでは六時課と九時課(正教会の修道院の奉礼で、六時課は正午にイエスの十字架刑、九時課は午後3時でイエスの死をそれぞれ記念して行われる)を唱えた。タボル山では主の変容祭(イエスが光を発したよされる山/変容祭はそれを記念する祭)の福音を朗読し、ベツレヘムでは「至(い)と高きには光栄神に帰し~」の(イエスの誕生を祝う)聖歌を歌うといった具合である。

修道生活の基本である祈祷・斎(ものいみ:食事などの節制・断食)・独居・廉施(周囲の人や自然への優しい思いやりのある言動)を、人の霊魂を神の国へと運ぶ”四頭立ての馬車”と呼んだ。サーロフ修道院と同様の祈祷日課や最も厳しいと言われていた聖パコミコス修道院の夜間祈祷も行い、日曜日には司祭として修道院に帰り、領聖(カトリックで言う聖体拝領)も行っていた。有名な話で、小屋にやってくる熊や狼、兎、狐、狸、小鳥や蛇にも食料を分け与えていた光景が多くの修道士に目撃されている。(画像参照)

1804年3人の乱暴な農民強盗が、小屋に乱入した。土曜日だったので重症にも関わらず修道院に向かっているとこを発見された。血に塗れ意識が混濁していたが、7日目に生神母マリアがペテロとヨハネを伴って現れ、奇跡が起こり回復する。5ヶ月後には小屋に帰れたが杖無しでは歩けなくなっていた。強盗犯たちは捕まり牢獄に収監されたが、減刑と赦免を嘆願し。釈放された3人は修道院を訪れ謝罪したという。

またサーロフ修道院の当時の院長の永眠後、院長就任を断り、沈黙の修行に入っていく。1810年、長年暮らした小屋を離れ修道院に帰院。1825年、生神母マリアから「沈黙の苦行を終えて小屋に帰り人々に教えなさい。」という黙示を受け、15年間の沈黙をやびり、修道院近くの庵で、夜の8時まで人々に会った。修道士や聖職者、農民、商人、軍人、貴族などあらゆる階層、あらゆる年齢の人々が各地からやってきた。1789年、サーロフ修道院が庇護していた女性の共同体を、女子修道院を開くことに尽力した。1833年、ロシア歴の元旦の日曜日、祈祷後修道士1人ひとりに別れの挨拶と祝福をし、埋葬されるはずの土地を訪問し、庵で復活の讃歌をいつもより大きな声で歌った。そして、翌日、聖像の前で跪き、祈祷したままの姿勢で息を引き取っていた。

…なんとも感動的な生涯である。正教会最高の聖人と言われるのも納得である。

2026年2月18日水曜日

ロシア正教会と聖セラフィム

学院の図書館でまた宗教にまつわる本を3冊借りてきた。「ロシア正教会と聖セラフィムーその霊性の源泉を求めて」(及川信/サンパウロ)から読んでいこうと思う。正教会の学びの中で、登場した聖セラフィムの伝記である。正教会の聖霊(エネルギア)を呼び込んで、キリストと一体化するという正教会の教義は理解したが、具体例を知りたくて書棚から選ばせてもらった。

ところで、今朝宗教科のI先生と、休憩室で一神教について話がはずんだ。I先生は、J大神学部出身で、カトリックの立場から様々な質問を受けていただける貴重な存在である。学び、そして議論することができる極めて比較宗教学的に有効な空間が、学院にはあるわけである。実にありがたい。